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自覚なし最強? いや、偶然と運だけです!〜ポンコツ魔法使いと臆病剣士と普通の村人の成り上がり冒険  作者: 凪塩 未来


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第18話:魔王との最終決戦・開幕。恐怖と混乱のカウントダウン

第18話をお読みいただきありがとうございます!


やけくそな正面突撃が奇跡的なシステム崩壊を招き、無傷で魔王城の内部へと突入してしまったミランたち。

いよいよ待ち受けるは、すべての元凶である「魔王」が鎮座する最深部の玉座の間です。


第18話「魔王との最終決戦・開幕。恐怖と混乱のカウントダウン」、どうぞお楽しみください!

「――よくぞここまでたどり着いた、人間の愚か者どもよ」


重厚な黒鉄の扉が音もなく開き、その先にある広大な玉座の間へと足を踏み入れた三人を待ち受けていたのは、圧倒的なまでの闇の気配を纏った「魔王」その人であった。

漆黒の鎧を身にまとい、背中には巨大なコウモリのような翼、そして頭には禍々しい漆黒の角。その赤く光る瞳からは、世界を滅ぼすにふさわしい底知れぬ威圧感が放たれていた。


「「「ひっ……!!」」」


ミラン、ザック、そしてジャックの三人は、その本物の「ラスボス」の気迫の前に、文字通り足がすくんで動けなくなった。


(((やばい、やばい、やばい……! これまでの小物や中ボスとは格が違うぞ! 目が合っただけで魂が消滅しそうなプレッシャーなんだけど!!)))


ミランは冷や汗を滝のように流し、心の中で絶叫した。

隣でジャックは、極度の恐怖のあまりに膝をガクガクと震わせ、白目を剥きかけている。スライム相手でも気絶しかける彼にとって、魔王の存在はあまりにもキャパシティを超えていた。


「ふん、王国の英雄とやら、その程度か。我が闇の力の前に、塵と消えるがいい――!」


魔王が低く恐ろしい声を響かせ、その両手から世界を焼き尽くすかのような漆黒の巨大な魔力球を練り上げ始めた。

部屋全体の温度が急激に下がり、空間自体がギシギシと悲鳴を上げる。


(((もうダメだ、ここで俺たちの冒険は終わった……! 遺言は何にしよう、せめて最後に美味しい肉を食べたかった……!)))


絶望の淵で、ミランが目を固く閉じたその時だった。


「ねえ、ミラン」

ザックが、まるでピクニックでもするかのようなのんびりとしたトーンで話しかけてきた。

「なんだよ遺言なら後にしてくれ……!」

「いや、今さっき自分の指先数えてたんだけどさ。今ちょうど、カウントが『2回目』なんだよね」

「……は?」


ミランが目を見開く。

ザックは平然と、不敵(に本人は見せかけているだけの気の抜けた)笑みを浮かべて続けた。

「ってことはさ、この魔王様のカッコいい溜め時間の間に、俺がなんか適当に話を引き延ばして、最後の一撃のタイミングをそこに合わせれば……もしかして勝てんじゃね?」

「お前な、相手は魔王だぞ! 時間稼ぎなんてできるわけ――」


「おっと、待て待て魔王様!」

なんと、ザックはミランの制止も聞かず、ヒョイと一歩前に出て魔王に向かって大きく手を振った。


魔王は、攻撃の詠唱をピタリと止め、怪訝そうな顔でザックを睨みつけた。

「……なんだ、貴様。死ぬ前の最後の言葉か?」

「いや、そうじゃなくてさ。お前のその黒い鎧、めちゃくちゃカッコいいじゃん? アスペクト比というか、シルエットのこだわりを聞かせてほしいわけよ。あと、その角の手入れってどうやってるの? 毎日ブラッシングとかしてるわけ?」


(((何を聞いてるんだお前はぁぁぁーーっ!? 殺されたいのか! 世界の命運をかけた戦いで美容の話をするな!!)))

ミランの心臓が止まりそうになる。


しかし、魔王は意外にも「ぐっ……!」と虚を突かれたような顔をした。

魔王とて長年城に引きこもって世界征服を企てている身である。自分の美学やファッションセンスについて正面から突っ込まれたのは生まれて初めてだったのだ。

「ふ、ふん……! 我のこの漆黒の翼と角の美しさを理解できるとは、人間の魔法使いにしてはなかなか見る目がある……だが、だからといって命だけは助けんぞ!」


「いやあ、そう言わずにさ。ほら、ジャックも何か言ってやってよ、こいつの鎧のデザインについてさ」

ザックに話を振られたジャックは、恐怖でガタガタ震えながらも、なぜか「人間(っぽい魔族)の交渉」という謎のスイッチが入り、青白い顔で一歩前に出た。

「ふ、ふん……! 鎧の質感は悪くないが、細部のポリッシュが甘いな! 我が故郷の貴族の美術品に比べれば、まだまだ洗練されていないと言わざるを得ないね! ははは!」


(((ジャックまで煽りスキルを発動したぁぁぁーーっ!? 相手は魔王だぞ、一瞬で消し炭にされるぞ!!)))


だが、魔王のプライドがそれに反応してしまった。

「なにを……! 我のこの特注の鎧が洗練されていないだと……!? よかろう、貴様らに我が至高のコレクションを見せつけてやるわ!」


魔王がすっかり戦闘を忘れ、うっかり玉座の奥から自慢の「魔王軍特製・闇のコレクションボード」を持ち出そうとしたその瞬間。


ザックがニヤリと笑った。

「――よし、カウント3回目、いっけえぇぇーーっ!!」

ザックが思い切りよく指をパチンと鳴らした。

――パチン!!!!


空間が割れ、すべてを呑み込む最終決戦の幕が、ついに切って落とされる――!

第18話をお読みいただき、ありがとうございます!


魔王と対峙したミランたちでしたが、ザックのマイペースな「ファッション談義の時間稼ぎ」と、ジャックの謎の煽り交渉によって、なぜか魔王を完全にペース配分から狂わせてしまいました!

カウントは整い、いよいよ次回の第19話で運命の最終決戦の結末が訪れます!


次回、第19話「3回目の魔法と震える剣。魔王を討ち取った(?)決定的な瞬間」に続きます!

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