第6話:次の街へ到着。今度は暴れ馬ならぬ『暴れ魔獣』の噂
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市長から莫大な報奨金を受け取ったのも束の間、今度はロンドールの街の北方に広がる「嘆きの森の魔獣討伐」を押し付けられてしまったミランたち。
人間相手なら無双できるジャックも、魔獣相手には完全にお手上げ状態ですが――果たしてどうなるのでしょうか?
第6話「次の街へ到着。今度は暴れ馬ならぬ『暴れ魔獣』の噂」、どうぞお楽しみください!
ロンドールの市庁舎を後にした三人は、支給されたばかりの真新しい革袋――中身はたっぷりの金貨――を抱え、重苦しい足取りで街の外れへと向かっていた。
「おい、マジでどうするんだよこれ……。魔獣だぞ? あの、牙がギザギザしてて、口から火を吹いたり突進してきたりするアレだぞ?」
ジャックが顔面を真っ青にしながら、ガタガタと全身を震わせている。
「落ち着けジャック。お前には『人間相手なら無双できる』という謎の特技があるだろ。ほら、魔獣に向かって『おい、元貴族の俺に歯向かうとはいい度胸だな!』とか交渉してみたらどうだ?」
「魔獣に交渉術が通じるかぁっ! あいつら税金の概念すらない野生児だぞ!」
ザックがケラケラと笑いながらツッコミを入れるが、その足取りも普段より心持ちフラフラしている。いくら楽観的な彼でも、命の危険を感じるらしい。
「……愚痴ってても仕方ないだろ」
ミランは大きなため息をつきながら、先ほど市庁舎で渡された「嘆きの森の地図」を広げた。
「俺たちが引き受けちまった以上、途中で逃げ出したらそれこそ詐欺罪で街全体の追手がかかる。行くしかないんだよ、あの鬱蒼とした森にな……」
トボトボと歩くこと数十分。
ロンドールの街並みが遠ざかり、代わりに周囲の景色はどんよりとした深い緑に包まれていった。そこが、今回の目的地である「嘆きの森」の入り口だった。
名前の通り、その森はどこか不気味な静けさに包まれていた。
木々は太陽の光を遮るほどに生い茂り、湿った空気が肌にまとわりつく。遠くの方で、低く地響きのような唸り声が聞こえたような気がした。
「ひっ……! 今の聞いたか!? 絶対に何かいるぞ、アイツだ、あの二足歩行の豚野郎だ!」
ジャックがピョンと跳び上がり、ミランの背後に隠れようとする。
「隠れるな、盾にされるだろ! ……おい、ザック。お前のその『3回に1回』の魔法、ここで出せるか?」
ミランが隣を振り返ると、ザックは真剣な顔で自分の指先を見つめていた。
「うーん……と、いま試してみるよ。ええと、1回目!」
パチン。
――何も起きない。静寂。
「2回目!」
パチン。
――やっぱり何も起きない。鳥が数羽、木の上から飛び立っただけだ。
「よし、次が3回目だな……っ!」
ザックがごくりと唾を飲み込み、一歩前に踏み出した。その瞬間、森の奥からごう音とともに、巨大な影が猛烈な勢いで突っ込んできた。
「「「うわあああああああ!!!」」」
三人の絶叫が森中に響き渡る。
果たして、暴れ魔獣の牙が彼らに届くのか――それとも、ザックの「3回目」の奇跡がまたしてもとんでもない事態を引き起こすのか!?
第6話をお読みいただき、ありがとうございます!
ついに「嘆きの森」へと足を踏み入れたミランたち。
恐れていた暴れ魔獣が目の前に迫る絶体絶命のピンチ、果たしてこの状況をどう切り抜ける(あるいは巻き込まれる)のでしょうか?
次回、第7話「地面陥没と偶然の勝利。誰も信じない『運が良かっただけ』の弁解」に続きます!




