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言われた通りお城には城壁があって、その門に兵士が立っていた。
用件を言うと直ぐ了解され、案内してくれた。
連れて行かれた先の相手は、警護をしている兵士達を纏めている隊長の補佐だった。
お仕事中で少しドアの外で待っていたが、その内呼ばれて中へ通された。
「おやおや、また随分と若い子だね。 まずは、歳と名前は?」
鼻の下に髭を生やした壮年の男性が、机の向こうに座ってみやを見て言った。
「みや です。 15です」
「15?思ったより上だったんだね。ふむ。ー、ここで働きたい理由は、お金かな?」
「えっと・・、はい。それもあります」
「他にも?」
「・・、寝床と、食事付きだと聴きました。それに、安全だと思ったので」
「確かに」
ふっと口を笑みにする。
「では、どんな働きが出来るかね?仕事をしてもらうからにはそれなりに出来る事をしてもらわないといけないからね。良い条件にはそれに伴う働きが必要だ。分かるね?」
「はい」
「では聞こう」
みやは えーっと と考えてから答える。
「ー。 表立った事は出来ませんが、重労働以外なら多分・・。 調理補助とか、掃除や洗濯もしますし、多少武道の心得もあります」
「ほう? 武道は主に何を?見たところ剣や弓、槍も持ってはいないようだが」
隊長補佐であるからか、武道に興味を持った様子。
「・・体術を少々 です」
「ほう。その体術とはどの様な武術かね?」
「えーと、 体術と言うのは、素手、或いは短い武器による攻防の技術です。相手を捕らえたり、護身に重視した武術だと言われています」
「ほーう。ーーー」
みやは辞書通りの答えで応えた。
隊長補佐さんはじっとみやの目を見てから判断する。
「 ん。いいだろう。 ベア、部屋は何処か良さそうな所はあるかね?」
「ー、相部屋でしたら」
「うん、そうだな。その方が良いだろう。任せる」
「はい」
面接は通ったようだ。
「ミヤ、今日はもう日も暮れることだしゆっくり休みなさい。仕事内容は明日、彼から聞くと良い。分からない事もね」
「はい」
「あぁそうそう、働きによってはその後も雇っても良い事になっているからね。ミヤは長期希望かね?」
「え・・ー、まだ分かりません」
「そうか。まぁその時になったらでも良いよ。よく励むように。同室の者とは出来るだけ仲良く頼むよ」
「はい、ありがとうございます」
「では私も失礼します。 行くぞ」
「あ、 はいっ」
再度お辞儀をして、ベアと言う青年について行く。
歩いて行く後ろをついて行きながらベアから説明をされる。
「始めは慣れないだろうが出来るだけ早く覚えるように。 多分お前は城内を担当するだろうから場所を覚えろ」
「はい」
「同室の奴はもう3度目の常連だから、詳しい事はそいつに聞くと良い。仕事も教えてくれるだろう。 但し、余計な所は見習う必要は無い」
「はあ・・ はい」
ベアは途中で仕事着と毛布を取ってみやに渡し、これからお世話になる部屋に案内した。
寮生活ってきっとこうなんだろうかと思いながらその後をついて行き説明を聞く。
専用の木造の家が建っていて、同じ様に雇われた人達がそこで暮らしていた。ちょっとだけ注目されながら通って行くと。
「ここだ」
そう言ってノックする。
「どちらさーん?」
と中から返事が。若い男の人の声にみやは身構える。
「私だ。開けるぞ」
と勝手知ったる様子でドアを開けた。
「来るなら来るって言って下さいよ」
中に居たのは20代前後の青年だ。
「言ってもそんなに変わらないだろう。 入れ」
とみやを中に促した。
「新しい同居人だ」
「あら・・」
「・・・みやです。よろしくお願いします」
知らない男性に身を硬くする。
「初めてだから一から教えてやってくれ。仕事内容ももしかしたら同じになるかもしれない。いや、少なくとも慣れるまではそうなるだろう」
「はあ。 あ、分かりました」
「では明日、朝食を終えたら中庭の北で待つように」
「了解です」
「はい。ありがとうございました」
ベアは終わるとスタスタと去って行った。
みやは緊張しつつ先ずは挨拶を。
「あの、改めて、よろしくお願いします」
「あぁ、ども。 俺はナッチだ、よろしくな」
と握手を求められたのでそれに返した。
部屋は両サイドにベッドがくっつく様に置いてあり、他は何も無い。狭くてシンプル。
お互いのベッドに座り、少しだけ会話をした。ナッチと言う人は明るく気さくな感じで、旅をする剣士らしい。みやは兵士さんに言われた事から、離れた所にある小さな村出身と言う事にした。
その後は下に降りて夕食を食べに行った。
「ーーー(分かっていたけれど・・・)」
この男所帯は圧迫される。
そして思ったが、どうもみやは男の子だと思われている。しかしその方が良さそうだ。パンツスタイルだったのが良かったのだろう。それ以外無い。あったらショックだ。まぁ、それでも複雑だが。こんな所で女の子一人、狙われてしまう。今は我慢だ。
「あの」
「ん?何だ?」
席について食事をしながら話しかける。
「ここってお風呂とかシャワーとかって、あの・・体はどこで洗えばいいんですか?」
大事な事だ。
「あぁ、それは浴室があるからそこだ」
「それってぇ・・、個室では・・ない感じですか?」
「あぁー、まぁ半分そうだな。洗う所は一応仕切ってある。まぁ行けば分かるさ。俺も最初だけ一緒に行ってやるから」
「えっ!・・・い、いえっ いえいえっ、そんなっ・・・あーあの、えっと・・・そ、そこって、いつでも入れるんですか?」
みやは動揺しながら尋ねる。
「あ? あぁ。 風呂は夕方だけだけどな。いいって、遠慮するな。初めてで分からない時は甘えるもんだぞ」
「・・・いえ・・大丈夫ですから・・・」
そう言う心遣いはいらない。みやは困る。
取り敢えずそこに案内してもらい、使用方法を教えてもらう。
が!
「( は は はーーーだかっっ! 裸ぁ~~~っっっ!!)」
使用中の者が数名。着替えている者も数名。
みやは見ないように下向き加減で息も止め気味だった。
「(乙女の何たるかがあぁ~~~!!)」
お風呂は10名入れ、ピークの夕方から夜は並んでいるとか。
お風呂は諦めた方が良さそうだ。
それからトイレの場所も確認して部屋に戻って来た。みやは自分のベッドで横になる。
「(あ~~~ ドキったぁ~ ・・・) 私、やってけれるのかなぁ・・・ 」
まだ初日前夜なのに既に暗雲が・・。
みやはナッチが抜けて居ない間にチャチャっと寝間着になり、布団に入った。そしてストンと眠りにつく。
その後。
「あれ、 ミヤ? もう寝たのか? 早ぇー。ーー、ま、疲れてたんだな」
戻って来たナッチはその寝顔を確認した。
「・・・・・・ カワイイ顔してるな 」
そう言って自分も早々と布団に潜るのだった。
バレるのか? バレないのか?




