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ジュリエッタ.ロン.シェタット.アン.ロリータ ! それがわたくしの名前です! ロメヲ&ジュリエッタ 境界線を越えた恋  作者: 桂虫夜穴


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15/18

15、あなたが生まれたから、私も生まれた


「ロメヲさまーーっ!」


「なんだーーっ⁈

ジュリエッターーっ!


「愛してるーーっ!」


「私も、だーーっ!

腹、減ったーーっ!」


「モーーッ!

ロメヲ様ったらーーっ!」


「ごめーーん!

良く聞こえなーーい!」


ゴウゴウと流星の速さで飛んでいた。


「怖くないかーーい?」


「ロメヲ様と一緒だから、こわくなーい!

むしろ、スリルです!

ゾクゾクしますぅ!」


「私は、怖いよぉ!

高いところは苦手だし、この速度…

吐きそうなくらいだよ! 

馬車酔いのような気分だ」


「ええーーっ!

もう、しっかりしてくださいませ!

もう間も無く、着きますよ。

このまま、雲を突き抜ければ

直ぐに、天国ですよ!

でも、良かったです。

二人で、悪さばかりして…

地獄に堕ちるかな…と、覚悟していましたの…

神様の御慈悲ですね!

感謝しましょう!」


「おお!そうか!ジュリエッタ!

期待させて申し訳ないが、今…

天国には、向かっていないぞ!」


「えっ!どう言うことですの?

これから

急降下して、地獄に堕ちるとでも…?」


「いや、それが…

私達は、まだ、死んでは、おらぬのだ!」


「えっ!あの高さから落ちたのに!

死んで、いなかったのですか?

確かに、私は痛みは、ありませんでしたが

それは、王子が身を挺して、下敷きになり

私を庇ってくれたのだと思っておりました。

とても、感謝しておりましたのよ!

違っていましたの!」


「いや、感謝は、して頂いて良いです。

何故なら…私達は、死んでは、いない!

…いや…生きているのです。

生きて飛んでいるのです。」


「それは、おかしな話です!

死んだのであれば、天国へ向かう為に

宙を舞うでしょう!

しかし、生きた人が、空を飛べるはずがない。

王子! 嘘を付いたら

それこそ、地獄へ堕ちてしまいますよ!

こうして

せっかく天国へ向かっていると言うのに…」


「だから、死んでいないし、生きているし

天国へは向かっていないのです。

ジュリエッタ………………………

私は魔導士の血を受け継ぐ者!

その覚醒が起きたのです。」


「………………………………」


「姫!………ジュリエッタ!

どうなされた?」


「どうなされた?

どうなされたですって!

今のいままで、そんな事…

一言も、おっしゃらなかった。

そんな、大事な事を

なぜに、一番に話してくれなかったのですか!

私は、王子の何なのですか?

信用するに値しない女なのですか!

………………………………

わかりました。

王子は、私の事を

信用していらっしゃらないのですね!

だから、切羽詰まって…土壇場で!

こんな時に、こんな場所で!

こんな空中で、おっしゃった!

わかりました。もう、いいです!

降ろして下さい!私は帰ります。

歩いて帰ります。城に帰ります!」


「姫!ジュリエッタ!

ジュリエッタ!違う!違うんだ!

私も知らなかったのだ!

許してくれ!

突然起きたのだ。

これは、私も、予期していなかった。

全くの想定外だったのだ。

頼むから、聞いてくれ!


実は、魔導師の血筋は既に薄れ

私の代では完全に失われていた。

私は、名ばかりの魔導士だった。

その事は

王家の中でも極少数の者だけの極秘事項だった。

実は、境界線の結界の効力も既に失われていたのだ。

しかし、支配力や、統率力、戦の回避…

そのような事情で

私は魔導士のフリをずっと、させられてきたのだ。


それが、突然、覚醒したのだ。

原始の血が、蘇るように…

姫の幽閉の知らせを聞き、目覚めたのだ。

そして、死の淵で、完全に覚醒した。

それは、姫を救う為、守る為

その為だけに起きた変身だ。

その為だけに、私はここへ来た。

この、姫と言う…

この一点だけを目指し、私は来たのだ!

ここが、私の住処だ。

姫こそが、私の、たった一つ帰るべき場所

戻るべき人…愛する人…」


光の尾と、共に、雫が煌めいた。

姫の涙が、朝日にキラキラと(きら)めいた。


登りながら燃える濃いオレンジ色の

半円球の太陽を白い光が横切った。





「ならば、どこへ向かっているのですか?」


「森の深部へ…

向かっています…」


「えっ!なに故に?

敢えて魔王の住処へ…」


「消去法ですよ!

城は、出てきたばかりだし

街国へは、もう、帰れない。

今日の誕生祭、婚姻式を無にしてしまった。

ぶち壊してしまった。

愚かな事をしてしまっもたのです。

姫まで、道連れにしてしまって…

申し訳ありません。


もう…森の深部しか向かう方角は無かったのです。

深部自体を目指した訳じゃなかった。

ただ、闇雲に飛び出したのです。


飛べ飛べ飛べ飛べ飛べ!…、と心で念じたのです。


私は見ていました。

地面に対して拳ひとつ分でした。

そこから、急上昇したのです。


どうやら、死の淵。間際で…

この力は、発動するようです。」


「わかりました。

わたくしは、どこへでも、ついて行きます。

連れて行って下さい!

私は、ずっと待っていたのです。

予感がして、胸の内がザワザワして

ずっと、窓際で

ロメヲ様の到着をお待ちしていたのです。

きっと、迎えに来て下さると信じていました。


そんな、わたくしの気持ちが

ロメヲ様に届いたのでしょう!

その気持ちをロメヲ様は受け止めてくださいました。

ありがとうございました。

そして、ごめんなさい。


私の我がままが、あなたを動かしたのです。

取り返しのつかない事をさせてしまったのは

わたくしの方なんです。

本当に申し訳ありませんでした。

うううっ…」


「ジュリエッタ…

もう、何も無い。

私たちには、何も無い。

そして、無くすものも…もう、何もない。

ならば、行きましょう。

敢えて、森の深部へ…

そこが、我々の最後の流刑地としましょう。


自ら罪を背負い、死を待って

ここに懺悔しましょう。

全ての者に…全ての愛する人たちに

詫びましょう…

そして、あなたにも、お詫びします。」


「おお、ロメヲ…わたくしに謝るなんて…

わたくしは嬉しいのです。

あなたがこうして、迎えに来てくださって…


ロメヲ、ロメヲ、ロメヲ!

ああ、何度呼んでも、愛しい名…

ロメヲ…あなたが、ロメヲで良かった!

あなたが、ロメヲで、なかったら

私は、ジュリエッタでは、なかった。


あなたが、いたから、わたくしは生まれた。

あなたが生まれなかったら

私も生まれなかった。

ならば、あなたが死ぬ時は、私も死ぬ時…


さあ、共に、行きましょう。


そこが、たとへ、死の淵で、あっても

ギリギリであっても、突き抜けても

私は、あなたと共ににいます。

ロメヲをあなたを愛しています。」


「おおっ!ジュリエッタ!」


「ロメヲ!」


飛びながらキッスした。

世界最高!最高度のキッスだった。





「あれだ!」


遠くに紅い一筋の光が天まで届いていた。


森の木々達は少しずつ連続して傾き

銀河のような、大きな渦を形成している。

その中心から真っ直ぐに天を目指し

紅い光線が発射されている。


まるで、王子と姫に、こちらですよ!

…と、呼びかけているようだ。


「ジュリエッタ!降りますよ!」


「はい!ロメヲ王子!

どこへなりと!」


「森の真っ深部へ!

いざ、いかん!」


王子は少しずつ速度と高度を下げ始めた。

だいぶ、要領が、分かって来たようだ。

飛行感度が上がっていた。

細かなニュアンスが思考内で、確実にできている。

それが、魔導能力に100パーセント繁栄していた。


魔物達は、いつのまにか寝ぐらに帰っていた。

あれ程の数の魔物達…

それを森は全て、飲み込んで

安らかな眠りを与えている。

豊かな、包容力で…




淡い光に包まれていた。

抱き締め合ったまま、ゆっくり降下した。


紅の光線は朝焼けを反射したからだった。

今は、日も昇り、桜色の優しい光に変わっていた。


続く

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