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パラディン達が食事の準備をしている間、みやは屋上のガーデニングを眺めて回った。
ふと母親の顔が浮かんでくる。家のガーデニングとは比べものにならないが、思い出してしまう。そして連鎖的に家族も。
「(元気かなぁ・・・。 私のこと、どうなってるんだろう・・・)」
考えてもどうにも出来ないけれど、思う事をやめようとは思わない。そうでなければ自分が分からなくなる。きっと必ず帰れる。その希望はある。
みやは花に触れたり匂いを嗅ぎながら過ごした。
暫くして準備が出来たので案内してもらった場所に座った。
「・・・(えーと・・・ 増えてる?)」
なんか凄く大所帯になっている。そして麗し過ぎる。
「(何だコレ。 ホステスってこんな感じか? こんなの侍らせちゃっていいんですか。 和やかにランチとかこれで? 無理じゃない?)」
自分で言った事だが、人が増えてキラキラ度がグンと上がってしまった。
自滅。
「ミヤ姫様、お取り分け致します。どれがよろしいですか?」
流石食べ盛りの男性達の食事だけあり、山の様に積まれている。
「(よし、食事に集中しよう) えーと・・、そこのお野菜とぉ、パンを3つ下さい。 あ、果物も欲しいです」
取って貰った物を頂きますと口へ運ぶ。
「(おいしいんだけど、お米や出汁の味が恋しくなってきたかも・・・)」
味は馴染めるものだからいいが、やはり日本人としては食べたぁ~と言う満足感に一歩足りない。
お世話になっている客人の立場で我儘は言えない。美味しいのだから食べれるだけで感謝しなくてはと思いながら食べる。
「(外で食べるのは正解だよねっ)」
焼き立てのパンは湯気まで美味しく、外の空気と一緒になって更に美味しい。
野菜も新鮮だし、近くに海があるから魚も獲れるし、山もあるし牧場もあるのでどれも美味だ。
「遠慮なくおかわりして下さいね」
美味しそうに食べていたらしくそう言われた。それに頷きながらもみやは食べ過ぎないようにと心得る。和食は恋しいが美味しいからつい食べ過ぎる。
周りのパラディン達をそれとなく見ると、ガッツリ肉とパンを食べていた。見ていて気持ちがいい。自然と頬が緩む。
こうして見ていると、見た目は兎も角普通に見える。あの大きな竜になれるだなんてこの目で見なければ信じられなかっただろう。
「(それにしてもカラフル~)」
髪も瞳も様々な色をしている。地毛だと結構綺麗なものだ。
「(皆さんこれがフツーなんですね。 取り敢えず、顔と名前、覚えられるか・・?)」
今ここには20人ほどだが、これでも一部だ。これは気長に構えて、よく見かける者から覚えていった方がいいだろう。
その日からみやのこっそり観察が始まったとか。




