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寝る準備をして布団の中に潜ったみやは、深く息を吐く。
「(何か・・・何だかんだと今日も終わったなぁ・・・。 任命式か・・・。 内輪で済むみたいだから直ぐに終わるんだろうけど、なんか大層な事、受けちゃったなような・・・)」
そこでまた溜息。
「(・・・。 まぁ、いいか。 話し合いはこれからだし、まだ何にもやる事決まってないしね。 何とかなるっ。・・・多分・・・)」
不安もあるが、切り替えも出来るみやだ。
内心では何も職をわざわざ作らなくてもとは思ったのだが、この国の益となるならお世話になるお礼にもなるし、何れここを出る時に少しは手持ちのお金があった方がいい。
勿論、竜王様達は働いてなくても色々持たせてくれそうではある。だがそれはこちらが申し訳ないのだ。
みやが今日の纏めをグルグル思っていると、テラスから誰か入って来たようだ。
小さな声で会話しているが、耳をそばだてて聴いていると、その声はエリネのようだ。
そう言えば今日はまだ見ていなかったと思い、みやは身を起こした。
「エリネさん?」
呼びかけるとエリネは直ぐに傍に来た。垂れ幕の外で膝を折る。
「ミヤ姫様、起こしてしまいましたでしょうか?申し訳ありません 」
「いえ、起きてました。大丈夫です。 その、、今日も勤務の方、お疲れ様です」
「・・いえ 」
「皆さんもちゃんと休んで下さいね」
「労いのお言葉、ありがとうございます」
「いえ・・。 あのぉ・・、 明後日の事なんですが・・。 聞いてますか?」
「はい、お聞き致しております。 ミヤ姫様に相応しい事かと存じます。大変ではあるでしょうが、我々が精一杯お支えする所存です」
「あー、 ・・ありがとう ございます。それで、 その明後日の予定ももう分かってたりします?」
「はい。 明後日はいつも通りの起床で大丈夫です。式はお昼の少し前に行う予定で、そのまま一度お召し替えをした後に会食となっております。その後は休憩を挟み、午後のお茶の時間から今後のお役目の話し合いをする事になっているようです。 尚、明日明後日の習い事はございません」
「あー、そうなんだ・・、ありがとう」
もうそこまで決まってました。
みやは諦めの息を一つつくと、そこで一旦話を区切り、ベッドの上で正座した。
「ところで話は変わるんだけど、 ちょっと聞いていい?」
幕の外側と言っても薄いので姿形は見える。
「はい。 ?」
「パラディンさん達も武術の稽古とかってするんでしょ?訓練とか?」
「・・はあ、 はい。 個人でもする者はおりますし、全体でその様な時間を作り行う事もございます」
「それっ、見学したいんだけど。 ダメ? 」
エリネは少し返答に困った顔をする。
「ご見学 ですか?」
「うんっ。観たいのっ」
両手を組んで期待の目っ。その効果のほどは・・?
「ーーー。 ・・分かりました。 しかし、日程を組まなければいけませんので、直ぐにと言う訳には参りません。それでも宜しいですか?」
「ホントっ? ありがとう! うんっ、そっちの都合に合わせてもらっていいよっ」
声も弾む。
「 しかしまた何故ですか?何かご理由が?・・」
「ううん、興味があるだけだよ。皆さんがどんな稽古をしてるのかなって」
「そうですか」
こちらの普通ではその様な事に興味を示す女性は居ないので、多少の困惑がエリネにある。いや、部屋にいたパラディン全員そう思っている。
「あ、そう言えばこっちの人って、よく剣を持ってるみたいだけど、それって普通なの?私はこっちに来てから初めて生で見たから」
「ー、そうですね、男性は大概刃物を扱いますから。しかし剣を所持しているのはその様な職業や身分の者でしょう」
「ふ~ん。 皆さんは剣以外の武術は?」
「他ですと、弓術・槍術・竜術でしょうか」
「? 竜術?」
「竜術は馬術の馬を竜にした様なものです。勿論全く同じではありませんが」
「そうなんですね」
実際のところは見ないと分からないだろうが、一応納得する。
他にも聞きたい事は浮かんではいたが、寝る前だしとまたの機会にすることにした。
「ありがとう。また明日よろしくお願いします。 おやすみなさい 」
みやはペコっと座礼をして布団に入った。
「 おやすみなさいませ 」
エリネもそっと静かに離れた。




