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ルーイとみやはその後朝食を食べる。
「ルーイは今日お仕事があるんだよね?」
「あぁ。でもそんな遠くではないから半日もしたら戻ってくる。午後のお茶をしながら妹を紹介しよう。きっと喜ぶ」
「私の事なら大丈夫だから。気を遣わないで?」
「ー。出来るだけ早く戻るよ。 あぁ、部屋にはこの後にでも行くと良い。みやの部屋になるからな。眺めの良い所だよ」
「うん」
「それと、今日からパラディン達が側につく事になる。みやの部屋にもな。色々と慣れないとは思うが、みやの事情は話してあるから。無理はしなくて良いからな?分からない事は何でもパラディンに尋ねると良い」
「うん、分かった」
朝食を済ませると、ルーイを見送る為に外へ出た。
少しの間だと言うのに名残惜しそうに別れて、ルーイは竜化したパラディンの背に乗って飛び立った。
舞い上がる風。みやの両側に居るパラディン達が支え、風から守る様に立つ。
目を開けるともうかなり上を飛んでいた。みやは去っていくのを暫し眺めていた。
「( ファンタジー )」
何度も思っているがこれからもそう思うだろう。
そうしていると隣りから声をかけられる。
「ルーイ様なら直ぐに用を済ませて帰って来らるはずです」
「心配は要りません。 さぁご案内致します」
心寂しいと思われていたようだ。
「あ・・ よろしくお願いします」
ペコリとお辞儀をしてみやは案内される事にした。
のだが・・。
「(両手が塞がってるぅ~~~)」
両側をナイトに挟まれエスコートされている。
そしてされるがままに着いたそこは、10階相当の塔の最上階だった。
しかしみやはカチコチで顔を赤くして恥ずかしそうに俯いていた。何故なら、階段を登ろうかという所で、「失礼します」と言われたかと思うと体がフワリと浮き、気付いたら騎士様の腕の中だったのだ。
もう様付けでしょうこれはっ。お姫様抱っこは様付けでしょうっ?騎士様ナイト様です!
始めこそあわあわと抵抗してお断りしたが、長い階段だからと爽やかな笑顔で言われたら、もう何にも言えませんでした!
抵抗も無力化です!
心の中では絶叫していたみやだが、途中からはもう何も考えまいと無我の境地に。せめてもの抵抗は身を縮める事くらいだった。
そうしてやっと着いた扉の向こうに待っていたのは、ずらっと待ち構えたパラディン一同だった。
「!・・・・・・・・・」
大層な出迎えにカッチーンと固まる。
いや部屋にも付くとは言っていたが、それにしたって予想以上の人数がいたのだから何事と思うだろう。
「こちらがミヤ姫様のお部屋になります」
「今日から我らパラディンがお傍に居させて頂きますので、よろしくお願いいたします」
「・・・・・・(今サラッと何か言われた気がする。姫様とか言わなかったか?お傍にってこんなに?人口密度高いよっ?)」
混乱するみやの前に一人のパラディンが跪いた。
「お初にお目にかかります。私はパラディンの総括、エリネと申します。どうぞお見知り置きを」
ダークバイオレットの長髪と赤紫の明るい瞳。歳は30代と思われる。
「・・・こ・・こちらこそ・・ お世話になります。 よろしくお願いします・・」
あと抱っこされた状態ですみません。
「ご事情のほどは伺っております。至らぬ点が多いかと思いますが、心に思う点があれば何なりとお申し付けください。我々一同、ミヤ姫様の支えとなれるよう努めて参りたいと望んでおります」
「・・・あ ありがとう・・ございます・・」
取り敢えず普通に立ちたいです!
「早速ですが、この後で何かご希望はございますか?行きたい場所、してみたい事、何でもよろしいですよ?」
「はあ・・・ えー・・と・・。ーー。」
パラディン達の期待の視線が何だか刺さる。
さぁ、今こそ言うのだっ。
「・・そのー・・・。 お・・・ 降ろして ほしい です 」
「「?」」
「・・・、自分の足で、 立ちたい です ・・・」
ぎこちなくも主張した。
パラディン達の目がみやを抱えるパラディンに向く。
「シュノン」
エリネがそのパラディンの名を呼ぶ。
「はい」
「ー、降ろして差し上げなさい」
「・・・はい」
にこやかな顔で残念そうに返事したパラディンは、みやをそっと降ろした。
みやはほっとする。
「申し訳ありません。 それで、如何なさいますか?」
「え?・・・あぁ。 えーと・・・」
どうしようかとキョロキョロして目に入ったのはテラス。
「あ、 あの・・。 そこの、テラス・・、出てみたいです。 ルーイが良い眺めだと言っていたので、見てもいいですか?」
「勿論です。 どうぞ」
パラディン達が道を開け、そこを通りテラスへ出る。
パラディン達は過保護なナイトです。




