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みやの看病がされたその夜から、高熱が3日3晩続き、みやの病状は悪化していた。
苦しそうにしている姿は弱々しく、代われるものならそうしたいと誰もが思った。
「何か食べて頂きたいが・・・」
「今は受け付けないでしょう・・」
「しかし水だけではもたなくなる・・」
みやは虚ろながらも時々目を覚ます。その時に水分を摂取してもらうのだが、丸3日何も食べていない。体が休みを訴えていて食事をする力が無いのだ。
スープやパンをドロドロにしたものを口に運んでみたものの、体が受け付けなかった。今は食べる事に気分を悪くする始末。それだけで体力を使ってしまっている。
「薬も飲めないのは痛い。 外から冷ますしか手は無いか・・」
「怪我の方は回復に向かっているから、このままであれば良くなっていくだろう。後は熱だけでも下がって頂ければな・・」
怪我で熱が出ていたのだが、みやはそのまま風邪もひいてしまっていた。
なので今もベッドから起き上がれずに、辛そうにしている。
咳をすると熱が上がるため、本当は薬を飲ませたいのだが・・。
このままだと体力がもっと下がり、悪化する恐れがある。
「果物を試してみよう。甘いものは取り入れやすい。 最悪、舐めるだけでもいいだろう」
「それは良い。香りで食欲が出るかもしれない」
「子供にはよく使う手だな。試してみよう」
早速医竜達は厨房に行く。すると。
「あぁっ、丁度良いところにっ」
料理長等が来た。
「ミヤ様のお加減は変わりませんか?」
彼等も心配していた。
「えぇ。まだ床から起き上がる事も出来ないままです」
「そうですか・・・」
食に与る彼等料理人達も、何とか食べられるようにと工夫しているのだが、その成果は出ていない。
「あの、宜しければこれを・・」
と水差しを差し出す。
「? 水ですか?」
と受け取る。
「いえ、これは以前、ミヤ様に教えて頂いた飲み物でして。 えーと、、けーこー 飲料水、と言うものです」
「? どういう?」
普通の水にしか見えないので、詳しく聞く。
「水に、砂糖と塩を決まった配分で溶かしたものなのです。これには後果汁が入っています。 ミヤ様曰く、体内の水分が失われている時に飲むものだとか」
他の料理人達も補足する。
「沢山動いて汗を搔いた後とか、病気で熱が出た時に、水の代わりにするとか言ってました」
「後、嘔吐や下痢、脱水症状?の時にも良いと」
「俺達も火の前でずっと作業した後に飲んだ事があるんですが、こう、体にすぅーっと入っていく感じで、旨かったです」
「そうそう。なんかこの配分が一番体に効率良く吸収されるんだそうです。 ミヤ様は博識ですよね」
口々にどういうものかを言ってくる。
「ーーー。少し頂いても?」
砂糖と塩と果汁が入った水とは、甘いのかしょっぱいのかよく分からない。
少し貰って飲んでみる。
「・・・・・・、飲みやすいですね 」
しょっぱくはなかった。配分上少しだけ入っているよう。甘すぎる事もないが、スッと喉元を通り、果汁で後味もスッキリしている。
「そうでしょう? 必要ない時だとそんな美味しいと思わないんですよ。でも水を沢山飲みたい時に飲むとですね、お腹に溜まらず体中に行き渡る感じがするのです。 医竜様もきっと今必要だったからそう感じられたのでしょう」
「ーーー。分かりました。是非飲ませてみましょう。 後、果物をお出ししようと思っているのですが、直ぐに用意出来るでしょうか?」
本来の要件を伝える。
「あぁいいですよ。今ご用意します」
「料理長、ミヤ様が食べられるようになったら、プリンを作りましょうよ。あれなら嚙まなくても食べやすいですし、きっと喜びます」
「おぅそうだな。今から準備しておくか」
「「了解っ」」
みやとの交流が実を結んだようだ。
戻ると丁度みやが目を覚ましたところだと言うので、貰ってきた飲み物を与えてみる。
「ミヤ姫様、少しで良いので口に含んで下さい」
体に力が入ってないみやを支え、給水用のコップで口の中へ少し流し入れる。
「ゆっくりでいいですよ」
少しずつ、一口ずつ飲ませる。
みやがもういいと合図するまで飲ませて、半分起きた姿勢で楽にさせた。
それからは味付きの水を飲ませるようになり、少しずつ物を口にするようになったことで、薬も飲めるようになった。そうすると数日で熱は引いて、固形の食事も摂れるようになった。
これに料理人達は喜んで、竜王様方もほっと一安心した。
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