第102話「美鳴飛の進んだ今」
「さっきの話をした上でここにいる私はそれらを知った上で考えうる一番平和的な選択をしたつもりだ」
みなちゃんの話してくれた内容は現実味が無さすぎて理解が難しい。
私たちの考える日常が仮初なんじゃないかと思えてくるくらいだ。
「ちなみに聞きたいんですけど、彩咲先生は今でもその周回プレイ現象? が起こってるんですか?」
姫城君がそう問いかける。
「確かにそれが現実的に起こり続けているのであれば少なくとも最悪の事態は免れることができるのかもしれないわね」
そうか、選択した先の未来が見えるのであれば夏紀ちゃんのいった通り最悪の事態は回避できるはず。
「……残念だがそれは私の友人たちが偶然生み出した能力で現在では失われてる」
「偶然生み出したってどういうことですか?」
「私も詳しく分かっているわけではないが、一言で言うなら様々な願いから生まれた奇跡みたいな感じだな」
それを聞いた夏妃ちゃんと倉崎くんはついに頭を抱えていた。
恐らくすでに化学的に証明できないものを見せつけられていたものに加えて奇跡という考えるだけではどうにもならない単語が出て来たことが理由だろう。
「正直なところ、能力の発現などについては私でも理解できないことが多すぎるんだ。難しい話でもあり、詳しく話していると時間が足りないだろうしな」
現状この中で一番能力に詳しいみなちゃんが難しい話というのであれば今の私たちが理解するのは到底無理なのかもしれない。
「それよりも先に片付けないといけないことがいくつもあるというのも現実だ」
「……うん、確かにそうだね」
能力についてはよくわからないことが多いけれど、ひとまずは梓ちゃんをとり戻すことが先決だと言うことだろう。
「そうだ、みなちゃんが昨日行ってた場所って結局何だったの?」
ふと思い出したことを何気なく聞いてみた。
「そう言えば話してなかったな。要点だけあげるなら佐野の能力発生に反応する機材を確認したり、能力抑制できるものを受け取ったりとかだな」
「へぇー……梓ちゃんの能力発生に反応する機材とかかぁ」
うん?
「ちょっと待ってくれ! 完全にビンゴじゃないか!?」
私が声を上げるより先に桜田くんが最初に声を上げていた。
「えっと、つまり先生はもう梓ちゃんの能力を感知できるってことなんでしょうか?」
千奈ちゃんが皆が聞きたい答えをみなちゃんに問い掛けていた。
「……いいや、まだ不安定だな。それに恐らく今感知できていたとしても連れ戻すのははっきりいって無理だと思う」
「無理ってどういう……」
「私の経験上、今回鍵を握るのはお前らだ。だが、お前らにはまだ能力の経験値が足りない。それに現状綾乃と有馬については具体的な能力すらも分かってないわけだからな」
はっきりと理由を伝えられた私たちは反論ができなかった。
と言うよりは反論できる内容でもなかったのだが。
その発言により短い沈黙が訪れ、それを打ち破ったのはみなちゃんだった。




