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本番の4日前には、参加出来ない者達をお客さんとして招いた。本番前の本番だ。
これで最終確認も終わった。後は本番のみ。
「(さぁっ、一世一代の大舞台よ! 気合いを入れてやってやるわ!)」
当日も朝からいつも通りのメニューをこなし、最終調整やチェックをしていく。
お昼を回って暫く経つと、各国のお客様達が来始めた。
「今来たのはどこの国?」
「あれはアーラン国です」
「派手ねぇ・・。 あ。あそこに居るのは?」
「あちらはトゥファオール国ですね」
「ふ~ん。 どこで見分けてるの?服装?」
「それもありますが、馬車や旗にある紋章ですね」
「あぁ~。そう言えばあるね」
習った覚えはある。でも覚えていない。
「どんな人達が来るのかな?招待してる側だけど知らないんだよね」
「そうですね、王族の方達はいらっしゃるかと思います。又はその代表の方ですね。他ですと、お供として文官の方達や護衛の方達もいます」
「・・・。それ、全員入るのかな?」
見た感じでは一つの団体で100人は居るような気がする。
「いえ、参加されるのは一国に対して数人から10人もいないくらいでしょう。お付きの方々は別室で食事をし、休憩される事になっております」
「そうなの」
ちょっとホッとする。全員だったらぎゅうぎゅう詰めだっただろう。
「ーー。怖い人とかはいる?」
「大丈夫ですよ。皆様お優しい方々ですから」
それは女性に対してなのか、普段からなのか・・。
みやは声出しをして、軽く体を動かしてイメージトレーニングをしておく。
そしていよいよその時間が近づく。
「ふぅー。 皆大丈夫かな・・? 私も緊張して来た・・」
「大丈夫です。きっと素晴らしいものになります。4日前の様に上手く行きますよ」
「えぇ」
そろそろ会が始まると言うので移動する。
先に竜王様達が中に入り、始まりを告げて挨拶をする。
そして今回の招いた目的である音楽大使について説明をする。
そしてみやの紹介もされた。
両開きの扉の前で深呼吸をして、気持ちを抑える。
きっとこの向こうには人が沢山居る。任命式の時もそうだったように。
そして目の前の扉が開いていく。
エリネのエスコートによって中へ入り、竜王様の招きにより隣りに立つ。
視線が全て自分に来ているのを耐えながら、礼をする。
「ではこれより、挨拶に替わり、音楽大使であるミヤにピアノの演奏をしてもらう。 その後も皆の者には暫し音楽を楽しまれよ」
竜王様のエスコートによってピアノまで案内されて一礼すると、パラディン達の補助の下椅子に座り、みやは深呼吸する。
周りを気にしず、今は前の鍵盤だけに集中。
そっと手を置いて、心を整えて・・ 弾く。
始めは落ち着いてゆっくりした単調なメロディー。
一つ一つの音が会場に響く。
聴く者も物音一つ立てずに耳を傾けている。




