第19話:3回目の魔法と震える剣。魔王を討ち取った(?)決定的な瞬間
第19話をお読みいただきありがとうございます!
魔王との対峙中、ザックの時間稼ぎとジャックの謎の煽りによって、すっかり戦闘のタイミングを狂わされてしまった魔王。
すべてのカウントが整い、いよいよ物語はクライマックスの最終決戦へと突入します!
第19話「3回目の魔法と震える剣。魔王を討ち取った(?)決定的な瞬間」、どうぞお楽しみください!
「――ぐぬぬっ、我が特注の鎧の美しさが分からないとは、やはり人間など滅ぼすべき――って、おのれ、貴様らさては時間稼ぎだなっ!?」
自慢のコレクションボードを持ち出しかけた魔王が、ハッと正気に返り、怒りにその赤い瞳をギラつかせた。
その手には、再び世界を滅ぼすほどの漆黒の魔力球が渦巻き始める。
「しまった、バレた! ええい、こうなったら全力だ!」
ザックが思い切りよく、渾身の3回目パチンを放った。
――パチン!!!!
ズドドドドドドドッ!!!!!
ザックの指先から放たれたのは、これまでのどんな魔法をも凌駕する、まばゆいほどの純白の聖属性エネルギー波――ではなく、なぜか「魔王の弱点属性と奇跡的に完全に一致した、タケノコ型の巨大な光の衝撃波」であった。
「なっ……!? ぐああああっ!! この光は、我が唯一の弱点である『純白の聖なる自然薯エネルギー』……!? なぜ貴様がそれを知っている――ッ!?」
魔王が大きくバランスを崩し、盛大によろめいた。
もちろん、ザックがそんな弱点を知っているはずもなく、ただ単に3回目の暴発が宇宙の気まぐれでピンポイントに魔王の弱点を撃ち抜いただけである。
「今だジャック、やれぇ!」
ミランが必死の形相で叫んだ。
その叫びに背中を押され、恐怖で全身をブルブルと震わせていたジャックは、「もうどうにでもなれぇぇーーっ!!」と目を固くつぶりながら、持っていた剣を目の前の魔王に向かって全力で投げつけた。
――いや、正確には剣を振るう勇気が出ず、手から剣をポーンと手放して投げつけてしまっただけなのだが。
ビューン! カキィィン!!
ジャックの手を離れた剣は、凄まじいまぐれ当たりの軌道を描き、よろめいていた魔王の鎧の隙間――唯一の急所である胸元の中央に、吸い込まれるように突き刺さった。
「グハッ……!? ば、馬鹿な……我が完璧な防御障壁が、この偶然すぎる一撃によって……っ!」
魔王はガクンと両膝をつき、その巨大な巨体を玉座の間にドサリと横たえた。
周囲の闇の気象が嘘のようにスーッと引き、静寂が訪れる。
ミランは、あまりの展開の早さとシュールさに、その場でポカンと口を開けたまま固まっていた。
ザックは「おっ、当たった当たった」と呑気に拍手し、ジャックは「えっ? え? 俺、なんかやっちゃいました……?」と自分の両手を自分の目で信じられないといった様子で見つめている。
魔王はゆっくりと上半身を起こし、苦しそうにその赤い瞳を三人に向けた。
「……まさか、これほどまでの深謀遠慮……。我の弱点を寸分たがわず突き、あまつさえわずかな隙を突いて神速の一撃を叩き込むとは……。……ふっ、こんな奴らに負けるとはな……我が負けだ……」
ゴクッ……と、魔王が最後に盛大に血を吐き出し――そのままピクリとも動かなくなった。
倒されたのだ。あの恐るべき魔王が、ただの偶然と勘違いと、ポンコツな三人のドタバタによって、完全に討ち取られてしまったのである。
「「「…………」」」
玉座の間には、しばらくの間、風の音すら聞こえないほどの完全な沈黙が支配した。
第19話をお読みいただき、ありがとうございます!
ザックの3回目のまぐれ魔法(魔王の弱点属性と完全一致)と、ジャックの震えながら投げただけの剣が奇跡の急所命中を引き起こし、ついに魔王を討ち取ってしまいました!
壮大な世界を救った瞬間ですが、本人たちはただ呆然とするばかりです。
次回、いよいよ最終回! 第20話「世界は救われ、彼らは帰る。『俺たち、何したんだろうな』の結末」に続きます!




