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  □  *  □  *  □  *


 異なる世界から来たと言う少女。そして、竜王の花嫁となるやもしれぬ姫。

習慣の違いから多々難しい所があるようで、先程も一人で入れると湯殿へ入っていった。

どうもミヤ姫様にとってはあり得ぬ事だったようで、非常に取り乱されていた。後で詫びなければ、とエリネは思い一人息をつく。


「(馴染んで下さるだけでも時がかかるか・・・)」


ここに嫁ぐ花嫁は少なからず驚いたりもするし、始めは慣れないと言う。それは“竜王の花嫁”と言う特別な職業からくる役割にある。

普通は嫁ぐ時に呼ばれる花嫁と言う言葉。しかし“竜王の花嫁”とはこの国の職名。嫁ぐ前から次の花嫁まで続くものなのだ。

その役割は主にパラディン達、ひいては竜族と共にある事だ。お互いの関係には切れない絆があり、共にある事が自然な形となる。

恋愛でもなく信頼と敬愛、親愛の情が生まれ、心惹かれる存在なのだ。


竜王様と竜王子様の想いあって今は距離をとっているが、パラディン達の中では既に惹かれている者が少なくない。竜騎士として自制しているが、ミヤ姫様の心がここに、そして我々にないまま去って行かれるかもしれない。そんな時が来なければと願うが、それを思うと心が苦しみ悲しむのは、自分も既に心惹かれていると自覚する。


「(どうか   どうかお二人が結ばれますように。   そして、ミヤ姫様のお心を少しでも我々も支える事が出来ますように )」

エリネは総天地竜様に祈る。



「エリネ」

一人思いにふけっていると同士に呼びかけられた。

「何だ?」

「ミヤ姫様が心配なんだが、、中に入っても良いものか・・」

「どうかしたのか?」

「それがお返事が無いのだ。一度声をおかけした時は直ぐに返ってきたのだが、もう随分経つ。流石に長いのではと今先程も声をおかけしたのだが、物音一つしない」

確かに長く思い巡らしていた気がする。

「分かった。私もご様子を伺ってみよう」


湯殿の前には同じように心配する者達がいた。

エリネも前に行き片膝をついて、中に居るだろうみやに声をかけた。

「ミヤ姫様、エリネです。如何されましたか?」

数秒。 確かに静かだ。

「ミヤ姫様? ・・・ 」

おかしい。気配はあるが、静か過ぎる。

「ー。 ミヤ姫様、中に入っても良ろしいですか? ご返答が無ければ入らせてもらいますが」

それから10秒程待ってみたが返答も物音さえ無い。

意を決してエリネは戸に手をかける。

「ミヤ姫様失礼します」

何かあったのでは。若干焦り中へ入る。

そして目に飛び込んできたその姿は・・。

「っ!! ミヤ姫様っ!」

まだ濡れたままで布も巻き途中で倒れている姿に、嫌な予感が的中したのを知った。

慌てて傍まで行ってその身を確認する。呼吸を確かめ脈拍をとった。

「エリネっ・・」

他の者達も息を詰めて見守っている。

「ーーー 大丈夫だ。 だが念の為医竜を」

「分かった」

直ぐに行動する。

エリネはそっとミヤ姫を抱き起した。

「申し訳ありませんっ。・・もっと早く気付くべきでした」

「それはいい。それよりお体を拭いて寝間着を」

「「はいっ」」

3・4人がかりで丁寧に迅速に世話をして、そこからベッドに運ぶ。


そっと静かに横に寝かし、冷えないように布団をかけた。

顔に触れてみると火照ほてっているように思う。

「ジェルゥ、水桶と布の用意を」

「はっ」


気が落ち着かないまま暫く、気を失っているミヤ姫の手を握っていた。


やがてテラスから医竜が3人入って来た。

「倒れられたそうだが、ご様子は?」

「気を失っているままだ」

「原因は分かっているのか?」

「ー、大分長く湯殿におられたが、いつお倒れになられたのかは分からない。直ぐ側に配備させていたが、ミヤ姫様のご習慣で、お一人で入られていたのでな・・」

「・・・」

医竜は何かを言おうとして辞めた。その代わり同じ医竜に指示を出す。

「レミィ、打ち身が無いか確認を」

「 うん 」

「アロン、容体は診断出来そうか?」

「ー。 多分、湯あたりだろう。 特に異常は見られない」

「顔の左側のここを少し打ったようですが、湿布で大丈夫そうです」

「 そうか 」

医竜達は手際よく治療する。

湿布を患部に貼り、水で濡らした布を額に載せると、パラディン達に注意事項を伝え、また明朝来ると去って行った。


取り敢えずホッとして、エリネは後を任せて報告をしに出て行った。


  □  *  □  *  □  *




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