↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SQUARE  作者: 大井 平和
PR
9/20

第9話 覚悟を決めて生きてきた2人

 翌日、亮輔は普通に勤務に入ろうとするも、前田や池田に


「おい、お前に昨日試合したばっかじゃねーかよ?仕事出来んのか?」


と声をかけられると


「たった30秒戦っただけですよ。全然出来ますよ。」


と軽く返すと、真琴に


「昨日ずーっといびきかいて寝てましたよ。」


と報告され、毛利や島津、丹羽に


「おい!オメーチャンピオンだからって真琴ちゃんの家に泊まったってーのか!?」


「ぜってー許さねー!」


「俺だってすぐ帰ったってのに!」


と怒り心頭。翼達も


「あのまま真琴の家に泊まったの?信じらんなーい!」


「あんた最低のチャンピオンだわ!」


「真琴に何かしたんだったらあたしが許さないわよ!」


とこちらも怒り狂っている。亮輔は


「い、妹も一緒だよ。だ、だからよ、凶器しまえよ。」


と弁解する。


 今月八潮署のポスターモデルにもなった最早署のアイドル的な存在の真琴の家に泊まったという噂は署内に響き渡る。亮輔は


(おいおい。こいつ元男だってーの皆忘れてねーか?)


と疑問を持つが、日本チャンピオンより今は真琴に憧れる者や親しい女性警察官達まで全員敵に回しているかのようだった。


 そんな昼下がりに事件は起こる。


『警視庁から入電!品川区立会川の路上にて男性が血を流して倒れている模様!』


現場に着くと既に大勢の警察官が到着し、現場検証をしている。橋の上で血を流している死体を発見する一同。


「これってまだ時間経ってねーよな?」


と島津が話すと


「・・・何か身体から骨が見えるぞ?」


と丹羽が検知する。


「これって何かにえぐられた痕だよなあ。」


と毛利が確認する。


「うわっ!虫がたかってきた!」


と晶が驚くと、どんどん人集りが出来てくる。


「下がって!下がって!危ないわよ!」


と光と翼がテープの外へギャラリーを追い払おうとすると、遠くにいた翼が


「きゃあ!」


と悲鳴を上げるとそこに体長2m以上ある熊が現れ一斉に避難させる。翼がパトカーから熊避けスプレーを取り出そうとすると熊が駐車していたパトカーごと横転させる。真琴が翼を何とかパトカーの中から引っ張り上げた瞬間熊が2人に襲いかかろうとしたその時、亮輔がドロップキックで熊を橋の下の立会川へ落とした。


「オメーら!全員逃げろ!」


と亮輔が警棒片手に立会川に降り、川の中をじゃぶじゃぶ歩く熊と対峙する。真琴が


「何やってるの?あなたも逃げなさい!」


と叫んでも亮輔は聞き入れない。仕方なく川へ降りようとする真琴に


「来るな!俺の獲物だ!・・・来い!」


と警棒を構える。ゆっくりと呼吸を整える亮輔を尻目に襲いかかる熊に向かって亮輔が長く伸ばした警棒を熊の口の中に突っ込み、


《シュッ!》


と素早く引いた。更に力任せに熊の喉元にもう一度警棒を


《グサッ!》


と突き刺し、今度は貫いた。すると、熊が真後ろに倒れ絶命した。


「・・・な!何だよこいつ?く、熊を倒すなんて・・・ば、化け物だあ!」


と池田が後ずさりし、ギャラリー達が皆騒ぎながら逃げていく。橋から降りようとしてぶら下がったままの真琴を見て亮輔は


「ったく。ほら、手放して降りろ。」


と真琴を抱きかかえ、橋に戻る亮輔に真琴がときめいてしまう。


(もうダメ。あたし惚れちゃいそう・・・)


と赤面しながら亮輔にしがみつく真琴を見て


「・・・あんた何やってんのよ?そんな血まみれの手で真琴に触るな!」


と飛鳥に怒られる亮輔だったが、


「おい、いつまでしがみついてんだよ?とっとと降りろ。」


と言われ思わず


「あっ!」


と言ってしまう真琴。池田に


「・・・お前昨日試合したばっかだろ?よくこんな事出来んな?」


と突っ込まれる亮輔がここでダウンしてしまった。


「・・・やっぱ限界だったか。」


「それにしても大した奴だよオメーは。」


と毛利と島津が気絶した亮輔を救急車に乗せる。思わず一緒に乗ろうとする真琴に


「お前はまだ勤務中だろ?救急に任せて降りろ。」


と普段尻に敷いているだらしない池田に怒られてしまう。光に


「あんたもしかして沢渡に惚れてるの?」


飛鳥も


「さっきの見たでしょ?あんな化け物と関わってたら寿命縮むわよ。」


と突っ込まれる。真琴は赤面し


「だって・・・」


と黙り込んでしまう。


 そして夜になり、勤務が終わると亮輔が運ばれた病院へ急いで向かっていく真琴に


「ありゃ完全に惚れたな。」


と前田に勘ぐられるのを他所に病院へ辿り着くと、病室で美智が泣いている。


「もお嫌!」


と泣きじゃくる美智だったが、医者に


「脱水と軽い貧血です。2、3日安静にしてれば治ります。」


と診断結果を告げられホッとする2人。真琴は


「兄ちゃんが良くなるまでお姉ちゃんのとこに住もう。」


と美智を連れて病院から帰った。しばらく美智は真琴の家から通うことになった。


 翌日、布団から目覚めた亮輔は日課のロードワークに行こうとするが、看護師に


「2、3日安静にしてなさい。」


と告げられるが


「小さい妹がいるんです。帰らないと。」


と話すと


「妹さんなら昨日の夜にお宅の美人な刑事さんが連れて帰ったわよ?しばらく面倒を見るって言ってたわ。」


と言って去って行った。亮輔は


「またあいつか!余計な事しやがって!」


と怒っていると


「あんた血圧が安定しないわね?普段からどんな生活してるの?これじゃ妹さんはあの刑事さんに任せた方がいいわ。美人で優しいし。」


と冷たく言われてしまう。


 午前中に柴田が見舞いに来て


「馬鹿!試合の後は休めっていつも言ってるだろ!」


と怒られてしまうが、


「だってあいつが美智を連れてって・・・」


と真琴が美智を預かっていることを聞かされる。その後織田と松平が現れて


「お前、1週間ここで謹慎な。これは上官命令だから従えよ。美智ちゃんは早乙女が預かるって言ってるから。」


という話を聞き2人は


「やっぱあいつ余計な事を!」


とキレるが、松平に


「昨日ここに美智ちゃんが来てずっと泣いてたんだぞ。お前らたった2人の家族だろ?早乙女はそのお前の家族を守ろうとしてるんだぞ。いい加減認めろ。いい女じゃないか。将来お前の嫁さんにすればいいんじゃないか?」


この言葉には2人共


「冗談は止めて下さいよ!あいつは元々おと・・・」


と反論していると、織田に


「おい!もう一度言ってみろ!あいつは女だ。あいつは女になる為にいろんな者に捨てられてきた。お前らもその中にいるんだぞ。いい加減にそういう偏見持つの止めろ。お前がリングに上がる覚悟と同じくらいの覚悟で女になったんだ。この1週間で考え直すんだな。」


と2人共釘を刺される。柴田は


「・・・試合の後俺はあいつに2度と顔見せるなって言ってしまったんだ。謝らねーとな。」


と言い残し帰って行った。亮輔は


「女だってのは認めるけど、柴田さんに惚れてたんだろ。なら俺はどーでもいいよな。」


と特に深く考える事も無く再び眠りに付いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。