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ようやく朝食を口にして食べていた時、みやはふと疑問に思った事を尋ねた。
「ねぇルーイ、普通の食事は皆床の上なの?夕食はテーブルだったよね?」
テラスにもテーブルと椅子があるので、どの様な区別なのかと聞く。
「あぁ、皆で集う時はテーブルだな。こうした個人的な一室では床で食べるが、別にどちらでも良い。 みやの世界では違うのか?」
「そうなんだ。 私の所も国柄があるけど、大体テーブルかな。私の国だと椅子無しのテーブルで食べたりもあるよ。」
「立食なのか?」
「あーううん。脚の短いテーブルがあるの。床座りで料理はテーブルの上に置く形ね」
「あぁ」
「敷物を敷くとしたら、外でピクニックかお花見くらいかな?」
「お花見?」
「そう、知らない?お花見ってそのままお花を観る事なんだけど。 私の国には季節が4つ巡って来るんだけど、暖かい季節になると桜って言う桃色の花が満開に咲くの。沢山咲いている所には人が沢山集まって、観賞して行くんだよ。花を愛でながら飲み食べして楽しむのが昔からの風習なの」
「ほぅ。みやの国は奥ゆかしいのだな。 ここはほとんど暖かいから、何時でもそのお花見が出来そうだな」
「そうなの」
常春は羨ましいが、メリハリが無くなりそうだ。
「しかし一年で4つ、つまり4回気候が変わるのは目まぐるしいな」
「そう?私はそれが普通だから、時の移り変わりが分かるのはいいと思うんだけど。 色んな自然の景色が見れるし、変化があると飽きないわ」
「まぁそれも分かるな。 私は変わらずあるここが落ち着いて良いと思う」
「それもいいと思うよ」
ルーイはみやにもここで落ち着いてくれたらと思う。
「そうだみや。この前約束した事を父上に言って検討してもらったのだがな? 文字の読み書きはウイリスが教えることになった」
「ウイリスさん?」
確か王様と一緒に居た一人だったと記憶している。
「えーと・・、ちょっと紫っぽい髪の人?」
「あぁ。ウイリスは教官としても優秀だ。私が幼い頃も教育係だった。知りたい事があれば聞くと良い」
「はい」
「それと編み物だが、竜族の女性達が手解きしてくれるそうだ。ミィナも一緒にな」
「へぇ」
女性に会えるのは嬉しいかもしれない。が。
「(きっと美人さんばっかなんだろうなぁ・・)」
その中に平凡な自分。浮く気がする。
こんなのが王子様の相手になるかもしれないの?と思われるかもしれない。
ちょっと憂鬱になりそう。
「ダンスは言っていた通り私が教える。 それと・・、これはお願いなのだが・・。講師になってくれないか?」
「ん? え?何の?」
「ピアノのだ。 昨晩の演奏は素晴らしかった。これは父上からと言うより、ミィナからの頼みなんだ。良ければ引き受けて欲しいのだが・・」
「ええ? 私ピアノなんて教えたこと無いよ?ここの近くには居ないの?調律もするでしょう?誰か弾ける人いるでしょ?」
「あーまぁ・・。居るには居るが、皆畏れ多いと断られてしまっているのだ。ー。 私の母上は嫁ぐ前に、近くにあった屋敷から聴こえてくる音でメロディーを覚えて、嫁いでから独学で弾き始めた」
「え、凄い」
「母上の曲はいつも決まった1・2曲程度で、両手を使うと言ってもみやの様に一度に多くの指を使って、あんなに沢山の音は出さなかった。それでも好きだったけどな。 ミィナもうろ覚えながらも母上の音が好きだったから、弾きたいと言う想いは分かるのだ」
「ー。 ルーイは覚えているの?お母さんの曲」
「んー、そうだな・・。口に出すのは恥ずかしいが、ゆったりとした温かいメロディーだった」
「ふむ。ーー。ねぇ、じゃあそれを先ず私に教えてくれる?楽譜を作るから」
「がくふ??」
「そうよ。音が記されている、つまり曲が書いてあるのが楽譜。そうすればピアノの弾き方と、楽譜の読み方を覚えれば、練習して弾けるようになるじゃない? 他に覚えてる人は居ないの?」
すると聞いていたエリネが会話に入って来た。
「失礼して宜しいでしょうか。 それでしたら我らもご協力出来るかと」
「うんそうだな。母上と常に共にあったお前達の方が記憶が確かだろう」
「そうなの。じゃあ今からピアノの所に行こうっ。 あ、紙と書くもの用意してくれる?これ位のをー・・んー・・ 10枚位?」
「畏まりました。 朝食はもうよろしいのですか?」
「身体は良いのか?急ぐ事は無いぞ」
「大丈夫だって言ったでしょ。 ご飯はもういいわ。善は急げって言うじゃない。 さ、行こ行こっ」
ルーイの袖を掴み促す。
そして放したと思えば、タタタタっと出入口まで駆けて自分で扉を開けて階段へ。
「「ミヤ姫様っ」」
「みやっ 待てっ」
ぎょっとして慌てて追いかけるパラディン達とルーイ。
みやはスルスルと階段を下りていく。
「みや! 危ない! もっとゆっくりにっ!」
「(待てませぇ~~~んっ!)」
お姫様抱っこ脱っ!!




