第56話:王座の饗宴――王都再構築と、蹂躙される「矜持」
かつて栄華を極めた王都『ルミナス』。その中央にそびえる白亜の王城は、今やアルスの指先一つで漆黒の魔導結晶へと【再構築】されていた。城壁には、生きたまま石像へと変えられた近衛騎士たちが「永遠の守護」を強制され、空には黒い翼を広げたセレスティアが、絶望を撒き散らしながら旋回している。
玉座の間。
アルスは、かつての国王を足蹴にするようにして、禍々しい輝きを放つ漆黒の玉座に深く腰を下ろしていた。
「……あ、アルス……貴様……。この国を、民をどうするつもりだ……っ!」
床に組み伏せられているのは、王女エルーシャ。かつてアルスがギルドで不当な扱いを受けていた際、見て見ぬふりをした高慢な王族だ。彼女の美しい金髪は泥に汚れ、その瞳は恐怖と屈辱に濡れている。
「……どうもしないよ。……ただ、君たちの『価値』を、俺の都合の良いように書き換えるだけだ」
アルスが手をかざすと、エルーシャの身体を縛る鎖が、生温かい「肉の触手」へと変質し、彼女の柔らかな肌を這い回る。
「ひぅっ……!? やめて……何、これ……っ、中が、熱い……っ!!」
「【因果律再構築(奴隷化・リ・コンストラクト)】――開始」
アルスの漆黒の魔力が、エルーシャの脳内にある「王族としての誇り」を、一瞬で「アルスへの狂信的な欲求」へと反転させた。
一秒前まで憎悪を滾らせていた彼女の瞳から光が消え、代わりに蕩けた情欲の色が溢れ出す。
「……あ、あぁぁ……。主様……。私、私は……貴方の、おもちゃ……ですわ。……どうぞ、好きに、壊して……っ」
王女が、自らドレスを裂き、アルスの足元で犬のように這いつくばる。
その光景を、背後に控えていたセレスティアとアイリスが、冷酷な笑みを浮かべて見つめていた。
「ふふ。……新しい『苗床』が増えましたわね、アルス様。……この女の矜持を、もっと無残に、もっと淫らに、私が『再教育』して差し上げますわ」
セレスティアがエルーシャの髪を掴み、その耳元で「魔王の慈悲」を呪文のように囁く。アイリスもまた、魔剣の柄でエルーシャの顎を突き上げ、彼女の「屈服」を肉体的に確認していった。
「……さて。……これで王都の『掃除』は終わったね、ネルガル」
アルスは、影の中から現れたネルガルに視線を向けた。
ネルガルは手元の魔石を弄びながら、不気味な笑みを深くする。
「……ああ、完璧だ。……だが、鑑定士。……お前が半分捨てたその『心』の隙間が、少しずつ疼き始めていないか? ……復讐を遂げ、すべてを支配したその先に、何が残るのか……」
ネルガルが指を鳴らすと、玉座の影から「もう一人の女」が音もなく現れた。
それは、これまでのヒロインたちの誰とも違う、アルスの「慈悲」の残滓を材料に、ネルガルが再構築した『第7のヒロイン』――。
「……マスター。……お帰りなさいませ。……貴方の『罪』を、共に背負う準備はできております」
感情を欠いた、無機質な美貌を持つ少女。
彼女が現れた瞬間、セレスティアたちの瞳に、これまでにない「激しい嫉妬」の炎が宿る。
「……ネルガル。……これは、何の冗談だ?」
「冗談? ……まさか。……お前の『救えなかった想い』の形だよ。……さあ、この都を、さらなる悦楽と絶望の坩堝に変えようじゃないか」
王都の夜は、魔王を称える悲鳴と、悦びの喘ぎ声に包まれていく。




