33
「今は気分はどうだ?」
「 だいじょうぶ。 なんともない 」
今の状態以外は。
「そうか。 辛かったら休め。今日はここでゆっくりすると良い。 私も・・昼頃に一度抜ける事になるが、それ以外は共に居よう」
と瞼にキスを落とす。柔らかな唇の感触は慣れそうもなく、こんな状態が続いたら心臓がもたないと思われる。
「あ、ありがとうルーイ。でも大丈夫だから・・」
「そうか?」
「うん。 あ、ルーイはもう朝ご飯食べた?」
話題を変えて気を逸らす。
「ん?いや、これからだ」
「じゃあ一緒に食べよ。ね」
「あぁ」
「じゃ、じゃあ、私、着替えるから」
「あぁ。 一人で大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。全然・・・」
寧ろ一人でさせて下さい。
みやは脱衣所で用意された服に着替えた。可愛らしい自然の色合いのワンピース。
その後鏡台に座り、櫛で髪を梳く。が、見られながらはやりずらいものがある。鏡ごしに見える彼らは何だか真面目に見てくるからだ。
するとルーイが傍に来た。みやの後ろに立ち、櫛を持っている手をとる。
「みや、櫛を」
「ん? え? くし?」
「貸して」
「え・・、どうするの?」
ルーイに櫛を取られる。まだ梳いている途中なのに、と思っていると、ルーイはみやの髪をとり梳き始めた。
「・・・え ? 」
思わず半分振り返る。
「ルーイ?」
「ちゃんと前を向いてて」
真っ直ぐにしてた背が更に緊張で伸びる。
ルーイの手が優しく労わる様に触れて、櫛が髪に丁寧に入る。
「みやの髪は綺麗で柔らかいな」
そう言われて鏡を見た。
「!」
目が合った。
そしてその上に微笑まれた。
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
ズッキューンッ!
暫し見入ったみやは、動きが停止したものの頭の中は忙しくなった。
「( ぅわぁ~~~っ なななななななな何なんだ何なのっ? この微笑みはっ!? 王子様かっ! いや王子様でしたっ!この人王子様でしたよっ! これが世に言う本物のプリンススマイルっ! そうなんだねっ? あああ~~~っ しかも鏡ごしヤバいっ ヤバいよっ? こんなにクるものなのかっ! うう~~~ お、落ち着けっ 落ち着くんだ私っ )」
動悸息切れが朝からオンパレードなのを必死に抑える。
もう泣いてもいいだろうか。
とそこへ朝食が運ばれて来た。ちゃんと2人分あるようだ。
「あ、ありがとルーイ。もういいよ?ご飯も来たし」
正常な空気が吸いたい。
「ん?まだ梳いてるだけではないか。いつも結っているだろう?」
「あー、・・じ、自分で後はやるから、大丈夫」
と断るが。
「ダメだ」
と即行で爽やかに却下された。
そしてパラディンを2人呼び、今日の髪型や使うアクセサリーや色について相談を始めてしまった。
「結い上げた姿もお美しいですが、今日はおろしてみては如何でしょう?お召し物に合わせ、可愛らしくなられるかと」
「でしたらリボンを付けましょう。白のレースはどうですか?」
「うん、きっとよく似合う。 みや、それで良いか?」
「え。 あ、はあ・・ はい・・」
半ば推されて決まった。
3人がかりでとっても恥ずかしい。長身美形のイケメンズのナイトと王子様にって・・・
「(一体どんな待遇ですかっ!? 私何者扱いっ!? 一般庶民ですけどぉっ!!?)」
頭も髪も絶賛に触られた末、やっと終わった頃には本人とは対照的に、満足そうな顔が並んでおられた。
「・・・・・・(あー・・ やっと終わったー・・)」




