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“ カラカラカラ~ン♪ ”
音を立てて開かれた扉から、店内へと足を入れる。
音を聴いて奥から店の主人が出て来た。
「はーい、いらっしゃい」
「すみません、少し見させて頂きます」
「あぁー、いいよ。 ゆっくりご覧になってください」
店内には棚にずらりと整列された状態で置かれていたり、或いは壁に掛かっている楽器がある。
「(これは笛だよね? オカリナっぽい。 こっちは打楽器のブースかな?)」
手に取れる物は持ってみるが、音は出さない。
「(弦楽器にー・・、 鈴?)」
手に取るとシャラシャラ鳴る。
紐状にくっついているので、どう使うのかと思っていると、店主が来た。
「おや、それは踊り子用だよ?」
「え?」
「ほら、手や足に巻いているやつだよ。 単品でも売っているから、欲しいならこっちの棚だよ」
「あー、いえ、大丈夫です」
「そうかい?」
よく分からないが断る。
一通り見終わると、みやは店主に尋ねる。
「ここには手に持てる物だけのようですけど、他は扱っていないんですか?」
「ん?何かお求めですか?」
「いえ、そうではないんですが。大きい物はどうしているんだろうかと、疑問に思って」
「あぁ、そう言うのは流石に店には置けないよ。狭くなるからね。 ただ、受注はしてるよ。作ってる所から直接運ぶ事になるね。 後は修理や調律なんかも受けてるよ」
「そうですか」
納得した。それともう一つ聞く。
「あのぉ、この街で楽器の音色を聴ける所だと、どこがありますか?」
「そうだなぁー。 あぁ、今なら演芸団が来てるから、早いならそこだな」
「あぁ、お昼からのですよね?今日行こうと思ってるんです」
「そうかい。今来てるのは『ラオラン』って一団で、なかなか腕が良いと評判だからね。家にも寄ってくれるんだよ」
「そうなんですか。楽しみです」
「後はー・・、君にはちょっと早いだろうが、酒場でも聴ける所はあるね」
「そうなんですね、ありがとうございます」
楽器店を出た後も他の店を覗いて見たり、出見世で食べ歩きもした。
『さぁさぁ! 寄って観て聴いてみて! ラオラン演芸団のお披露目だっ! 本日お見せするのは数ある中でも取って置きっ、玉玉ダンスにトビッコの曲芸、棒登りとマジックだよっ。 瞬きする間もない芸の数々を、どうぞご覧あれっ!』
みや達は演芸団を観に来た。
団長の言葉の後に、舞台の上では演奏と共に芸をする人達が出て来る。
玉乗りをしながらお手玉をしたり、軽やかな曲に合わせて動きを見せる。
トビッコは兎の様な小動物がピョンピョン跳ねていて可愛かった。
舞台の直ぐ前では長い棒を立てて、それをスルスル登って団員がポーズを決める。
曲調が変わるとマジシャンの登場。
「前にもこう言うのを見た事はあるが、毎回不思議に思って観ている」
とルーイが言う。
「そうだよね。見抜こうと思って見ても、分からないからマジックだよね」
みやも同意。
お客さんの歓声と拍手が続き、再び団長が出て来る。
『さぁ皆様、楽しんでもらえましたでしょうかっ。 では本日は特別にっ、我がラオラン演芸団の華っ、カタリアをご紹介致しましょう!』
すると周りが、うをおぉぉぉ~~~っ!!と盛り上がる。
『美しく可憐な花の舞を少しだけ、ご堪能下さい』
団長が合図を出す。
静かな曲が流れて出て来たのは、男性2人に付き添われて来たドレス姿の女性。
「! 女の人っ。 ねぇ女の人がいるっ」
みやはルーイの袖を引っ張って言う。周りとは別の意味で興奮気味だ。
外で女性を見たのは初めてなのでびっくり。
『カタリアちゃーん!』
『カタリア素敵だー!』
『こっち向いてぇ~!』
アイドル張りの人気。にっこり微笑めば歓声は更にヒートアップだ。
彼女カタリアは踊り子らしく、曲に合わせて鈴を鳴らし、体を動かす。
「(あーやって使うのか)」
楽器店で見た鈴の使い方を知った。
「(舞って言うか、お遊戯な感じかな?)」
幼稚園レベルな動きで微笑ましいが、こうして公に出て色んな動きを見るだけで、男性陣は満足なのだろう。
3・4分で終わったが、大歓声である。
『上手だったよー!』
『カタリアちゃんカワイイ~っ』
『オレの鈴を受け取ってぇー!』
『俺の愛を受け取ってくれっ!』
と観衆が投げた鈴が舞台上に転がる。
「(え。おひねり的な感じ? だから単品売りか・・・)」
店主が単品を勧めた訳を知った。
そして舞台上のカタリアは、自分の付けていた鈴を取ってそれに口付けし、下からホイっと投げた。
するとそれに食いつく男性陣達。
カタリアは手を振って退場した。慣れてる感がある。
「では参りましょう。ここは混み合いますから」
「うん」
その後もふらふらお店を見て回り、お土産を選んで購入した。




