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ジュリエッタ.ロン.シェタット.アン.ロリータ ! それがわたくしの名前です! ロメヲ&ジュリエッタ 境界線を越えた恋  作者: 桂虫夜穴


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14/18

14、目指せ!森の深部へ


ガッシャア!


激しい音がした。

窓が破壊され何者かが飛び出して来た。

ガラス、木片、釘、あらゆる物を撒き散らし

飛び出して来た。


姫だった…


白いドレスが紅く染まっている。

皮膚から血をを吐きながら落下した。

そして、そり返った王子の胸に激突した。

しかし、王子は離さなかった。

体を捻り、ガラスや木片から姫を庇った。

脱皮したばかりの、柔らかい皮膚に

容赦なく、それらが降り注ぎ、突き刺さった。

バリッ!

王子の体は姫の落下の衝撃で

そのまま落ちそうになったが

王子は何とか、体制を整えた。


その背中に向かってギルが弓を構えた。


丁度、そこへダンロッドが塔から降りてやって来た。


「ギル!ギル隊長!やめんか!

姫に当たったらどうするのだ。」


「私の、弓の腕をお忘れか!

必ず、王子に命中させて見せる!」


ギル隊長が改めて、弓を、構え直した。

その弓をダンロッドは下に押さえ付けた。


「待てっ!

もういい!

もう好きにさせてやれ!

二度も殺す気かっ!

若い二人の思うままにしてやれ!」


「しかし、国王に何と?」


「お主は何も言わんでいい!

今度こそ、私の首を差し出す時だ。

それでも、到底、足らぬがな…」


そこへ、キースとネイルが

狩猟用の網を抱えてやって来た。


「おお、来たか!

ヨシ!広げて皆で持てっ!

落下地点に構えるんだ。

そこっ!もう少し、右っ!

ギリギリ壁によせろっ!」


ダンロッドが、指示を与えている時

頭上で音がした。


ギシッ!ミシミシ!

二人分の重みに耐えきれず

完全に割れた背中から、王子の足が剥がれ抜けた。


「おっ!落ちて来るぞ!

皆、力を込めぇーーっ」


二人はツル壁に、引っ掛かりながら落下した。

しかし、二人は

お互いを強く抱き締めて決して離さなかった。

王子がまた、光を放った。

姫ごと覆う光は、さらに強くなった。

落下しながら光源は目が眩む程になった。


皆、網を引っ張りながら目を閉じ歯を食いしばった。

しかし、二人は中々、落ちて来ない。

光源が無くなっていた。

皆、恐る恐る目を開け…凝らして辺りを見たが

二人の姿はどこにもなかった。


「どこに行った。」


…と、ザワついていると

誰かが、叫びながら、上空を指差した。


「あ、あそこ…上、上っ!」


白い光が尾を引きながら

斜め上空を目指して飛んでいた。


その後に鳥神が続いた。

また、扇型を形成しギャァ、ギャァと鳴きながら

空を覆い尽くした。

地上でも、停まっていた魔物達が動きだした。

城を境に真っ二つに割れ

木々を猿神が、地面を狼神が轟音と

共に駆け抜けた。

人を無視して…



「あ、あれは……飛んだ?

王子が飛んだのか!

何と言う事だ!

あんなものは、魔導ではない!

あれは…呪い魔だ!

悲しみと憎しみを背負った者が落ちる極限!


王子に呪い魔が巣食っておったのだ!

こうしては、おれん!

兵を出せ!

直ちに兵を立て直せ!

あの方角は深部だ!

王子は深部へ向かったのだ!

我々も向かうぞ!

森の深部へ向かうのだ!」


「しかし、深部には、魔王が…」


「ギル!

呪い魔と魔導士では話しが違うぞ!

天使と悪魔程の差だ!違いだっ!

王子が魔王の元へ向かう前に…

鬼に成る前に

姫を取り戻すのだ!」


「わかりました!

兵を出しましょう!出さねばならない!

たとへ、勝ち目がなかろうと…

手をこまねいている訳にはいかない!

無益な戦いと揶揄されても、やるしかないのだ。

それが任務なのだから…

それが兵士としての私の役目なのだから…我々の…」



兵士が矢を補充し門前に整列した。


そして、出発しようとした、その時だった。

遠くから馬の走る音が微かに聞こえた。

その(ヒズメ)の音が、ドンドン大きくなる。

こちらに向かっている事はあきらかだ。

そして、とうとうその全貌が姿を現した。


前線には鎧を纏い。剣を手にした兵士達。

その脇に槍隊、その後ろに弓隊が続いている。


街の民の兵士軍である事は明らかだ。

森の木々を器用に()けながら

枝を切り落としながら

軍勢が横一例に並び迫って来た。


森の民は、武器を構え、戦闘体制にはいった。


街の軍勢が城の手前で動きを止めた。


そして、中心の人物が、馬を降りた。

森の弓隊が一斉にその人物に矢先をむけた。

それを見てダンロッド声を荒げた。


「ギル!

やめさせろ!弓を下げよ!

それこそ、無益な戦いだ。

相手は馬を降りた。

戦う意志が無いと言う事だ!」


「ありがとうございます。

御長老…」


「ははははっ!

お互い様ですぞ!」


「ハハハハッ!そのようですな!

我々は、街から、参りました。街の民です。

私はガットと申します老兵

まかり間違え参上仕りました。

今回は訳あって

無断と知りながら森に分け行って参りました。

無礼をお詫び致します。

誠に申し訳ありません!


実は、我が街国の王子、ロメヲ様が

森に迷い込みまして

捜索に参った次第です。


どうぞ、王子捜索の

お許しをお願いできないでしょうか?」


「貴殿!

王子は迷い込んだと申したか!」


「はっ!

そのようです!」


「それは、なかろう!

王子は真っ直ぐに、この城を目指して参った。

いや、姫を目指して参った。」


「そうで、あったか…

それは、大変な、ご迷惑をお掛けした。

お騒がせをしてしまいましたな…」


「いや…それ程では、ござらんよ!

………………………………

そんなものでは…そんな事では、済まぬ!

そんな、手ぬるい言葉で済まされたら

ことは、治らんのだっ!」


ダンロッドが剣の柄を握り締めた。

一瞬で両軍に緊張感が広がり

皆、武器を構え睨み合った。


次の瞬間、ダンロッドが剣を抜いた。

皆、一斉に反応した。


…が、止まった。


ガチャ!


ダンロッドが剣を地面に捨てた。

誇りと一緒に…


「治らんが…しかし、ここで…

我々が…争っている場合では、ないのだ。

王子が…王子が、姫を連れさった。

しかし、その事は、今は、よい…

どうやら、深部へ向かわれたようだ。

王子と姫は、森の深部へ向かわれた。」


「なっ、何!

しかし、ブラッドがここに…

どのようにして…深部へ⁈」


ダンロッドが森の深部の方角の上空を

真っ直ぐに指差した。


「王子は、もう、人では、なくなられた。」


「何、もしや、魔導の血がっ!」


「それならば、まだ、良かった。

王子は………呪い魔と化して、おられた。」


「何ーーーっ!

それは、誠かっ!

な、何と…

神よっ!あなたは、…

何と、ご無体な!」


「それは、お門違い!

全て、王子の為された事!

しかし、それも、後の事…

今は…我々は、二人を追う事を優先せねば

なりませぬでしょうよ!

どうぞ!共に、捜索をお願いします。

申し遅れましたが、私はダンロッドと申します。

姫が誕生日の日より使え

お守りしてまいりました。

今は、この身も身体も引き裂かれる思いです。

うううっ…どうか…このとおり、お力添えを…」」


ダンロッドは、深々と頭を下げた。


「頭をお上げくだされ!

お願いするは、こちらの方、行き先もわからぬうえ

我々は、貴殿の隊にお供致します。」


「そうですか!

ありがたい!では、時が迫っております。

早速、参りましょう。」


「ギル!指揮を取れ!」


「わかりました。

全軍!出陣!

目指すは、森の深部!魔王の巣窟!

命を賭けて姫を奪還、救出を目指す!

必ず、成し遂げるぞ!」


「おう!」


気勢と共に全軍が走り出した。


夜明けが、迫っていた。

魔物達の姿もやがてなりを潜めるだろう。


満月と星空と朝焼けが森を照らしていた。



続く

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