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*怪我をする表現があります。



 みやはこの日、とうとう脱出を決行した。


別に逃げ出して他の土地へ行こうとした訳ではない。

一人の時間を獲得するためだ。


そして今現在は隠れ鬼ごっこの様な状況だったりする。

みやにとっては少しスリルがある遊びであった。


窓から木へと飛び移り、そこから降りると林の中へと入って走る。

そして再びお城の中に入ってダッシュ。

途中人とぶつかりそうになって回避し、適当な部屋で一休みをするが、見つかりそうになってまた外へ出る。


「(なんで分かるのっ? GPSでも付いてるんじゃないのっ?)」

隠れても少しすると来る。

実際は鼻を効かせてあたりを付けているのだが。

「(大体鬼が多すぎでしょっ! そっちが多勢で来るなら私も本気なんだからっ)」

と海方面にある森へと足を入れた。


「(ここまでは来ないよねっ)」

迷わないよう目印を残しながら、あまり深く入らない辺りで潜む事にする。


「このまま進んだら海に出るのかな?」

そう思うがそこまで行くつもりはない。

みやは左に回って、庭に出るか塔に戻るつもりだ。


遠目にお城の壁が見えるか見えないかの堺をジグザグと歩く。


すると突然。


「っっ!??」

ゾワリと背筋を悪寒が走った。

何だと思わず止まり、辺りを窺う。

虫か動物か?

居てもおかしくないため、よぅーく確認するが見当たらない。


何だったのか分からないまま、再び足を進めた。さっきより慎重に。


しかし。


「ひっ!?」

ビクッとする。

今なんか変な風を感じた。

何か居る。

パラディンかと思いたいが、みやの直感が否と言う。

見たくないと思いつつ、確かめなくてはとも思う。

「(どうする? どうするの?・・・)」

自問して出したのは、

気づかないふり。


多分木の上に何か居る。

みやはさり気なく石ころや木の枝を拾い、あからさまにならないように進路を城側にする。


気を張りながら、いつ襲われるかもしれないと五感を澄ます。


ガサッと音がした。


「!」

みやは咄嗟とっさに走る。

背を向けるのはいただけないかもしれないが、危険を感じたのだ。

音の位置から斜め後ろに居る。

すると音がザザザザッ ガザガザガザッ と迫って来ているように聴こえた。

みやはスピードを上げて、なりふり構わずソレから逃げる。

何か分からないが小さくは無い。

こんな事になるならもう少し近くに居るんだったと後悔するが、今は全力疾走だ。


だが。


「あっっ!!??」

何かに引っ掛かった様に前に進めなくなった。

慌ててグイグイ引っ張るが逆に引っ張られる。

そこで えっ!? と思い初めてソレを視認した。


「ひっっ!!??」

目を見開き絶句する。

硬直する体。

しかし引っ張られる力は止まらない。


ソレは黒い塊だった。それに大きな目が一つと、気持ち悪いウニョウニョが何本もこちらに伸びて、みやを絡めていたのだ。

「 や・・・   いやぁっ・・・ 」

得体の知れないソレにみやは恐怖する。


ズルズルと引っ張り、片腕と手首だったのが、足や腰、首にまで巻き付いてきた。

「 いやぁーーーっ!! 」

みやは叫んで、手に持っていた石や枝を投げつけた。

それで一瞬緩んだ絡まれたものをみやは振り払い、逃げる。

せめてナイフがあればと思考がよぎる。


みやは足を動かして、頭だけ振り返る。

「っ!!?」

ソレは自ら飛び掛かって来た。

みやは咄嗟に回避。

しかし分が悪い。

「あ゛っっ!!」

脇腹に熱いのが走った。

やられた。

アレには針もあるらしい。

そして次には足が地面から離れた。

どうする事も出来ないまま放られ、木にぶつけられる。

防御姿勢はとったが、そんなのは役に立たないくらいの勢いで当たり、ダメージは大きい。

息が一時出来ない状態になり、意識も飛んだ。

対抗出来る手段が無い。


戻った意識でみやは叫ぶ。心の中で助けてと呼ぶ。


ソレはみやが動かなくなると、再びウニョウニョを巻き付けてきて、引きずる。

拒絶し気持ちでは抗うが、無力。

「(いやぁ~~~っ!!  助けてっっ!!)」

声に出す事も出来ず涙するみや。


するとその時だった。


みやの胸元から光が。


空に向かってその光は放たれた。



黒いソレは逃げようとするが、みやを放さない。

当然引きずられるままになる。

しかしその状態は長くは続かなかった。


強い風が吹く。


そして上から木々の間を抜けて、パラディン達が飛び降りて来たのだった。




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