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任命式当日を迎えた。
「お美しい・・」
「ミヤ姫様、とても良くお似合いです」
「とても見目麗しいです」
「お綺麗ですよ」
四方八方からの賛辞。
鏡に映っている自分は、ゴージャスではないがどう見ても白いドレスを着ている。
緩く編んだ髪には大輪の花が差してある。
ドレスの下はコルセットではなく、専用の下着があった。着たことなどはないが、テレビやマンガとかでは苦しそうな物だと言う事は知っていたので、それは無くて良かったかもしれない。
それにしても・・・。
「(ウエディングドレスみたい・・・)」
そう思う。
「ねぇ? これって大使って感じではないと思うんだけど?」
と聞いてみる。
「女性の式の召し物はこの様な服装でございます。 今回は任命式ですので、華やかさは抑えております」
「あぁー、 式専用なのね・・」
やや複雑ながらも、やはり女の子としてドレスは気持ちが上がるものだ。多少の重さもドレスの重さとして実感出来るので気にしない。
裾を持ってくるっと回ってみたり、重心を確かめる様に歩いてみたりした。
そんな様子をパラディン達は頬を緩めて和ましく見ている。
求めている存在が居る幸せ。例えまだ本望ではない形でも、この空間は長い間失われていたものだ。愛おしいと感じる。
「ではミヤ姫様、参りましょう」
そして階段は抱っこされた。初めてのドレスで、長い階段は少し自信が無かったのでここは辛抱する。
下まで来て自分の足で立つと、王様の謁見の広間の前まで歩いた。そこにはルーイが正装の姿で凛々しく立っていた。少し上気した様子で頬を染めてみやを見ている。
「お待たせ」
「・・・・・・」
「・・・? ルーイ?」
「っ・・あ、あぁ・・。いや、大丈夫だ。 ・・余りに美しくて、見惚れてしまった 」
「!・・・」
甘い眼差しと褒め言葉にみやの脳内がまた騒ぐ。
「(えーーーっ! 何ですかそれっ! とっても王子様発言が来たんですけどぉっ! しかも何ですかっ? この眩しい顔と溢れるフェロモンはっ?? やっぱり王子様故の特有なものなのかっ?一般人には無いもの持ってるんですねっきっとっ!)」
そう突っ込んでいる内に謁見の広間の扉が開く。
ルーイが隣りに立って手を取り、前へ歩を進ませる。その斜め後ろからエリネ達が付いてくる。
そこでみやは我に返りぎょっとする。そこに居る全ての人達の顔が自分に向いている。
大きいお城だとは思っていたが、こんなに人が居たとは知らなかった。内輪だと聞いていたが十分多い。
みやは一気に緊張してきた。
「(これは一体何の刑っ?視線の筵だよっ。 恥ずかしい~~っ)」
その場の全員に見られながら、竜王様の前までエスコートされた。
前日に段取りを教えてもらったので、その通りに先ずは淑女らしく礼をした。完全に付け焼き刃なのだが、微笑ましく見られている。注目度がグングン上がっている様な気がする。
「オーノ・ミヤ、其方をここレフェリーナにおいて認めると共に、竜王の名によって、音楽大使に任命する。 面をあげて受けると良い」
みやは顔をゆっくりあげて一歩前へ出ると両膝をつき、差し出された手の指先に手を添えて、唇を寄せた。周りからは何故か思わし気な溜息が。
その後は竜王様に立たせてもらい、そこからルーイが引き取ってピアノまでエスコート。
音楽大使にとなるに相応しい証として、一曲披露するのだ。
「(よし ではっ)」
気合いを入れて、いざ!
弾き始めからテンポ良い軽いリズムが流れる様に奏でられる。j-popの曲でCMにも使われた有名な曲だ。
凡そ5分程の時間が過ぎて、弾き終わったみやは立って礼をする。後は退室するだけなのだが・・。
「ミヤ姫様~~!」
「ミヤ姫様最高です! 惚れましたっ!」
「俺絶っ対っ応援します!!」
「好きですミヤ姫様ーー!」
「!?・・・(えぇっ?)」
予想外の反響にみやは若干引きつつも、喜んでくれたのなら嬉しいので笑んでおく。
「ぅをぉ~~っ 笑顔がステキ過ぎるぅっ」
「こ・・興奮し過ぎて鼻血が・・・」
「こ・・この気持ちはもしや恋っ?!」
「わ・・私の心臓がトキメキしているっっ」
「あぁ・・ まるで天女だ・・・ スキ・・・」
どうやら掴みはOK。ちらほら告白も混ざっているが気にしないでおく。中には涙している者までいた。
どうしたらと思っていると、パンッパンッと手をたたく音が。
「静粛に!」
ベルネの声で広間は静まりほっとする。そして式は終わり退室した後は解散となった。
ルーイは塔の階段下まで送ってくれた。
「みや、昼食後は一緒に過ごしたいのだが、良いか?」
「あーうん、大丈夫だよ」
「そうか。ではまた直ぐ後でな」
ルーイは良かったと言う顔で嬉しそうにみやを見送った。
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