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ジュリエッタ.ロン.シェタット.アン.ロリータ ! それがわたくしの名前です! ロメヲ&ジュリエッタ 境界線を越えた恋  作者: 桂虫夜穴


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3、境界線と魔道の力


「爺ぃ…退屈だ…何か、面白い事は、ないのか?」


「ロメヲ様!退屈などと、気の抜けた事を!

いつ、敵が奇襲を掛けてくるか

わからぬのですぞ!」


「それは、こちらが、元々、仕掛けた事だろう!

同じ目に合う事を恐れておるのだな!

奇襲などと、申しておるが、要するに

闇討ちを仕掛けたのであろう!

ああ…嘆かわしい…我が、ご先祖様は

恥さらしな事をしでかしてくれたものよ!」


「ロメヲ様!

口が過ぎますぞ!

このような事が、年寄り方の耳に入れば 

例え、王子と言えども、ただでは済みますまい!

それが、法と言うもの…法を司る者の役目。

それを守る為…秩序を守る為なら、彼らは…

いかような手段でも、用います。

そうなれば、国王とて、従わざる追えぬのです。

ロメヲ様を守り切る事は困難と、なるのです。

…ですから、過激な発言、行動は慎まれるように…

お願い申し上げます。」


「わかりましたよ!

ところで、その、森に逃げた民の事を教えてくれ!

何だか、興味が、湧いてきた!

まずは、敵の事を知る!

それが、大事だろ!

怯えて、待ち構えているだけでは、話しにならん!」


「森の民の事は、私も、詳しくは、存じ上げません。

ただ、執念深く、この地の奪回を企んでいる事は

間違いありますまい!

その事は、王子も、胸に刻んでおくべきかと…

いつかは、戦さを…

剣を交える事がございましょう。

その覚悟だけは、お持ちでないとなりますまい!」


「そうだな!ああ、それと…もう一つ

森の民について聞きたい事があるのだが…」


「何で、ございましょう?」


「境界線近くの民から得た噂話らしいのだが

その森の民の王女は

たいそう美しいそうでは、ないか?

その者の名が知りたい!」


「………………………」


「爺…どうした?」


「大概に、なされませ…

今、過激な発言は、慎みなされと

申し上げたばかりですぞ!

森の民の王女など、我々とは、無関係なのです。

一切の事を知る必要も道理もございませぬ!

美しいか?などと…興味をもたれる事さへ

慎みなされっ!」


「爺…それ程の剣幕で、捲し立てなくとも

良いではないか!」


「それは、ロメヲ様が!

森の王女の話しなど、なされるから…

誰が、聞いておるかも、知れませんのですぞ!

あなた様には、クレサンド侯爵家の御令嬢

シレーネ様が許婚(いいなずけ)と決まっておるのです。

それは、あなた様達が生まれる前からの約束事。

決定事項なのです。

これは、今更、誰も、揺るがす事のできぬ

誠の事実なのです。」


「ああ…父上が、勝手に決めた事だな!」


「だからぁ…それを、謹んでくだされ!

その口を!

私が、庇い立てできるのも、限度がございますぞ!」


「わかったよ!

あーあ、せめて、魔導士の力が、あればなぁ…」


「シッ!

お黙りあそばせっ!

もう、今回ばかりは、我慢がなりませぬ!

その事は、他言無用と何度も申し上げたはず!

その事は、我が一族とて、ごく少数のものしか

存ぜぬ事!

王子に魔導士の能力無き!

境界線に結界の効力無し!などと言う事が

漏れ伝われば、それは、民衆の耳にも入り

いつしか、森の民の元へも、届くでしょう。

そうなれは、森の民は兵を立て

一気に境界線を抜け、この地に攻め込む事でしょう。

そうなれば、今の、我々の武力では

太刀打ち出来ないのです。

それ程、怨み、呪いを(まと)った者達の力は

強大なのです!」


「しかし、何故に、この数百年…

今の今まで、たった一度も

攻め入る事が、なかったのだ。

森の兵は?」


「それこそが、魔導士の力なのです!

彼らの力によって、街と、森との間に

目に見えぬ境界線を張り巡らしたのです。

そこを、抜けようとするものは

直ちに、霧のように

消えて無くなったと言う事です。

その事を恐れ、森の民は、境界線へは

近寄る事が、なかった。

即ち、我らの土地に攻め入る手段を持ち得なかった!

…と、言う事です。」


「うーん…そのような…

強大な力を持つ魔導士がいながら

何故?ご先祖様は…

闇討ちなどと言う、卑怯な手段を用いたのだ?」


「それは、魔道士達が、戦さに加担する事を

拒否したからです。

その力を戦さには使わぬ!

…と、完全拒否されたとか、彼らの力の前では

服従させる事は困難…

勝利の暁には、結界を託すと、その約束だけ

取りつけたそうです。」


「挙句の闇討ちか!

ああ〜…自己嫌悪だ。

その血が、この私の体にも脈々と流れておるのだ。

巡っておるのだ。

まっこと!嘆かわしい…」


「もう、それくらいにして下され!

ああ…何だか、頭痛がしてまいりました。」


「…して、何故、魔導士の血筋が

我が、プァ.トリオット家に?」


「その代の王は、この国の守りを更に

強固にせんが為、王子と魔導師の娘との

婚姻を切望したのです。

実は魔導士の娘は、王子の事を好いておったのです。

なので、話はスムーズに進みましましが…

しかし、事は、王の思わく通りには

いきませんでした。

魔力が、弱まっていたのです。

魔導士の妻は、力無き民であったのです。

…よって、魔力は半減。

その次の代の子も…半減。

力は、次第に失われていきました。

今は、この通り、ロメヲ様の

首に掛かるペンダントだけが

その、魔導士の血筋を表す紋章として

残されるのみなのです。」


「魔導士同士で、婚姻すれば

良かったのではないか?

純血を守れたのではないか?」


「それは至極当然!

真っ当な意見では、ございますが

そうなれば、彼らは

我々の都合で動いてなどくれないのです。

彼らは、結局、我々の(まつりごと)に嫌気がさし

この国を出て行かれてしまったのです。

今は、東方の地に定住との事。

我らの手の届かぬ遠き地。

水平線の彼方です。」


「ふーん…そうか!

それで、私は、名ばかりの魔導士!

…と、言う訳だ。

しかし、お父上は、多少なりとも

魔法が使えたと聞いたが…」


「あんなモノは、魔法などとは、申しますまい!

スプーンやコインを曲げたり、その程度です。

腕力のあるものなら、誰でも、できる事。

ああ、コインなら指一本分程…

浮かせる事ができたような…

しかし、今は高齢だ。

もう、無理でしょうな!」


「そんなものか!

手品と変わらんレベルだな!」


「ならば、ロメヲ様!

貴方様が、その魔法の力を…」


「だから、名ばかりと言うておる!

それは、爺が、一番良く知っている事であろう!」


「ですからっ!

修行をなさるのですよ!

成せば成るですよ!

馬術の腕前など、この国一では、ありませんか!」


「あれは、ブラッドの走りなればこそだぞ!」


「だから、あんな暴れ馬を乗りこなせるのは

ロメヲ様以外、おりますまい!」


「それは、幼き頃から一緒に育ったから

私にしか、懐いていないだけだろ…」


「あーあ、もう、

素直に人の言葉を受け入れなされ!」


「そうだ!剣の腕も、この城一番!」


「それも、皆、手加減しておるのだろう!

私に、勝てば…

首が飛ぶとでも思うておるのだろう!」


「ああ!もう、よろしい!

とにかく!

蔵の奥に魔道の密書が保管されております。

その書の通り、修行をなせれば

もしや、魔道を手にする事ができるやも…」


「ああ、アレな!

一度、見た事はあるよ!

しかし、なぁ…

魔道の血筋の残っていない者にとっては

あれは、死の苦行でしかないよ!

例えばだ!滝の行!」


「おお!良くやりますな!

修行と言えば、滝行と申すほどポピュラーです。

一番初めに浮かびますよ!

その、イメージ!」


「…がっ!しかしっ!

魔道の滝行は、そんじょそこらの、滝行ではなーい!

滝の水を浴びるなどの

そんなシャワー遊びのレベルでは、ないのだ!

数百メートルの高さから滝底目掛けて

飛び降りると言う、荒技なのだ。

爺!そんな高さから飛び降りたら

水面は抵抗力で岩盤のような硬さに

感じるらしいぞ!

いや、感じる間もなく!

肉の破片となって、方々へ飛び散る事になるはずだ。

その日が、私の最後の晩餐…

私自らがハンバーグの材料になる日だ。」


「お辞めくだされ!

縁起でもない!

誰も人肉ハンバーグなど、(しょく)せぬし!

料理も、しかねますぞ!

もう、この話は、よろしい!

とにかく、ロメヲ様!色々とお控え頂かないと…

三日後には、貴方様の成人の日。

16歳の誕生日。

そして、クレサンド家のマリネット様との婚姻の日。

何か、間違いでも、起こされたら

私の首だけでは、済みませぬ!

くれぐれも、お(たわむ)れ無きように…

森の民…姫の話など、二度としては、なりません!

よろしいですね!」


「わかりましたよ!」


あーあ…でも、一目だけでも見てみたい。

会いたいものだ。

どんな、姿をしているのだろう。

背は、高いのか…低いのか…

髪の色は、長さは、巻毛か、細毛か…

瞳の色は…肌の色は…

唇は…

ああ…想像しただけで、愛おしくなる。

何と、言う事だ。

見た事もない…名も知らぬ、女性(ひと)なのに…

あいたい…会いたい…逢いたい!


しかし、今しかない。

婚姻などしたら二度と会えない。


今しか、ないのだ。




翌朝……


「おはようございます。ロメヲ様!

………………………

どうなされました?具合でも、悪いのですかな?

ロメヲ……様………」


まさかっ!


「ロメヲ様…失礼…いたします…」


爺は、布団に手を掛け、ゆっくりとめくったが

途中から、バッ!…と、一気に剥いだ!


(はか)られた!

今時、こんな、子供騙しな!」


王子は、いなかった。ベッドを抜け出し…

代わりに、枕と、クッションが並べられていた。


「あれほど、昨夜…言うて聞かせたのに…

きっと、森へ、向かわれたのだな…

逆に好奇心を煽ってしもうたか…

いや、こうしては、おれぬ!

まずは、王に…

それから、小隊を立て捜索に向かわねば!

誰に知られてもならね!

特に、年寄り方には

絶対に、知られては、ならない!」


爺は王子の間を飛び出した。


「ダジェット!グレッドを呼べ!

直ぐにだ!今、すぐ!」


爺はお付きの青年に声を掛けると

早足で、王の間に向かった。


「首は、覚悟せねばならぬな…

それにしても、向こう水な…

本当に森に向かったとしたら…

たった一人で…何と無謀な…

王子…ロメヲ王子…なにとぞ…

何卒…御無事で…

爺は…この首を差し出したとしても…

死に切れませんぞ!

うううっ!」



続く

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