4話
ランプを狙った襲撃者マカセには兄がいた! そんな兄の狙いは当然ランプ。秋葉と冬華の春休みは一体どうなる?
初めての襲撃のあった翌日の朝食時に秋葉は昨日聞きそびれた事を冬華に聞いてみる。
「俺のアルバイト先が消えたのは結局昨日のやつの仕業なのか?」
秋葉が最近までアルバイトとして働いていた古物商が古着屋となっていた件。これに関して冬華は魔力の痕跡があると言っていた。その事について聞いてみたが、
「違うよ。お兄ちゃん近くの人たちに片ぱしから古物商について聞いていたでしょ。それなのに誰も古物商の存在を知らない。それだけの認識阻害もしくは記憶操作が出来るほどの使い手ではなかったよ。だから犯人は別にいるか」
「婆さん自身か」
「だけど婆さんの線は薄いね。わざわざ雲隠れする意味がない。何より魔法の存在を知っていてランプの存在を知らないはおかしい。やっぱり別の魔法使いだと思うよ」
「そうか」
悲しそうな顔をする秋葉。2年間とはいえお世話になった人間が死んだ可能性があるのだ。悲しくもなる。
「気にする必要はないよ、なんて慰めにならないだろうけどそれでも言わせて貰うね。気にする必要はないよ。魔神のランプを店においていたんだ。いつかは誰かがそれを手にするために襲っていた。遅いか速いかの違いだ。どうしても責めたいならあたしを作り出した大魔法使いに言ってくれ」
「死人に文句を言ってもな、、、、というか何でお前は作られたんだ? 何でも願いを叶えられる魔神。それもインターバルを挟めば再使用可能。そんな優れものを作れるなら自分1人で何だって出来るだろ?」
「そうだね。その通りだよ。だけど大魔法使いも人間なんだよ。寿命がある。だから死の数年前にあたしを作り後世の役に立てようとしたんだ。最初は良かったけどあまりの万能さにランプは国を滅ぼすほどのものとなってしまった。そして気づいたらランプはこの島国まで流れついた。自分が死んだ後どうなるのかまでは大魔法使いにも分からなかったようだね」
悲しそうな顔で遠くをみる冬華。
「この話はやめるか。どっちも傷つくだけだ」
「そうだね。朝からするべきじゃないね」
そう言ってテレビから流れるニュースに意識してを向ける。
「昨日の事は話題になっていないんだな」
「人払いの結界が展開されてたからね。よっぽど勘が鋭い奴や魔法使いじゃないと昨日の戦いは意識の外だよ」
「勘が鋭い奴なら魔法使いじゃなくても気づくのか?」
「そうだよ。昨日のやつは結界術が得意じゃないのかもね。魔法使いなら誰でも気づくし一般人でも気づく奴は気づくと思うよ。格闘家とかアスリートとか」
「へ〜」
秋葉は勘が鋭い奴に1人心当たりがあるがなるべく関わりたくはないので黙る事にした。
「それで今日はどうするの?」
「そうだな〜。折角の春休みだし遊びに行きたいけど昨日襲撃されたばっかりだしな〜」
「むしろ昨日の今日だからこそかもだよ? あれだけの実力差を見せたら諦めていないならしっかりと準備するだろうし遊ぶなら今のうちかもよ?」
「それもそうか。よし! 行きたい所あるか?」
「本当なら海が良いけど時期はずれだから少しでも海を感じれる水族館!」
「決まりだな。飯食ったら支度が出来次第行くぞ」
こうして2人は水族館へ向かうために電車に乗る必要があるので駅に向かうのであったが、
「なぁ、これってさ」
「うん。人払いの結界だね」
人がいない状況が出来ており襲撃が確定した。
「昨日の今日だぞ。まさかとは思うが昨日の奴か?」
「この結界の魔力からは別人だね。ただどことなく似た魔力を感じるから親族かな?」
「正解。アニキだ」
昨日の襲撃者マカセと似た紫髪の男が現れる。髪色が違うだけど確かに兄だとわかる姿をしている。
「弟思いだね〜。早速お礼参りかな?」
「お礼参りって訳じゃあない。魔神のランプが欲しいんだよ。あるんだろ? 寄越せ。そうすれば生きて返してやる」
「嘘つきだね〜。殺気が漏れてるよ。お兄さん!」
秋葉の周りに防御結界を展開して自分は敵に殴りかかる冬華。敵であるマカセの兄セカマは殴りかかって来た冬華の拳を受け止める。
「ゲッ!」
「女の拳なんざ軽いんだよ!」
殴り飛ばすつもりが逆に殴り飛ばされる冬華。
「いった〜い! 女の顔を殴るとか男としてどうなの!」
「正当防衛だ」
「ちっくしょ〜」
「大丈夫か!」
駆け寄る秋葉。
「アニキだけあって弟よりやっぱり強いのか?」
「それもあるけどこっちの戦闘スタイルを弟から聞いてしっかりと対策を取ってるみたい」
冬華のスタイルは何の変哲もない女の子が殴りかかるって来るのを敵が魔法で攻撃しようとしたら魔力同調により相手の攻撃魔法から魔力を吸収して拳に集中させて殴り飛ばすというものだ。しかし魔力を纏わなければ平均的な女子学生の拳でしかないので先程のように返り討ちに合ってしまうのだ。
「弟からお前の戦い方は聞いている。一般人の主に魔力を使ってるんだろ? その間のお前は魔力同調しか使えない。魔力同調は現代で使える魔法使いが存在しない代物だが魔力を吸収出来なけりゃ意味のない代物だ。つーわけだから楽させて貰うわ」
懐から杖ではなく拳銃を取り出してエイムを合わせる。
「お前を倒したら主の周りに展開した結界も消えるだろ? その後に主を殺してランプを手に入れさせて貰う」
引き金が引かれて銃弾が発射される。
「魔神!」
このままでは冬華が魔神が死ぬと思い駆け出す秋葉であったが、
「心配ないよ。お兄ちゃん」
秋葉に笑顔を見せると発射された銃弾は冬華に着弾する事なく消える。
「は?」
理解出来ない秋葉。そんな秋葉と同様に理解出来ないセカマであったが銃を乱射するのであったがそのどれもが着弾せずに消えてしまう。
「何をしやがった!」
「何って魔力同調だよ」
「ふざけんな! 銃弾には魔力がない!」
「あちゃ〜認識が甘いね〜現代の魔法使いは。この世界に魔力がないものなんてないんだよ。それこそ主のような魔法使いでもない一般人にだって微弱な魔力がある。赤ちゃんにも犬にも猫にも更には土や木や石にだってね。そして君が持っている拳銃は魔法使いである君が持った事で魔力が普通の物体よりも込められている。だから魔力同調が可能って訳」
「そ、そんな馬鹿な」
「狙いは悪くなかったよ。敗因は楽をしようと武器に頼ったことだよ」
そう言って吸収した魔力を纏った拳が弟同様に顔面に叩き込まれてぶっ飛ぶセカマ。
「さてと、まだ時間あるしこのまま水族館行こっか。お兄ちゃん」
「そうだな」
そう言って2人は今度こそ水族館に行くのであった。
次回は兄妹で水族館です。
ブックマークと下記の評価して貰えると嬉しいです。




