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自覚なし最強? いや、偶然と運だけです!〜ポンコツ魔法使いと臆病剣士と普通の村人の成り上がり冒険  作者: 凪塩 未来


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第17話:ミランの無謀な突撃作戦がなぜか大成功。魔王城の門を叩く

第17話をお読みいただきありがとうございます!


魔王軍の極秘会議室にて、ジャックの完璧すぎるハッタリ(と勝手な勘違い)により、幹部たちを土下座させてしまったミランたち。

無血開城を成し遂げた彼らは、ついに最終目的地である「魔王城」の巨大な城門の前にたどり着きます――!


第17話「ミランの無謀な突撃作戦がなぜか大成功。魔王城の門を叩く」、どうぞお楽しみください!

「――ここが、魔王城の正門か」


黒曜の谷の最奥、雲を突き抜けるかのようにそびえ立つ、禍々しくも巨大な黒曜石の城壁。その中心には、幾千人もの兵士を一瞬で押し潰しそうなほど重厚な、鉄と魔力の合金で造られた巨大な正門がドカンと構えていた。

その周囲には、魔王軍の精鋭ガードゴーレムや、血気盛んな魔族の兵士たちが幾重にも陣取り、最後の防衛線を形成している。


ミランは、その圧倒的な要塞の威圧感を目の当たりにして、思わずその場に立ちすくんだ。


(((いやいやいや、無理だって! さすがにここまで来たら、もうハッタリとか偶然じゃごまかせない本物の最終防衛ラインだぞ! どうやってここを突破するんだよ……!)))


冷や汗が滝のように流れ、ミランの心臓はバクバクと激しい音を立てていた。

しかし、背後を振り返れば、王都から託された莫大な期待と、逃げ出せないプレッシャーが重くのしかかっている。ここで引き返せば、別の意味で王国の騎士団に追放されるか処刑されるかの二択しかなかった。


「……もう、どうにでもなれ!」


追い詰められたミランは、ある種のヤケクソ半分、半ばやけくそな覚悟を決めて、大声で宣言した。

「おい、お前ら! ここまで来たら、もう細かい作戦なんて考えてる暇はない! こうなったら、全員で一斉に正面から突っ込むぞ!!」


(((うわあ、自分で言っといてめちゃくちゃ無謀な作戦だなこれ! 最強の防衛門に向かって丸腰に近い状態で突撃とか、自殺行為以外の何物でもないわっ!!)))


ミランが心の中で自分の発言を全力でツッコミ入れているその時だった。


「「おおーっ!!」」


なんと、ザックとジャックの二人が、ミランのその言葉を「完璧なまでの神の一手、最強の奇襲作戦」として満面の笑みで受け止めたのである。


「さすがミラン! 複雑な魔法の罠とかを考えるより、正面突破が一番裏をかけるってわけだね!」

「ふっ、素晴らしい! 敵が最も警戒しているのは『巧妙な潜入工作』や『謀略』のはず。そこに真っ直ぐ正面から突撃するとは、心理戦の極みだな……! 人間相手(魔族も含む)なら、この真っ直ぐな勢いが一番効くのさ!」

「いや、ただの思考停止のやけくそだからね!? 間違えないでくれる!?」


ミランの必死の弁解もむなしく、二人はすでに戦闘態勢(?)に入っていた。

ザックは指先をパチパチと鳴らし(もちろん今は1回目)、ジャックは「人間相手なら!」と謎の気合をみなぎらせて大剣を抜いている。


「よし……! いくぞおらぁぁぁーーっ!!」


ミランが半泣きになりながら、全速力で巨大な魔王城の門に向かって突撃を開始した。

それに釣られるように、ザックとジャックも左右に並んで猛ダッシュで突っ込んでいく。


「なっ……!? 人間の勇者パーティだと……!? バカな、正面から突撃してくるだとお構いなしに迎撃しろ――ッ!!」


魔王城の門の上の見張りが叫び、ガードゴーレムたちが一斉に巨大な魔力砲をチャージし始めた。

絶体絶命のその瞬間。


「ええい、面倒くさい! 3回目、いっけえぇぇーーっ!!」

ザックがヤケクソで放った3回目の指パッチン。

――パチン!!!


ドゴオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!!!


地球の裏側まで響き渡りそうなほどの凄まじい爆音が轟いた。

ザックの3回目の魔法は、もはや制御不能の超特大エネルギー波となって、正面の魔王城の門へと直撃した。


だが、ここで予想外の奇跡が起きた。

そのエネルギー波は門を破壊しただけにとどまらず、魔王城の地下深くに張り巡らされていた「全城の魔力供給メインサーバー(魔王の趣味で設置されていた謎の魔導装置)」を綺麗に直撃し、一瞬でショートさせたのである。


ビビビビビッ……! パチパチッ……! ドンッ!!


「「「なっ……!? メイン電源が落ちたぞ……!?」」」

魔王城の門を守っていた衛兵たちが、あまりの急展開にパニックに陥った。

さらに、ジャックが恐怖のあまりに振り回した大剣が、なぜか近くにあった「非常用開門レバー」にガチャンと激突した。


ゴゴゴゴゴゴ……!!


とてつもない重低音とともに、開くはずのない要塞の巨大な鉄扉が、まるで歓迎するかのように盛大に自動で開き始めたのである。


「「「…………」」」


突撃の勢いそのままに、ミランたちは開いたばかりの魔王城のロビーへと、文字通り「滑り込むように」突入してしまった。


誰も、一発のダメージも受けていない。

誰も、負傷すらしていない。

ただ勢いよく叫んで突っ込んだだけで、魔王城の最強の門と防衛システムは、完全に勝手に崩壊していた。


「……あれ?」

ミランが床に両手をついたまま、呆然と背後の崩れた門を見上げる。

「うわあ、門が開いたよミラン! 俺たちの突撃作戦、大成功じゃん!」

ザックがケラケラと笑いながらハイタッチを求めてくる。

「ふっ、見たかミラン! 私の華麗なレバー操作(?)と、ザックの完璧なインフラ破壊工作のコンビネーション……! 我ながら、これ以上ない完璧な電撃作戦だったな!」

「いや、全部偶然とマグレだからな!? 誰一人として作戦通りに動いてないからなこれ!!」


ミランの絶叫は、静まり返った魔王城の広大なエントランスに虚しく吸い込まれていった。

しかし、結果として、彼らは誰一人傷つくことなく、ついに魔王城の内部へと完全に侵入を果たしてしまったのだった。


待ち受けるは、すべての元凶である「魔王」本人。

史上最もグダグダで不条理な勇者パーティの快進撃(?)は、ついに最終決戦の舞台へと突入する――!

第17話をお読みいただき、ありがとうございます!


ミランの「やけくそ正面突撃作戦」が、ザックの3回目の爆発魔法とジャックの偶然のレバー操作によって、なぜか魔王城の防衛システムを完全にハッキング(物理)し、見事に大成功してしまいました!

本人たちはツッコミに大忙しですが、いよいよ次からは物語のクライマックス、魔王との最終決戦へと突入します!


次回、第18話「魔王との最終決戦・開幕。恐怖と混乱のカウントダウン」に続きます!

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