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それから何事もなくのんびりとした日々を送り、来たる今日は街へと行く日だ。
竜王様達に心配されながら見送られのは、みやとルーイ、そしてパラディン達6名。
パラディン達は常時組と交代組がいるらしい。
みやはこの日を心待ちにしていた。
3度目のフライトだがまだ慣れない部分はある。360度の開放感と、生き物に乗っていると言う事。しかも人の姿もとれる竜なので、心の中で失礼しますと言ってしまうのは変ではないはず。
一人ではとても乗れない。今もルーイの腕がシートベルト代わりだ。
何かと色々生きてる事を実感するに十分過ぎる刺激が満載だ。
風の音が耳を覆っているのを聴きながら、国境の山々を越える。
そして徐々に降下して行く。
僅かな飛行だったが、そこはもう違う領地。ゆっくり静かに着地を果たすとパラディンから降りる。
「大丈夫か?」
「うん。 デュランさんもありがとう」
「いえ」
乗せてもらった礼を言って、改めて辺りを見る。
「ここはどの辺になるの?」
「山を越えた所だから、目的の街まで半日から1日と言ったところかな。休みながら行くからそのくらいだと考えているが、無理せずに疲れたり辛かったら休むから言ってくれ」
「はーい」
「では先ずは街道に出よう」
足元に気を付けるように言われながら、手を繋いで歩く。始めは抱っこして行くと言われたが却下した。
前を歩くパラディン達が歩き易くしてくれている。
囲まれて進み、半時ほどしてやっと街道に出た。
「大丈夫か?喉が渇いてないか?」
「あーうん。少し欲しいかな」
まだ道に出ただけなのに少し疲れた。目的地までの距離感がつかめないのと、慣れない知らない道が疲れさせる。
「少し休もうか?」
「ううん、大丈夫」
ルーイは細目に気遣う。
みやは水分補給をすると、
「よしっ、行こうーっ」
と駆け出した。
「みやっ。いきなり走ったら危ないっ。 体がもたないぞっ」
ルーイの声を背に聞くみやは、どれだけこちらの女性はひ弱なのかと思う。
ただただ歩くだけなのはつまらない。なので景色も見つつお喋りをする。
「ねぇねぇ、今から行く街って大きいの?」
「んん~、大きいと言う訳ではないが、人の流れはある。 私達の様な団体でも目立ちはしないだろうくらいには、賑やかな通りもあるな」
「ふ~ん。 お店いっぱいあるかなぁ?」
「そうだな、日用品や食べ物なら困らない程には出ているだろう。調度品や贅沢品も何件かあるはずだ。 みやは何か欲しい物があるのか?」
「え? んー。 今は特に無いけど・・。取り敢えずどんな物があるのか、早く見てみたいな」
「アビス国の首都で市場は見なかったのか?」
「あぁー。んんー・・、あの時はそんな余裕なかったからなぁ。 見慣れないものばっかりで、そのまま真っ直ぐにお城に行ったから、正直売り物までは気に留めなかったかな」
「そうか・・。 何か希望があれば何でも言って構わないからな?」
「うん」
音楽大使としての目的とは関係なく、取り敢えずは美味しいものだ。後はお土産。
みやはてくてくと歩く。




