第103話「唐突な申し出」
「なので長期休暇を使って合宿を行うことにする」
……はい?
再び沈黙が訪れる。
いや、そりゃあいきなり合宿と言われても少なくとも私は部活をやっていると言うわけではないんだけど……。
「……先生、話が飛躍しすぎて誰もついてこれてないぞ」
「それはなんとなく分かってる。しかし、自身の力を身につけると言う点ではそれが私の考えうる最善の方法だと思ってな」
「というか、俺や金森、有馬はわかるが、それ以外の奴らは能力がないわけだろ? だとしたら完全にサポートに回るしか無くなる訳なんだが」
桜田くんの言うことは最もだ。
能力がない他のみんなの参加の意味は薄いのではないだろうか?
「そう思うのは最もだな。しかしたまに条件は様々だが突然能力が発現する例外が存在することがあるんだ」
「能力が突然発現する……でもそれってこの前言ってたように自分の能力に気づいていないとかじゃないの?」
生まれながらに能力を持っているという話の流れ上はそう考えるのが普通であるはずだ。
「そう考えるのが普通だろうな。だが現に私の周りでその現象を起こした人物が数人存在する。また元々持っていた能力に加えて複数の能力を持つと言う事例もあるんだ」
「つまり先生が言いたいことは、『誰であっても能力を使うことができるかもしれない』と言うことなのね?」
夏妃ちゃんが最終的にまとめてくれたように能力を持たない人が能力を得る可能性があると言うのであれば確かに参加する意味はあるのだろうけれど……。
「それで、その能力の発現はどれくらいの確率になるんだ?」
「確率か……あくまで私の観点だけで言うならおおよそ1%といったところだろうな」
「……かなりきつい賭けですね」
「しかし私とて無策で実行するわけではない。ある程度の対策は取るつもりだ」
それでも能力の発現確率は100%ではないはずだ。
他の人たちは賛同してくれるとは思えないのだけど……。
「……確率は低いけど0ではないんだ。俺はそれに賭けて参加してみようと思う」
そういったのは姫城くんだった。
「沙輝、おまえ……」
「わかってるよ。無駄になるかもしれないけど、忘れてしまった梓と言う子はきっと俺にとっても大事な人だったことは変わりないはずだ。それなら俺はやろうと思う」
「……はぁ、なんというか合宿なんて体力使いそうだから断ろうと思ったのに、これで私が行かないないんて言えなくなったじゃない」
姫城くんの発言に夏妃ちゃんも参加することを決めたようだった。
「私も諦めたくないからもちろん行くよ!」
「俺ももちろん行く」
「……ごめんみんな」
私と桜田くんも賛同する中、石川くんがそういった。




