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SQUARE  作者: 大井 平和
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第5話 パートナー

「早乙女。今日からお前が沢渡のパートナーだ。」


「えっ?あっ、はい。」


(ちっ!試合前だっつーのに何でこんな奴と!)


亮輔の試合まであと6日と迫り、突然池田係長に言い渡された。元格闘家と現役の格闘家。組み合わせとしては最強コンビなのだが、亮輔は減量苦で苛立ちがピークに達していた。


「あの、沢渡君。よろしくね。」


と真琴が声をかけても亮輔は耳に入っていない。今神経が完全に尖ってしまう時期である。そんな午後のことであった。


『警視庁から各局!品川区鮫津の小学校に不審な男達が潜入!直ちに急行せよ!』


亮輔はいつもの如く走って行こうとするが、真琴に


「車で行くわよ!」


と言われるが、パトカーに空きがない。亮輔は


(ちっ!めんどくせーモン背負わせやがって!)


と真琴を両手で抱きかかえ、宇喜多が乗っていた白バイを横取りし


「先輩!借りんぞ!」


と真琴を乗せ小学校へ向かう。


15分後、白バイで現場に着いた2人だったが、SITと機動隊が周囲を固めており、中へ入れない。


「ふう。着いた。」


と真琴が白バイを降りたのを見計らって亮輔が白バイごと校舎へ突っ込む。


「馬鹿!何やってんだ!」


とSITに注意されるも亮輔はバイクに乗ったまま校舎へ入ってしまう。


「へっ!懐かしい響きじゃねーか!」


と亮輔が白バイのアクセルを吹かすと犯人の1人が出てきた。


「止まれ!止まらないと撃つ・・・」


と犯人が言っている間に白バイを犯人に突っ込ませ、1人確保。その際人質に取られていた児童達ににっこり笑って


「大丈夫。あとはお巡りさんに任せて逃げるんだよ。」


と言って1階の窓を蹴りで破壊し、児童を逃がすと、そのまま横転した白バイに跨がり2階へ階段に走らせ昇って行く。校舎中に響き渡る亮輔のバイクの音。あちこちに散らばっていた拳銃を所持していた犯人達が続々と顔を出すと、亮輔は白バイを走らせ児童を守りながら警棒片手に殴打して倒していき、2階、3階の窓から犯人を放り投げていく。周りに構えていたSIT達は


「何ちゅー滅茶苦茶なヤローだ!」


「あいつ、始末書と減俸じゃ済まされねーぞ?」


と突撃を開始する。遅れて到着した池田達が


「あの中に沢渡がいるのか?」


と尋ねると、真琴が


「はい。あたしが降りた瞬間にバイクに乗ったまま・・・」


と早くもお手上げのようだ。


 SITの活躍もありほとんどの児童が避難し、あとは3階の一番奥にある音楽室にいる児童のみとなった。ここで銃声が


《バン!》


と飛ぶ。子供達の


「きゃあ!」


という悲鳴が飛ぶ中、亮輔はようやく白バイを降り、音楽室の方へ音を消しながら近づいていく。犯人は残り2名。1人は拳銃を所持し、もう1人はナイフを所持している。


 ここで真琴と強行犯係が亮輔に追いつく。亮輔を叱ろうと池田が後ろから無言で亮輔の頭を殴ろうとした瞬間、亮輔は池田を音楽室の中央へ投げ、隙を作るとたちまち拳銃を所持している犯人に飛びつき逆十字で拳銃を持っていた右腕を


《ベキッ!ボキン!》


とへし折る。そして拳銃を音楽室の床に



《ガン!》


と踏みつけ埋めてしまった。それを見たもう1人の犯人が児童達にナイフを突きつけるが、真琴のハイキックでナイフが吹っ飛び、真琴の右脚を軽く切った後、音楽室の防音壁に突き刺さる。その隙に亮輔と真琴は犯人を確保。池田達が児童を全員逃がし事件は収束する。


「痛っ!」


真琴の右脚から出血し、満足に歩けない。すると亮輔が


(こいつマジでめんどくせー。)


と思いながら無言で真琴を両手で抱きかかえ、校舎から出て来る。


(やだ・・・恥ずかしい・・・)


真琴は顔を赤らめるが、亮輔は気にも止めない。真琴はこの時亮輔に抱きかかえられて初めて女を感じてしまっていた。


 大勢の警官に囲まれる亮輔。SIT、機動隊、そして八潮署の警官達にぐるりと囲まれる亮輔だったが


「案山子共が!カラスも追っ払えねーのか?」


と逆に怒鳴り散らす。そして


「文句あんなら来週まとめて相手してやるよ。その前に個人的なミッションがあるんでな!」


と言って歩いて去ろうとすると、数名の女の子が


「お巡りさん、ありがとー!」


と揃って礼を述べると


「こっちこそ驚かせてごめんね。お巡りさんがいつでも君達のこと守ってあげるからね。じゃーな!お姫様達!」


とにっこり笑い敬礼して歩いて去って行った。


「・・・あいつ、無愛想な奴だと思ってたけど、いいとこあんじゃねーか。」


と池田達は感心していた。そして真琴は


(沢渡君、あたしのことムカついてたんじゃ?)


と疑問に思っていた。


1人八潮署に帰ろうとする亮輔に真琴や池田達が追いつき


「この野郎!やるじゃねーか!」


と一緒に帰る道すがらで交番に立ち寄った。すると、1人の男の子が交番に


「100円拾ったんだけど・・・」


と届けに来た。すると、亮輔は


「坊や、ここに座って。」


と優しく声をかけると、財布から110円を取り出し


「偉いぞ。この10円は届けてくれた御礼だ。」


と利子を付けて男の子に渡した。男の子は


「お巡りさん、ありがとー!」


と110円を握りしめて喜んで去って行った。池田は


「何で10円余計に渡したんだ?」


と尋ねると亮輔が淡々と


「消費税です。」


と無表情に戻り


「こんなとこでサボってないで戻りますよ。」


と交番をあとにした。池田達は


「あいつ・・・何だかんだでいい奴なんだな。」


と言いながら署へ戻るのであった。




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