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今更だが改めて思う。
「(何気に皆さん美形揃いだよなー・・・)」
こっちに来てからというもの、二枚目三枚目率がやたら高かった。
しかしここに来て竜族と呼ばれる彼ら、竜騎士のパラディン達は皆美形以外の何者でもなかった。
見慣れないせいかこんな方達に囲まれて(しかも注目されて!)それでどうして寛いで食事が出来ようか。しかも給仕までしてくれて。騎士様は執事業も兼ねているらしい。至れり尽くせりなのだが息が詰まる。
「ーーー( そうだっ 1人で食べなきゃいいのよっ。 うんうん、次はそうしよう)」
脳内で会話して食事を済ませた。
約束通り例のピアノがある3階に来た。
「ここはもうミィナ様が偶に来られる時以外は使用されておりません」
ミィナとはルーイの妹の名前だ。
「? 以前はもっと使われていたって事?」
「・・・はい。 生前、シェリー様が・・。あぁ、王妃様の事です。それで、ミィナ様も来られるのですが、何分教える者がおらずに・・。せめて聴く事が出来たら良いのですが。ミィナ様はお身体が弱く、外出はあまり出来ずにいるのです」
「そうなの。 私、今日紹介してもらう事になっているけれど、大丈夫なのかな?」
「本日はご気分の方は良ろしいようですよ。ミヤ姫様の事を耳にされて、それは喜んでいたそうです。きっとお会いになるのを楽しみにしておられます」
「そうだと私も嬉しいかな」
そしてピアノがある部屋の扉が開かれた。
ピアノ一台に結構な広さがある。外はガーデンテラスがあり素敵だ。
そしてお目当てのピアノは、どどぉ~んと真ん中に鎮座していた。
「・・・・・・ グランドピアノだ・・・ 」
存在感ありありのピアノは正しくそれだった。
みやは近寄って触れる。手をすぅーっと撫でて確かめ、一周してしまった。
それから徐にピアノの大きな蓋を持ち上げる。と?
「「!? ミヤ姫様!」」
「? え?」
パラディン達が慌てて支える。
「私達がやりますので」
「あぁ、ありがとう」
みやはじゃあと任せて、自分は鍵盤の方へ回り、蓋を開ける。
みやにとって見慣れた配列がお目見えする。
そっと触れてから取り敢えずドの音を押した。
“ ド~♪ ”
次に軽く和音を出しつつ、中の構造を見る。
“ ドミソ~♫ レソシ~♪ ミソド~♩ ”
「(ふむふむ。 同じだね)」
確かめると椅子に腰掛け、背筋を伸ばし、指をワキワキさせると鍵盤の上に指を置く。
低い方から高い方へ音階順に指を動かしていき、指慣らしを終えると一息つく。
「あの、同じみたいなので弾いても良いかな?」
「・・・ぁ はい・・・」
一応了承を貰い、よぉ~しと気合いに腕捲りの素振りをする。
「(何がいいかなぁ~♪)」
これでも小さい子供の頃から6年間ほどピアノは習っていた。学校の合唱で弾いた事もあるし、コンクールで発表した事も。プロ並みには遠く及ばないものの、好きな曲は楽譜を探し弾いていたものだ。今は家にあるオルガンを偶に弾くくらいだったが、体が覚えている。
「(あれにしようかな)」
曲が決まると呼吸を整えて、手を鍵盤の上に。
そしてゆっくり静かに入る。音を味わう様に。
それからしっかりとした手付きでかっちりと弾く。
心に余裕が出てくると、手付きも柔らかくなり、夢の様なメロディーがその手から奏でられる。
それをパラディン達は半ば呆けながらうっとりと聴き入っていた。その才に心にゾクゾクするものを感じながら。
ポロン♩ポロン♩タララン タララ~♫
やがて弾き終えたみやは、ふぅ~ と息をつく。
するとその場に居たパラディン達がみやの傍らに膝を折り、その手をとって口付けた。
「・・・・・・ っ!?」
何をされたか理解するのに間を要した。
「ミヤ姫様・・・」
「・・なんとお美しい・・」
「( え? はいっ? )」
「この様な音色を奏でられるとは・・。素晴らしい音姫となられる事でしょう」
「(おと・・・ えー、何でしょうソレ?)」
何か称号が増えた?
「そうです、是非とも竜王様や他の方々にも御聴かせ下さい。きっと喜ばれます」
名案とばかりに目を輝かせる。
「え・・・ えーと、いえ、その・・ そんな私、王様に聴かせるような腕前じゃ・・、上手じゃないです・・」
「そんな事はありませんっ」
「素晴らしい腕前でしたっ」
パラディン達は否定して褒めてくる。
「でも・・、間違えてしまうかもしれないし・・・」
みやは断ろうとする。
「構いません」
「ミヤ姫様、どうかお好きなように弾いて下さい。聴く者は皆、家族とそう思えば良いのです」
「(え~? そうおっしゃられても~~)」
そんな本人の心の声は届く事なく、結局その日の夕食にと決定された。
習ったのは小学生頃かな?
その後は学校や自宅で。
武道やダンスもみやは色々とやっているようです。




