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目が覚めた。
すると何人もの目が自分を見ていた。
「!!」
ドアップではないが、寝起きで顔を覗き見られていると言うのはビックリする。
「ミヤ姫様、お加減は如何ですか?・・」
体の調子を尋ねるのはエリネ。
何だか少々疲れ気味っぽいが、美形さんはどんな顔でも様になる。
「・・・特には・・・」
周りを見ると、ニューフェイスっぽい人達がいた。何故分かったかと言うと、格好が違ったからだ。白い衣を羽織っている。髪型や雰囲気もパラディン達に比べると、何となくキリッと言うより緩い印象を受ける。
その者達を見て目をパチクリしていると、挨拶してきた。
「私達は医竜です。初めましてミヤ姫様」
「 いりゅう・・? 」
寝起きは良い方だが、頭が上手く回っていない。頭を傾げるみやに親切に答える。
「医師の事です。怪我や病気を治す者ですよ。 ミヤ姫様は昨夜、湯殿に長く浸かり過ぎたのでしょう。のぼせてそのまま気を失われたのですよ」
「 は・・・・・・・・・・・・ 」
そうなんだ。そう言えば記憶が無い。とみやは思い出そうとする。
「(あぁー。 そう言えば、出ようとした辺りからぷっつりと無いかもぉ・・)」
ほーうと思っていたのだが、ふと ん?と思う。
で、その後私どうなった? どうされたんだ? と。
自分を見ると、こちらの寝間着になっている。
ここには侍女のような女の人は居ない。
つまり・・・
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
そういう事になるだろう。
みやは部屋に居る者達に目を留める。
つまりつまり、この見目麗しい方々に見られた。
「~~~~~~~~~っ・・・」
みやは一気に顔を朱に染めた。そして。
「 ぅわぁあああぁ~~~~~~ 」
布団の中へリバース。
身悶えしずにいられないし堪えられないっ。
「(有ーりー得ーなーーーいっ!! ああああろうことかっ 私としたことがーーっ のぼせて気絶してっ そのまま爆睡だなんてっ! しかもこんな男の人達が居る中っ 熟睡ってどうなのぉーーーっ!)」
乙女心が爆死しそうだ。
布団の中で足をバタバタしたり体をゴロンゴロンさせるみや。
「あぁミヤ姫様、大丈夫ですか? 落ち着いて下さい」
「んんーんん~~!(無ー理~~!)」
顔を枕に擦り当ててフルフル。
「(お嫁に行けな~い!)」
う~ あぅ~ と言葉にならない声をくぐもらせながら蹲っていると、布団の上から手の重みがあるのに気付いた。エリネだろうか?宥めてくれているようだ。居た堪れないし、照れ恥ずかしいが、優しさが伝わってくる。
見ず知らずの所に来て、図々しくもお世話になり、ルーイの想い人と言うだけでこんなにも親切に接してもらえ、申し訳ないやら有り難いやらだ。
何とか落ち着きを取り戻したみやは、顔をのそりと出す。
「・・・ありがとう。・・ごめんなさい・・」
そう言うと、まだ火照っているだろう顔を半分布団で覆う。
「ー。 大丈夫です。 何かお食べになれますか?」
みやはコクリと頷く。
「只今ご用意致します」
様子を見ていた医竜達も、大丈夫そうだと退室していった。テラスから。
みやは待つ間ぎこちなく、居心地悪かった。
「ぁ・・・ あのぉ・・」
勇気を持って声をかける。
誰にともなくかけたが、一人のパラディンが傍に来た。
「何か」
優しそうな声を返される。
「あのぉ・・、 昨日の夜は、ごめんなさい。迷惑かけて・・・ 見苦しいものまで見せてしまって・・・」
「いえ、何事もなく良かったです。寧ろ我々の方に非が。逸早く察し助けることが出来ず、申し訳ありません。 それに、ミヤ姫様を支え、助けお守りする事が我々の務めです。迷惑などと思わないで下さい。それから、見苦しいなどという事もございませんでしたが・・・、何を見苦しいと?」
キョトンと聞かれる。
「え? え?? あー・・ え? あの、だからー・・」
それを言わせるのかと言いよどむ。しかし分かってない様子。
「~~~ で、 ですから、 その・・・ か らだを、 み、見せて しまい・・・ 」
これ以上は恥ずかしいと思いつつ告げると、パラディンは意味が測りかねる感じで返す。
「お体を、ですか? 特に・・・ ! お見苦しいなんてとんでもありませんっ。介抱差し上げるのは当然のこと。その様な健気なことを・・。 もっと甘えて下さって良いのです。どうかお一人で全てを背負わないように。我々一同、ミヤ姫様の信頼を得られるよう努めて参りますので」
「・・・、は い 」
何か少し意味を間違えているような気がするが、そこら辺は騎士道精神によってセーブされてでもしているのかもしれない。それともこちらではごく当たり前に見慣れているのか?それはどんな開けた社会なんだと思う。
そうみやが思っていた矢先、訪問者が。
「みやっ!」
突然入って来たのはルーイ。
「!」
「大丈夫か?昨晩倒れたと聞いて・・。 何ともないのか?」
凄く心配した様子でみやの体に触れて見回す。
「 ・・ルー、イ・・ 」
「ご安心ください。少々長湯をされ、のぼせてしまったとのことですので」
傍に居たパラディンが少し下がって代わりに答える。
「そうか・・。ーー みや 」
ルーイはそっとみやを抱き寄せてギュッとした。
みやは朝から心臓の脈が上がる。
「( っていうか、ルーイのせいだよねっ? ルーイが原因じゃないっ?)」
何かとキスをされる度に放心して感情が乱れている気が・・。
求婚されているからか積極的なのは分かるような気がしなくもないが、だからと言ってみやには急過ぎて受け止めきれない。
みやはうむむと唸るのだった。




