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そして夕刻になった。
「(うっそ・・。あのピアノ運んじゃったんだ・・・)」
一体どうやって、と思うそのピアノは、ドドンと会食する広間に置かれていた。目立つ。
みやが弾くのだと聞いたミィナはそれは嬉しそうだった。
取り敢えず先ずは食事をする。
こっちは洋食オンリーらしく、パンとパスタが主食。お肉はどどんと一皿に盛られ見栄えする。それらを取り分けて頂いた。マナーは分からないが、出来るだけ丁寧を心掛ける。
味は美味しいが、和食が恋しくなりそうだ。
会話をしながらデザートまで食べて、食後のお茶が出て来ると、いよいよお披露目の時間。
緊張しつつピアノの前まで行き、お辞儀をする。ちょっと豪華なホームパーティーにお呼ばれしての発表といった感じ。
椅子に座ると一つ息をおいて鍵盤に手を置く。弾く曲は決めてきた。
華麗でリズム感あるバレエ曲からと、ゆったり聴ける美しい曲のピアノソナタからだ。
約10分間の演奏の間、静かな広間にピアノの音色が響き渡る。
流れる優雅なメロディーがやがて締めくくられると、ほっと一息ついてみやは立ち上がり、お辞儀をした。
「 見事だ 」
「ミヤお姉さまステキです!」
そこに居る全員が惜しみない拍手をし、余韻に浸りうっとりしていた。
その後みやもお茶を飲み、「毎日聴きたい」と言われたり、「みやは歌も上手いのですよ」などとルーイが爆弾発言を投下されたりした。それはお断りしたが、限りなく近日中になりそうな雰囲気の中終わった。
食事&ピアノ発表の後はパラディンと一緒にルーイがみやの部屋まで送ってくれた。あれ以上ルーイのベッドで寝る訳にはいかないので。だが・・
「(だからなんでお姫様抱っこなのぉ~~~っっ?)」
恥ずかし過ぎる!
「(ルーイがそんなんだからっ お姫様って言われるのよきっとぉ~~~!)」
ギッと睨むものの、全く通じてないのがイヤになる。
部屋に到着すると丁寧にベッドに降ろしてくれた。
「 みや おやすみ 」
“ チューッ♡ ”
「!? ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
少し長めの口付け。しかもおでこではなく唇にとっても近い頬に。
みやは放心状態で思考停止した。
「ミヤ姫様、湯殿のご用意が出来ましたのでこちらへどうぞ」
顔を火照らせて心ここにあらずな状態のみやは、差し出された手を何も考えずに取り、ぼーっとしながらエスコートされた。
「(る、、ルーイは王子様だもん。王族の礼儀ってやつよ。 で、でもでもっ、ルーイは私の事が好きって言ってたし、花嫁になってとか言ってたし? そ、そういう事なのかな?そういう気持ちでしてるのかな?・・ で、でもっ、だからってそれに浮かれちゃうのはなんか怖いってゆーかー・・・ あああ~~~っ )」
そんな事をグルグル考えていると。
「(? あれ、なんか急にスースー涼しぃ・・・・・・)」
我に返ったみやは硬直した。そこからの?
「~~~~~~っ ぁ・・・ っっk∀△×◎⋓%O#&ΦMーーー!!!」
「「!?」」
言葉にならない悲鳴があがる。
「ミ、ミヤ姫様っ?」
「どうしたっ? 何があったっ?」
叫び声を聴いてパラディン達が増える。
「いやぁっ なにっ?どう うわぁっダメっ ムリっ いやぁ~~~~~~っ」
パニック状態のみやを落ち着かせようと近寄るがそれも拒否。みやは身を縮こませる。
パラディン達も困惑している。
「ミヤ姫様落ち着いて下さい。大丈夫です。 どうされたのですか?」
「んん~んん~~~」
首をフルフル振る。
「ミヤ姫様」
と一人がみやに手を置くと。
「っひゃぅっ・・・」
余計身を固めて震える。
「どこか痛むのですか?」
フルフル。
「苦しいとか?」
フルフルフルフル。
原因が解らずパラディン達は困る。
するとみやは小さい声で言った。
「・・・・・・た・・・タオル・・・」
「? 何ですか?」
「 タオルを・・・ 体を拭く、大きい布・・ ください・・ 」
パラディンはそれを聞いて直ぐに持って来た。
「 う・・・後ろ、 向いてて・・・」
「はあ・・、はい」
言われるがままに従いそうする。
みやはそれを素早く体に巻き付けた。
「あ、あのぅ・・ うわぁあのっ あのっ・・・ だだ大丈夫です・・・あの・・・えと・・・あー・・・ おおおお風呂、いただきます。でも、あの、ひ、一人で、入るますから、 う・・、 ・・その、大丈夫です・・。 何か、分からなかったりしたら、呼びますから・・・」
と言いながら後退り、最後の言葉の後は風呂場に直行した。
パラディン達はそれを心配しつつ見送った。




