第101話「あり得ないはずの記憶」
「さらに現実味の無い話をすると、私は……いや、私とその仲間たちはそれぞれあり得ないはずの記憶を持ってるんだ」
「あり得ない?」
言ってる意味がわからないのは私だけだろうか?
「どう説明すればいいのかわからないが、例えば左右どちらかの道があったとして、その道は一度しか通れないとしよう。左の道が正解で今の私は左の道を進んでいるが、右の道には行っていないはずだからわからないはずなんだが右の道には何があるかを覚えていると言った奇妙な感じだ」
「つまりゲームでいう周回プレイでのレベルが引き継がれているような感じですか?」
「イメージ的にはそんな感じだな」
あんまりゲームやらないからわからないんだけど、つまりは前世の記憶? みたいなのを覚えているって感じだろうか?
「それが本当であるかは信じ難い訳だけど」
「その辺は想像に任せよう。どちらにせよいいことよりは悪いことの方が多いからな」
話を端折ったみなちゃんだったが、恐らく私たちの想像を超えるような体験をしているのは事実だろう。
「本題に戻るが、私はそのハンターの活動で吸血鬼を狩ることに対して最初は何も抱いてなかったんだ。危害を加える吸血鬼を狩る、きっとそれが私のやるべきことだと昔から教わってきたのが原因だろうな」
「昔からってことは……」
「ああ、多分想像通りだ。私の家系はずっと吸血鬼を葬ることを義務付けられていた」
つまりみなちゃんは……私たちと同じ年齢の頃には友達も自由もほとんどなかったってことじゃないだろうか。
「そしてさっき言ったようにある筈のない記憶を辿ることになる。ここからは少し話がややこしくなるが、まずあるはずのない記憶は複数存在する。その多くは最悪な結末となるが、そうならない記憶があったんだ。その中心となる人物が友人の男子生徒だった」
みなちゃんはその男子生徒が導いた結末を話してくれた。
その男子生徒が吸血鬼と遭遇したのは偶然だった。
みなちゃんの真実を知りながらもハンターとして共に吸血鬼を狩こととなる。
数日後に部隊に告げられたのはハンターと吸血鬼が街を賭けて戦う戦争を行うといったものだった。
その最中、対峙した吸血鬼の一人が男子生徒とみなちゃんの友達であることを知る。
お互い仲の良かったはずのみなちゃんとその吸血鬼は戦い、敗北。
その後戦争が予定通り起こり、その最中でみなちゃんにとっての不幸が起こり、みなちゃんは暴走してしまう。
それを止めたのが男子生徒だった。
「……とまあ、これがあるはずのない記憶の一つだ。まあ実際私に起きた事なのかは自分自身信じがたいものだが、実際その記憶と同じことが起こったのも事実だ。それを分かった上で対策をとることで被害を最小限にすることが出来たわけだ」
みなちゃんの話す内容は現実味が全くない、漫画のような話だった。




