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 空を見上げると竜が飛んでいる。大きく旋回していて、あんな高く飛ぶのだと今からドキドキする。


「あ~、こんな事ならもっと触れ合っておくんだった。名残惜しいなぁ~」

とみやの手を自分の頬にスリスリ。

「やめろ。嫌がっているだろう」

ベアの厳しい目線が飛んでくる。

「えっ、そんな事ないよねっ?俺達ちょー仲良しだしっ」

「えっと・・」

「これからも俺の事忘れないでねっ。会いに行くからっ」

「忘れても問題ありません」

「ベア殿には言ってないよーだ」

「次に来たら倍の仕事にします」

「えーっ。イジメだイジメー」


何だかんだ言っているが仲は良いように思う。



 やがて広い場所にその姿が見えた。

そして向こう側も気付く。その大半が。いやルーイ以外の全員がみやを視界に入れると凝視した。目を見開いて口をポカンと開ける。

その反応にナッチが忍び笑う。皆同じじゃん、と。

みやはみやで視線の串刺しで顔が上げられない。

「(注目度高いんですけどぉー!)」

その視線の中を歩いて行く。


ベアが止まって離れたので顔を上げると、王子であるルーイが足早に来ていた。

ナッチも空気を読んで後ろに下がっている。


「みや」

ルーイは一度手前で止めた足をもう2歩進めて、みやをその腕の中に抱き寄せた。

「会いたかった」

「ルーイ・・」

「待ったか?」

みやはブンブンと首を振る。

ルーイはみやを胸から離し、その姿を間近で見る。

「よく似合う」

「・・・ありがとう 」

ちょっと照れる。


 それから行こうかと手を握り、肩に手を回してエスコートされるのを、みやは立ち止まってルーイの方を向く。

「?」

「あの、挨拶をしてからでもいい?お世話になったから」

「それなら先程私から済ませておいたが」

「ううん。私が言いたいの。私の口から。 それと荷物を持ってもらったままだし」

「ー、そうか。 荷物は受け取らせるから、みやは言いたい者の所へ行くと良い」

「うん、ありがとう」


みやは小走りで行き、1人1人に挨拶をしに行った。

最初に隊長さんとその補佐さんに。補佐さんに至っては深く詫びられた。

「実に面目ない・・」

「前代未聞の事で何と言って良いやら・・」

「いえっ、全く大丈夫ですから。顔を上げて下さいっ。 とても貴重な体験で楽しかったです。どうかおしかりにならないで欲しいです。お願いします」

「いえそんな・・。大変不自由な思いをさせたと感じています」

「痛恨の極みです。このお詫びは必ず後日改めてさせて頂きますので」

「いえ・・。あの、また来させてもらっても良いですか?」

「それは勿論。大歓迎致します」

「次回は是非陛下達にもお会い下さい。きっと悔やまれるでしょうから」

「え? はい・・ ?」


その次はベアとナッチに。

「お世話になりました。またいつか来ますね」

「はい。その日を心待ちにしております」

「ナッチさんもお元気で」

「寂しいよ~。 でも、ミヤちゃんの幸せのためならね~、うんうん。 ミヤちゃんも王子様と元気でな」

「はい。また会えるのを楽しみにしてます」


笑顔で見送りの言葉を貰い、みやはルーイの所へ。

「もう大丈夫か?」

「うんっ」

「 では 」

優しい笑みのままルーイは近づいて、少しかがんだかと思うと?

「っ!? わっ 」

みやをフワリと抱え上げた。所謂いわゆるお姫様抱っこ。

みやは体をキュッと硬直させ、言葉が出ない。

そしてそのまま傍に控えさせていた竜化したパラディンの上に乗る。

みやの心臓はドキドキ、心はオロオロ。

そんなみやを自分に寄せて、ルーイは背中を撫でた。

「大丈夫だ。私が共にいる」

と耳元にささやいた。それがみやの心臓を更にドキッとさせる。


ルーイが口笛を“ ピュ~~ ピッ ”と吹くとパラディン達が翼を伸ばし広げる。そして1人ずつ舞い上がる。

風がぶわぁっ!とあがり、音が周りの音をかき消す。

そうして空に高く高く、段々と上昇していく。


ルーイの腕の中からチラッと垣間見ると、もう既に横は空が広がり、雲の上の高さだった。

飛行機だってまだ乗った事がないみやはドキドキしっぱなし。

開放感ありありな状態にルーイの服を掴んだ。




  □  *  □  *  □  *


 一方 レフェリーナ国。


「・・・・・・、今何と申した?」

竜王宮の広間。そこの王座で竜都国の王であるアイルは、ウイリスとベルネと共に、一足早く報せを持ち帰って来たパラディンからの報告を聞いた。


 今朝、ルーイ王子は知り合いの少年・・を迎えに行ったと言う事だった。

しかし行ってみたら少年ではなく少女・・だったと言う。


「どうして間違えるのですかっ?」

ウイリスが堪らず突っ込む。

「申し訳ありません。 状況と身形で判断したため、気付く事が出来ませんでした」

「そんな・・・」

そんな阿呆な事があるのか。いくら何でも女性と男性を見誤るなんて、とウイリスは首を横に振る。

「それで?」

王様が先を促す。

「どの様な感じだった?」

期待を込めて。

「はい。 客人としてこちらにお連れになるようです。 ですが、我々が見たところでは、お互い好意を抱いているように見受けられました。特にルーイ王子様は、とても思い入れておいでで」

「おぉおぉ、そうか。それで?」

「お相手様の胸元に、あの石の輝きを確認致しました」

「なんとっ・・・」

喜びの驚き。

「まぁっ、それは誠に喜ばしいっ。 夢にまで見た花嫁が遂にっ・・。よろしゅうございました・・・」

涙ぐむウイリス。

その隣りで嬉しいながらも、冷静に思案していたベルネが水を差す様な事を言った。

「まだ早いのではないですか?花嫁とは決まっていないのですから」

「何を言うのですかっ。ルーイ王子様が見染めた方ですよ?それに、きっとお射止めになりますっ」

そう断言する。しかしベルネには疑問点が。

「そうかもしれませんが、・・・警備兵をしていたのですよね? その様な女性がいるのでしょうか?」

「・・・・・・」

そう指摘されてウイリスは うっ と詰まらせる。そして王様を見る。

「ふむ。・・・・・・」

王様もちょっと困る。

「ー。それでもルーイが良いと思った者だ。 歓迎しよう」

「「はい」」


ルーイが連れて来る者がどの様な者なのか。興味を持って迎える準備をする。


  □  *  □  *  □  *




竜都国レフェリーナへ。


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