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『無能と言われた【鑑定士】、実は世界樹の管理人でした 〜パーティーを追い出されたので、辺境で伝説の聖域を作っていたら、聖女や女騎士が「泊めてくれ」と泣きついてきた〜』  作者: やまご
第2章:聖域都市・建国無双編

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第68話:聖騎士の再構築(バグ)――「アルス様、お助けに参りました!」

黄金の結界と白銀の氷剣が空中で激突し、大気が悲鳴を上げる。セレスティアとロザリア、二人の強大な元・妻たちが放つプレッシャーの狭間で、アルスはリリィを抱えたまま墜落に近い速度で急降下していた。

「お兄ちゃん、お空が割れちゃうよぉっ!」

「リリィ、目をつぶってろ! ……くそっ、カゲロウの影が地上を埋め尽くしてる……どこにも着地できない……っ!」

 アルスの【鑑定】は、地上の影が意志を持つ触手のように蠢き、自分を絡め取ろうと待ち構えているのを捉えていた。四面楚歌。天も地も、かつて愛した女たちの「執着」という名の網に覆われている。

 その時。

 雲の裂け目から、眩いばかりの「聖なる光」が一直線に差し込んだ。

「――主君を害する不届き者どもめ! 我が聖剣の錆となれッ!!」

 ドォォォォォォォォン!!

 黄金の結界を力任せに叩き割り、一人の騎士が白銀の天馬ペガサスを駆って突っ込んできた。

 眩い黄金の鎧。手にはかつてアルスが「錆びた釘」に再構築して折ったはずの聖典の剣。

「……ア、アーサー……!? お前、なんでここに……っ!」

 かつてアルスを馬車から蹴り出した傲慢な聖騎士。第1部のラストで無残に死んだはずの男が、今、全盛期を遥かに超える神々しい魔力を纏ってアルスの前に現れた。

「アルス様! ……夢を見ました。私が貴方を裏切り、そして貴方の慈悲によって『石像』として永遠の安らぎを与えられた、あの至福の未来を……っ!」

 アーサーの瞳は、セレスティアたちとはまた違うベクトルの「狂気」で爛々と輝いていた。

「……バグだ。……完全にシステムのバグだ……っ! アーサーまで『魔王アルスへの絶対忠誠』を魂に刻んでループしてやがる!!」

「さあ、我が主よ! 私の背にお乗りください! 汚らわしい女どもの手から、私が貴方を安全な『聖域(監禁室)』へお運びいたします!!」

 アーサーが差し出した手。それは救いの手に見えて、その実、セレスティアたちと同じ「独占欲」の色を孕んでいた。

「……アーサー。貴方、空気を読みなさい。……アルス様を奪っていいのは、正妻である私だけですわ」

「……異議あり。……アーサー、貴公はただの『警備員』に再構築したはず。……主様は、私の氷の城でお眠りいただく」

 セレスティアとロザリアの殺気が、新参(?)のアーサーに向けられる。

 

「……ひ、ひゃははは! 傑作だ! ……敵も味方も、全員がお前の『ファン(狂信者)』だぞ、鑑定士!!」

 ネルガルの爆笑が外套から響く中、アルスはリリィを抱き直した。

「……リリィ。……悪い。……このままアーサーの馬に乗る。……アイツなら、少なくとも女たちよりは『物理的な突破力』がある……はずだ!」

 アルスは空中で身を翻し、アーサーの天馬の背へと飛び移った。

「おおぉぉぉっ! 主君の温もりが……この背中に……っ! 私は、私は今、世界で一番幸せな騎士だぁぁぁっ!!」

 アーサーが狂喜の叫びを上げ、聖剣を一閃。セレスティアの結界を強引にこじ開け、聖都の方角へと爆走を開始した。

「待ちなさい、アルス様ぁぁっ!!」

「……逃がさない。……逃がさない……っ!!」

 背後からは、翼を広げた聖女と氷の鳥に跨った王女、そして地上からは森を焼き尽くした女騎士と地下の吸精修道女が、一斉に追撃を開始する。

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