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今、やっと待ちに待ち望んだ事がこの竜都国レフェリーナにもたらされている。
竜王の花嫁の証とも言える石をその胸に下げた少女は今、ルーイ王子と共にいる。
その光景は嬉しく和ましいものだ。
今までルーイ王子の周りで女性との噂のうの字も無かった。それこそ優しく親切ではあるが、親しくなろうと竜王子自ら行動した事は見た事が無かった。それどころか女性からの申し出も断っていたほど。それ故に周りからは、固い蕾の竜王子と言われていた。交流の場に出向いても毎回あっさりと終わらせてくる。それに少しばかり落胆はしていた。
しかし竜王子として花嫁の重要性は理解しているからこそ、今はまだそのお心が開かぬだけ、向かぬだけだと、ゆっくり温かく見守ってきた。気配すら無かったものだから、まだ暫くは難しいだろうと思っていた。
失われたものの大きさの悲しみの傷が分かるからこそ、皆待っていた。
新しい風がこの地を包むのを。
ルーイ王子と一緒に連れ立って歩く少女は、黒い瞳に黒髪。今は少し不安の色を見せているが、時々見せる表情には輝きがある。その姿も愛らしく、そんな少女をルーイ王子がとてもとても愛しそうに見ている。
まさかずっと想い見初めていた相手がいたとは。そこまで一途な心がくすぐったく思う。
「デュラン!」
人化したパラディンの同僚が隣りに来る。
「リョーマ」
「びっくりだなっ。里中がひっくり返ってるぞっ。ー。あの方が花嫁となる姫様か・・」
心が浮き立っているのが分かる。
「あぁ。正確にはまだだがな」
「もう同然だろう。・・・あんな竜王子様の表情は初めてだ。それに、ー、見る限りでは既に両想いではないのか?」
「まぁ、そう見えてもおかしくないな」
「うんうん、そうだろ? まぁ時間の問題だな」
近い未来にきっとそうなる。それは確信なのか強い望みからなのかは分からない。しかしその未来が見えるかのようだ。
そこにもう1人が人化して降り立った。
「ラノン。・・・。どうした、そんな疲れた顔を?」
ラノンと呼ばれたパラディンは少し疲れ気味の顔で一息ついた。
「・・・、皆浮かれすぎだ。 確かに喜ばしい事だが、あくまで客人なのだから、そこら辺りを認識し間違えてはな・・。先走りは良くないと思う」
「んー。仕方ないだろう。大目に見ておけ。」
「そうそう、喜ばしい事には違いない」
「ーー。 本当に姫君になって頂けたら良いと思う」
「「あぁ」」
3人で見守りながらその未来を願う。
「ところで、一つ不可思議な点があるのだが、デュラン」
「何だ?」
「あのように愛らしいのに、何故男と間違えた?」
同僚から信じられないという目を向けられる。
「・・・・・・」
デュランは一つ鼻から息を吸って吐く。
「分からん。 いや、今思えば納得出来る、だろうな。 可愛らしいお顔立ちだとは思った。思い込みで疑う事をしなかったのだ」
「まぁお前だけではないしな。」
「んん~。納得いかんなぁ」
どう見ても少女なのにと首を捻るリョーマ。
「ーー。 どういうお方か、早くお近づきになりたいな」
その言葉に他の2人も頷く。
花嫁となる方なら心近くありたい。それはきっと自分達だけではないだろう。
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