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「みや。 ・・眠れなかったか?」
こちらに来たみやに気付いたルーイが聞く。
「うん。 隣りいい?」
「あぁ、おいで」
隣りに座るみやに、寒いからと自分の毛布を広げて半分掛ける。
つまり相合い毛布な状態。
しかも密着。
なんか罠に掛かりました?・・・
「ルーイはよく外で野宿したりするの?」
「よくではないが、ある。 こう言うのも経験だ。 みやはあるのか?」
「うん、何回か。 暑い時期になると、避暑地を求めるの。だから山へ行ったり、海に行ったり、涼しい所へ遊びに行くよ」
「へぇ。つまり住まいを変えるのか?」
「そこまでしないよ。ちょっと出掛けるだけ。1日から数日とか、連休が長いと少し遠出する人達もいるけれどね。あでも、ちゃんと宿泊する所があるから、野宿はまず無いかな。私は友達とか家族で、3日くらいしかないよ」
「外泊は当たり前なのか」
「そうね。珍しくないよ」
ルーイは関心を持って更に聞く。
「今日みたいに野宿する時は、みやも料理を作ったりしたのか?」
「あぁー、あったあった。 今は便利な物が沢山あるから苦労しないけど、子供の頃に必ずと言っていいほどやるよ。 火起こしとか火種からやった事あるけど、結局上手くいかなかったなぁ。で、点いたら点いたでその火を大きくする為のコツがあるの。 あと火力調整。消えないように薪をくべたり風を送ったり。あれをやってるのが一番熱かったわ。目が焼けるかと思うくらい」
「大丈夫だったのかっ?」
ルーイがぎょっとして心配する。
「え? 大丈夫だよ」
「そ・・ そうか・・・」
キョトンとして言うので、みやの世界の常識が掴めない。
ルーイからすれば聞く範囲でしか想像出来ないが、それでも頭の中のイメージはサバイバル並になっている。
女の子が子供の時に火の起こし方を教わる環境なんて、それが当たり前な世の中とは一体どの様な世界なのかと。
みやが今回の旅をとても楽しみにしていたのをルーイも知っている。パラディンからしても大した旅と言える程の外出ではないが、そこに女の子が入れば別である。
馬があればもっと楽に早く着けるが、パラディン達は馬には乗らない。何故ならば馬側が恐縮してしまうのだ。馬車と言う手もあるが、どの道世話が出来ないしさせてくれない。
みやは抱っこも遠慮するので徒歩になるのだ。歩かせていると心配になるが、走ったりもするのでビックリする。疲れていても音を上げず、体が火照り息が乱れても笑う。そしてそんなみやを、愛おしいと思う。
みやはそれから暫く話していると、段々眠気が来て欠伸をする。
そして徐々に眠気の方が強くなってきたのかウトウトし始め、ルーイに凭れ掛かった。
「 ん ごめん・・・ 」
凭れ掛かったのを悪いと言う様に、体を離そうとするのを、ルーイは苦笑いしながら腕をみやに回す。
「大丈夫だ。 眠っていい」
戸惑いを見せつつも、体の力を抜くのが分かり、少しばかりの喜びが湧くのを感じる。
焚き火の音を聴きながら、やがて眠りについたみやを、今暫しこの腕の中に入れて、その存在を感じながら自らも目を閉じるのだった。
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