↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】悪役令嬢の兄に転生した華族令息の俺、破滅回避のために妹教育を頑張ったら、最高に可愛いブラコン令嬢を爆誕させてしまいました  作者: 遠 都衣
初等部編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/132

第44話 師走のイベント

 学芸会が終わると、季節は一気に冬めいてきた。


 せっかくだから今年はもう少しクリスマスムードを楽しんでみようと思いつき、妹たちにアドベントカレンダーを作ってあげることにした。

 手先の器用な女中に頼んで、何人かで一緒に封筒を加工してクリスマスっぽく装飾するのだ。


 装飾した封筒には1から25までの数字を書いて壁に吊るし、1日開くごとにその日のプレゼントが出てくる。


 それを、白百合と菊華の分それぞれに作り、中から毎日数粒ずつの、色が違うガラスのおはじきが出てくるようにする。

 

 

 ――最近知ったのだが、この時代のおはじきというのは俺の知っている平たいそら豆状の形のものではなく、型押しガラスで作られたものが流行っていて。


 花や星、中にはアンモナイトに見えるようなものなど、可愛らしい形をした色とりどりな透明な輝きを放つおはじきたちは、男の俺が見ても綺麗だなと思った。


 

 実際に11月末日になって、ふたりにアドベントカレンダーについて教えてあげて。

 翌日から、毎日ふたりでアドベントカレンダーを開けるようになったのだが、日ごとに形の違う綺麗なおはじきが出てくるという案は、どうやら小さな乙女たちの心をくすぐるのに成功したみたいだった。


「お姉様、お姉様のも見せて」


 そう言って菊華が白百合にまとわりつき、ふたりしてその日に出たおはじきを見せ合いっこする姿を見ると、我ながらなかなかいいアイディアだったなあと思えた。


 それが数日も経ち、おはじきのバリエーションも増えてくると、彼女たちの中ではお気に入りのおはじきもできたようで、お気に入りのものは別にしまっておき、それ以外のものを使って「お兄様も一緒に遊びませんか?」とおはじきで遊ぶのに誘われるようになった。


「菊華ちゃん。そこからそれを狙うと難しいからこっちを狙った方がいいです」

「ぬ……、でも、こっちのおはじき綺麗なんだもん……」


 欲しいと思ったものは無謀でも一直線にアタックする菊華と、おはじきの見栄えは特に気にせず、手元の取りやすいものから着実に仕留めていく白百合。

 

 結果、勝負にならないくらい菊華が弱すぎるのは火を見るよりも明らかなのだったが。


「……菊華ちゃん。いまのはお姉様は見なかったことにしますから。もう一回いいですよ」


 と、白百合がだいぶ手心を加えるのに対して、えへへとでも言い出しそうな満面の笑顔で菊華が白百合に甘えてじゃれていた……。




 ◇




 とまあ、今年の我が家のクリスマスがこんな感じで盛り上がっている中。


 北大路先輩から、「今年は俺も学苑最後の歳だし、年末に忘年会も兼ねて紫雲亭で催しをやろうと思うのだが」と誘われた。


「へえ、いいですね」

「まあ俺からの、みんなへの労《ねぎら》いみたいなもんだな」


 有志で出し物もやる予定だし、よかったら来てくれよ、と言われたのでせっかくだし行ってみたいと思い「前向きに考えますね」と答えておいた。


「そうそう、西園寺。初等部の学芸会はすごい評判が良かったみたいじゃないか」


 西園寺もよかったら劇とかで出し物に参加してもいいんだぞ、と悪戯っぽく言われたので、「……そういうことで呼ばれているなら参加も再検討させてもらいますけど」と半眼で睨んだら、「冗談だって。真に受けるなよ」と肩を叩かれた。



 そうして、初等部・中等部・高等部すべての期末テストが終わり、あとは冬休みを待つばかりという状況の中、紫雲亭の忘年会が開催されたのだが。


「――そういえば、そろそろ来期からの紫雲亭新メンバーを考えなければいけないんだが」


 お前たち、いい人材がいたらこいつに教えてやってくれよ、と北大路先輩が次の紫雲亭会長に任命されている室堂《むろどう》先輩の肩をぽんと叩く。


「確かに、東條君と西園寺君のお眼鏡にかなうような人材なら、こちらとしても願ったりだけど……」


 先輩、後輩にそうやってすぐ無茶振りしないでくださいよ、と気弱そうな声を上げたのが、北大路先輩の後任であり、来期の紫雲亭会長となる室堂武之《むろどうたけゆき》先輩である。


 その堂々とした立派な名前にそぐわない、よく言えばふっくら――、悪く言えばややぽっちゃりとした魅惑のボディを持つ室堂先輩は、正直、一見しただけだと「この人が来期の紫雲亭会長で大丈夫なのか……?」と不安を抱かせるほどには癒し系な存在なのだが。


 同時に、北大路先輩に匹敵する【天授の才】を持つ、優れた異能力者なのでもあった。

 ちなみに、北大路先輩の能力は鉄壁の守護結界、室堂先輩の能力は瞬間凍結だ。

 普段はにこにこと温厚にしているので異能テストの時くらいしか見ることはないが、室堂先輩が本気を出すと準備室くらいの小さな部屋であれば一瞬で氷点下まで凍てつかせることができる。


 北大路先輩と室堂先輩は本家分家と家門を同じくするらしく、小さな頃から幼馴染の関係なのだそうで。


 一度、北大路先輩が体調を崩したにもかかわらず無理に通学をしてきた際、「今すぐに帰って休まないと、結界ごと凍らせて運んで帰しますけど」とドスを効かせたというエピソードは他の紫雲亭メンバーから聞いた話だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。