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ルーイとパラディン達が追いかけるが、みやは下まで下りきった。
「(やったっ)」
清々しい達成感。
直ぐに追っかけ組が追いつく。息切れをしてないのは流石だ。
「みや、一人で行くな。落ちたらどうするんだ」
「もーう、過保護だし。さぁ行くわよっ」
さっさと先に進むみやにルーイ達も一緒に行く。
そうしてピアノのある部屋に来たみやは、パパっとスタンバイする。
「さぁやるわよ。鼻歌でもいいからメロディーが分かるように歌ってみて」
「・・歌うのですか?」
「うんそう」
どうも自信が無いよう。
「恥ずかしがっても進まないわよ? あーでもうーでもんーでもいいから、声に出してみて?」
するとパラディンの一人が進み出てくれた。
「あの、確か出だしはこうだったかと・・」
小さく咳払いをし、目を瞑ってハミングをしてくれた。そして仲間にどうだっただろう?と問う。
「あぁ、合ってる。そうだった」
パラディン達は記憶を辿りながら、拙くはあるが音をくれた。
それをみやは繰り返して自分でも歌ってみて、ピアノの音を出す。地味な作業だが一小節ずつ出来ていくと、パラディン達の目が嬉しい色になるのが分かる。
「(どうも3拍子ねこれは)」
紙に音を書き込んでいく。
曲自体は思ったほど長くはなく、ゆっくり弾いても1分位のものだった。
それを確認の為通して弾いた。
「どう? メロディーは合って・・・っ! ふぁっ 」
いきなり抱き込まれた。
「・・る・・・ ルーイぃっ? 」
何だどうしたと、あたふたするみや。
「ー。 凄いな・・・ ありがとう・・・ 」
「??」
顔を上に向けると、優しくあったかい、それでいてちょっぴり切ない顔のルーイが居る。
「まるで、母上に会ったような気がした。 礼を言う 」
言う、と言っておきながら、おでこと頬っぺに口付けた。
「あ~ う~ ん~ ・・・ いえ・・・」
ところで両手弾きと聞いていたがと尋ねると、今のを両手で弾いていたらしい。こちらでは弾ける人は皆この位なのだろうかと問えば、ルーイのお母さんより上手な人はいるそうだ。それでもみや程の腕前は聴いた事が無いと言う。それはやっぱり教える人が居ないと言う事なのだろう。
楽譜を知らない、その様なものも知らないようだから、ちゃんとした曲も多くはないのだと思うし、弾き方も統一されてはいないと見る。
それは確かに自信を持って教える人は居ないだろう。しかも王族のお姫様に。
そろそろお昼時だと言うので、ルーイは職務に向かった。
「ミヤ姫様、昼食はどうなさいますか?」
「?どう? え、いや・・ 食べますけど ?」
「あぁいえ、そうではなく、 どちらで召し上がりますか?一度お部屋に戻られますか?」
「あぁ。 いえ、別にどこでも構いませんけど。部屋に用事も無いし」
「でしたら、あちらは如何ですか?折角の良い天気ですし。 屋上ガーデンはまだ見学されておりませんでしたよね?」
「いいの?あそこで食べて」
「はい。 これからご用意致しますので、その間見て回られるとよろしいかと」
ピアノがある部屋から外に続く向こうには、ガーデニングされた庭園がある。
みやはそうさせてもらう事にして、早速足を向けた。
と思ったが、直ぐに振り返った。
当然そこにはパラディン達がいて、みやはまじまじと見る。
見れば見るほどイケメンだ。見た目では下でも20半ばから、上は40代と見える。長寿らしいので実年齢は知らない。それでも美形には違いない。
この面子に囲まれて見られての食事・・。
「(新手のイジメかそれは・・?)」
一人で食べたくないなと思っていたから、これは何とかせねばと思う。
「・・・? ミヤ姫様? 如何されましたか?」
「あ、ううん。何でもないです。ーー、あのぉ・・・、一つ、お願いがあるんですが・・。聞いてくれますか?」
「はい。どの様な事ですか?」
嬉しそうに聞いてくる。
「そのぉ・・、出来たらなんですが、 もし良かったら・・・ 一緒に、食べてくれますか?・・」
ちょっぴり勇気を持って言ってみた。
「 我々とですか? 」
コクコクと頷く。
「ダメ?」
「とんでもありません。とても嬉しく思います」
「本当?良かった。 じゃあ皆の分も用意してね」
「はい」
パラディン達はみやの下に2人残し、後は準備に取り掛かった。




