26
普通に一部屋分はあるテラスには、花が飾られて、テーブルと椅子も置いてあった。
手摺は少々太めで頑丈そう。
テラスからの景色は山々と、右手の森の向こう側に海が煌めいていた。
みやは端から端まで歩き、そこからの眺めを一望した。
「本当、とっても綺麗で良い眺め」
「気に入って頂けましたか?」
「あ、はい」
一番傍に居るのは総括のエリネだ。
みやは暫く景色を見ながら考えていた。
自分がここに来たのはルーイに会う為。帰れるならそれだけの関係で終わるのだが、どうやら求められて来てしまったらしい。
運命なんてよく分からない。けど出会いの偶然は必然でもあると思う。
「(花嫁かぁー・・)」
正直結婚なんてまだまだ先の事の話ではないか。親の承諾はどうするんだと言う話もある。
いやそれ以前に、自分は結婚以外の進路を決める方が考えるのは先だったはず。それがひとっ飛びに嫁にと言うのは急過ぎる話だ。
どうすれば良いのかみやには分からない。
いつ戻れるのか分からないのは不安だ。
帰れたとして、またここに来れるのだろうか?それも分からない。
ルーイが特別な想いを寄せてくれているのは、正直嬉しいと感じる。
周りは優しいし歓迎されて感謝している。
しかし自分である意味があるのだろうか?必要性があるのだろうか?
王族って国益を考えるものでは?自分は求めに応えられるのか?
そんな考えが頭を巡る。
そんな風に重く考えているとエリネが声をかけてきた。
「ミヤ姫様? ミヤ姫様?どうか・・、どこかご気分でも・・?」
みやの顔を窺い、背中に手を触れる。暗い顔をしていたので心配させたようだ。
「あ、ごめんなさい。何でもないです」
「そうですか?・・」
「はい。 あ、あの、・・エリネさん?」
「エリネとお呼び下さい。何でしょうか?」
「はい、あの・・、 地図って ありますか?」
ぼーっとしてても退屈。なんにしてもまだここにお世話になるならと聞いた。
「地図ですか? それなら図書資料室にあるかと」
「図書 資料室。 そこ、まだ行ってないので行きたいです」
「分かりました。ではご案内致します」
と言う事で図書資料室へ。
「(あのお姫様抱っこ、何とかならないかなぁ・・・ 心臓もたないんですけど・・・)」
降りる時に再びされてしまった。そこの対策も考えなければと思うみや。
妙にドキドキしつつ、案内された図書資料室に着いた。
「 うわぁ~~~・・・ 」
思わず感嘆の声が。
見上げるばかりの本棚がずら~~~っと並ぶ。
流石はお城。広さも数も呆気にとられる。
みやは胸の前で手を握り合わせ、夢の空間に浸って笑みになる。
歴史を感じる独特の空間は飽きが来ない。
「ここでお待ちください。地図をお持ちしますので。 因みに、どの様な地図をご希望ですか?」
「どの?ー、あぁ。あの、取り敢えず世界地図を。あと出来たらこの大陸のと、この国の地図が見てみたいです」
「分かりました」
エリネが傍を離れている間に、みやは本を眺める。
そして気付いた。
「・・・・・・(字、読めない?・・)」
西洋の雰囲気に違和感なく見ていたが、一冊取ってパラパラと捲ってみる。
「(読めない~~っ)」
ガックリ。
これでは暇つぶしの読書の線は無しだ。みやは気落ちした。




