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ジュリエッタ.ロン.シェタット.アン.ロリータ ! それがわたくしの名前です! ロメヲ&ジュリエッタ 境界線を越えた恋  作者: 桂虫夜穴


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8、愛しき人との再会

「何だろう?

何か…音がしてる…」


もう、すっかり夜は更けていた。

ジュリエッタとマリアは

眠気まなこで、耳をすました。


コンコン…コンコン…

小さな音がした。


「シッ…窓だわ…

鳥かな?」


「鳥は、夜は飛ばないよ…」


「フクロウは、飛ぶでしょ…」


「街にフクロウは、いないよ…

いるなら、森でしょ…

お姉ちゃんの方が良く知ってるでしょ…

ここにいるのは、カモメくらいだよ…」


コンコン!

今度は大きめな音がした。


「わっ!びっくりしたっ…

どうしよう…怖いね!

夕方、会った男の人かな…

下に降りよう!

お父ちゃんに知らせないと…」


マリアは、ベッドを降りてハシゴに足を掛けたまま

早く早くと、姫に手招きをした。

その時、だった。


「姫…姫っ!

ジュリエッタ姫!」


「マリアちゃん!

ちょっと、待って!」


「どうしたの?お姉ちゃん…

ここに、いたら、怖いよ!」


「知っている人…見たいなの…」


「えっ?本当?」


「うん…だから…ちょっと待って…

確かめてみる!」


姫は小窓に頬を寄せて、小声で尋ねた。


「ロメヲ…さま…?」


「おお…ジュリエッタ!

私の声が、わかりますか?」


「ロメヲ様!忘れるものですか!

忘れろ!…と、言われても忘れないわ!

絶対!忘れるものですかっ!」


「ああ…ありがたい!

こうして、来た甲斐があった!

あっ!いや!姫!

それどころでは、ないのです!

大変なのです!

大変な事態になっておるのです!

それで、私は

こうして城を抜け出して来たのです。」


「えっ!そんな事を…

あっ!しばし、お待ち下さい!

マリアちゃん!窓…開けるよ!いいでしょ!」


「ええっ!ちょっと、待って!お姉ちゃん!

ロメヲ様…って、まさか…まさか、あのぉ…

王子さぁまぁ〜〜っ!」


「そうだよ!」


「お姉ちゃん!そうだよ!…じゃ、ないでしょ!

こんな部屋に王子様をお招きできないよ!

無理だよぉ!」


「マリアちゃん!大丈夫だから!

それに、大事な用事で来てくださったの!

だから、ねっ!お願い!」


「わっ、わかったけど…

私、ここにいるよ…

ここで…見てる…」


姫からは、マリアの目から上しか見えていなかった。


「わかった!じゃあ…開けるね!」


「うん…」


カチャ!鍵を開けて、小窓をゆっくり開いた。

涙が、突然、溢れ出した。

星空を背にして、愛しき人がそこにいた。

恋焦がれた人が…

暗闇でも、それと、わかった…


「おお…ロメヲ…」

「ジュリ…エッタ…」


あの笑顔が目の前にあった。

二人は、手の平を広げ、そっと、手を合わせた。

自然にそうなった。

そうして、自然に、唇が触れた。

しばらく、そうしていた。


「お姉ちゃん…どうしたの……大丈夫?」


姫は、慌てて振り向いた。


「あっ!そうだった!

大事な話だった…中に…

ロメヲ様、中に、お入り下さい!」


「わかった!じゃあ、少し、そこをよけて…

あっ、その前に、これを…」


王子が革靴を姫に手渡した。


「まぁ、大きな靴…」


王子は狭い小窓に足を掛け器用に体をくぐらせ

ベッドに転がり込んだ。

姫は、慌ててベッドから降りた。

大人サイズの二人ではベッドが壊れると思ったのだ。

思ったとおりだ。

王子一人でもギッシ!ギッシ!と、軋んで

大きく揺れた。

そのまま、王子はベッドに腰掛けた。

姫は、その脇の床に座った。


マリアは、まだ…

チョコンと目の辺りを覗かせているだけだ。

黙って、じっと、二人の様子を見ていたが

恐る恐る声を掛けた。


「本当に…本当に、王子様…なのですか?」


「そうだよ!」


ニッコリ笑顔で王子はそう言った。


「そんなぁ!そんなぁ!

どうしよう!どうしよう!

大変だ!大変だ!」


「マリアちゃん!

落ち着いて!

いらっしゃい!」


姫は満面の笑みでマリアに手招きした。

何度も、そうした。


するとマリアは、ゆっくりと

ハシゴを(のぼ)って来た。


「さあ、いらっしゃい!」


姫は、両手を広げてマリアを誘った。

マリアは、王子の顔を見ながらオドオドしていたが

姫の膝の上に座った。

姫は、頬ずりしながらマリアを優しく抱いた。


「大丈夫…大丈夫…ねっ!」


「うん…」


すると、王子がマリアに向かって

ゆっくり手を伸ばした。

姫が、それに応えてマリアの手を取って伸ばした。


「えっ!えっ!お姉ちゃん!

何!何!ダメ!ダメだよっ!」


「握手!」


「えーーっ!」


その時は、もう、しっかり握られていた。

マリアの小さな手が

王子の温かな手の平に包まれていた。


「マリア…ありがとう!

姫を守ってくれたんだね!

感謝するよ!」


「えっ!姫っ!」


マリアが、無理な姿勢で突然振り向くと

姫と顔がぶつかりそうになった。


「王子、それはっ!」


「えっ!知らなかったのかっ!

それは、申し訳なかった!」


「ええーーーっ!

王子様とお姫さまーーっ!

わーーっ!やだぁ!やだぁ!」


マリアが姫の膝から降りようと

バタバタと、もがいたが姫は離さなかった。

そして、耳元で、優しく囁いた。


「だ、か、ら…大丈夫…心配しないで…

マリア…

あなたは、私の命の恩人…

私を助けてくれたひと…

そして…私の…お友達…でしょ…」


その言葉にマリアも、やっと、落ち着いた。


「うん…… あっ!はい!姫さま…」


「もう!マリアちゃん!

急に何っ!

お姉ちゃんでいいのよ!」


「でも…森のお姫様…なんでしょ!」


「そうね!

森のお姫様で…

マリアちゃんの…お姉ちゃん!」


「じゃあ、姫お姉ちゃんだね!」


「ははははっ!

そっか!そうだね!

姫お姉ちゃんか!

いいね!姫お姉ちゃん!

はははっ!

あっ、でも、他の人がいる時は

お姉ちゃん!…で、お願いします!」


「はい!承知しました。」


マリアは、おどけて敬礼の仕草をした。


「ははははっ!」

「ハハハハッ!」

「ふふふふっ!」





その頃、階下のハシゴの足元に

パン屋の店主。マリアの父親が立っていた。


「こりゃ…えらい事になったもんだ。

夜中に、騒ぐなと、ドヤしつけてやろうと思ったが

王子と王女とは…大変な事だ…

何で、この二人が、こんなボロ屋に

しかし、ワシら、平民には、伺い知れん事だな。

マリアの事は、まあ、心配は、なかろう。


しかし、あのお嬢さん。

貴族どころか、姫様とは…恐れいった。

しかも、森の民の姫様とは…

どうやって境界線を抜けたのだ。結界を…

不思議な人だ。

だが、恐れ多いな!

寝たフリを決め込むしかなかろう。

しかし、気になって、眠れる訳もないか….

まぁ、しょうがない。

寝床に、退散だ…」



続く

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