第3話 あれから5年後
真琴は巡査部長に昇進し、刑事課強行犯係へ移動となった。刑事課長の前田健一、金とギャンブル、酒に目がない係長の池田雄介、元NY市警のエリート刑事でアメリカでのレンジャー部隊に所属したことのある毛利和幸、元オリンピック柔道金メダリストの島津太、ITに詳しい分析家でコミュニケーション能力が乏しいのが玉に瑕の丹羽孝次。真琴はこの同僚達のマドンナ的存在で、毛利、島津、丹羽は真琴をモノにしようと日々アプローチをかけていた。
一方、亮輔は警察学校を卒業したあと交番勤務に従事。格闘家と掛け持ちしながら妹の美智と幸せに暮らしていた。美智も今では小学4年生であり、試合でいつも怪我をして帰ってくる亮輔の心配をするほどしっかり成長していた。亮輔が20歳になったと同時に正式に美智の保護者となり、責任感が強い大人へと成長していた。
そんなある日、亮輔は特例で巡査部長に昇進。それと同時に八潮警察署刑事課強行犯係へ配属が決まった。八潮警察署署長松平英吉たっての希望である。そして、前田はかつて、亮輔の父、浩輔とは警察学校時代の同期で、ロス市警へ引き抜かれた後、殉職した事で亮輔を気にかけていた。署長室に呼ばれた亮輔は、松平と前田に
「大きくなったな。」
「君のお父さんと私は同期で・・・」
と話している最中に亮輔は
「関係ありません!俺はあの日から妹を守るために必死で生きてきたんだ!日本へ帰る手段も無くスラムでもがいてたんですよ!その事は誰にも言わないで下さい。やっと平穏な暮らしに戻れた妹が泣く。」
と2人を睨み付け、退室した。
「・・・まあ、あんな事件に巻き込まれたらな。」
と2人も特に攻めることはなかった。
そして前田から刑事課強行犯係へ案内され、自己紹介をするよう言われるが
「必要ありません。さっさと仕事覚えたいんで。」
と先輩警察官達をガン無視するような不遜な態度を取った亮輔に島津が胸ぐらを掴もうとすると、右ジャブでみぞおちを食らわし島津を轟沈する亮輔。そして先輩達をぐるりと見渡し
「仕事場に競馬新聞なんか持ってていいんですか?酒くせーし。」
と池田を注意すると
「拳銃は一丁までですよね?何であちこちに武器隠してるんですか?」
と毛利も注意する。
「おい、人が話してる時くれーPC観るな。」
と丹羽も注意する。そこに交通機動隊の宇喜多もいたため
「こんなとこでサボってねーでキップでも切ってろ。」
と言い放つ。この失礼な態度に真琴は
「ちょっと!そんな言い方ないんじゃない?」
と亮輔を注意すると
「・・・オメーにかける言葉はねー。」
と言ってる間に通報が届く。
『品川区天王洲アイルで銀行から現金を奪った犯人が新馬場方面へ逃走中!』
と入電が入り、亮輔は足早に去って行った。強行犯係の一同
「何だ?あいつ!」
と怒りながらも前田に
「何やってんだ!お前ら!さっさと現場に行け!」
と促され、現場に急行した。強行犯係は皆車で移動したのだが、亮輔は走って現場へ向かう。
「馬鹿か?あいつ。」
と亮輔を抜き去ると、デカいバッグを持ったプロレスラー張りにごつい強盗がこっちに走ってくる。強行犯係の覆面パトカーと、宇喜多の白バイで挟み撃ちすると、犯人は覆面パトカーの上に乗り逃走。同じくガタイのいい池田、毛利、島津の3人がかりで確保しようとするも、簡単に弾き返されてしまい突破される。そこに元キックボクサーの真琴が構え、顔面に蹴りを食らわせるが全く効かない
「何だそりゃ?ねーちゃん。可愛い顔してるじゃねーか!」
と真琴に襲いかかろうとする犯人に向かって行く亮輔に池田が
「お前1人じゃ無理だ!逃げろ!」
と叫ぶが、亮輔は着ていた上着を犯人の顔面に開いて投げ付け、視界が見えなくなった所を飛び膝蹴りを噛まして動きを止めると、上着を犯人の顔に結んで完全に見えなくする。そして足を払ってマウントを取ると、腰から警棒を取りだし、犯人に被せた上着の上から頭部と顔面に無表情で容赦なく突きを食らわせる。
《ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!》
終わることの無い突きの連続で犯人は完全に意識を失い、亮輔の制服の上着は犯人の血で真っ赤に染まっていく。前田、毛利、島津、宇喜多の4にんがかりで
「もういい!犯人は気を失っている!」
と羽交い締めにするのも跳ね返し、再び警棒で突きを連発する。遅れてきた機動隊員30人がかりで
「もういいと言ってるだろ!お前やり過ぎだぞ!」
と制止され、ようやく突きを止めた亮輔だったが
「は?こんだけの事件起こしてやり過ぎだと?」
と機動隊員達を睨み返すと、亮輔は犯人の顔に唾を吐く。
「たった1人の犯人相手にこれだけの数の警官がいて何にも出来ねーなんてな。オメーら終わってんぞ。こーいうの警察の職務怠慢って言うんだろーな!」
と怒鳴り散らして去ろうとすると、上司の前田が
「お前も取り調べだ!さっさとパトカー乗れ!」
と叱られる。去り際に足を負傷した真琴にシャツを破って血止めをし、前田に連行されてパトカーに乗せられた亮輔を見て
「・・・とんでもなく危ねー新人が入ったようだな。」
と強行犯係一同唖然として現場を去って行った。
八潮署に戻った亮輔は署長室に呼び出されていた。
「・・・あのなあ、ここはお前がいたスラムとは違うんだから。」
と諭す松平だったが
「・・・だったらどーしろって?」
と全く反省の色が見えない亮輔。
「ここではな。仲間達と連携して・・・」
と話してる間に
「あいつら全員吹っ飛ばされてましたよ。武器も車両も持ってるくせにどいつもこいつもだらしがねー。この署は掃きだめの集まりかよ?」
と言い放つ亮輔に前田が
「お前いい加減にしろ!」
と怒鳴りつけるが、前田の顔を鷲掴みにしながら鋭い眼光で
「俺の親父はあーいう連中に殺されたんだ!お袋が止めろって言っても全く聞かずに2人とも殺しやがった!あいつだってそーだ!止めろっつって止めたか?一般人が助けてって言ってるのに助けたか?それが犯人だ!犯人に容赦なんかしたらこっちが御陀仏なんだよ!それが警察官の仕事だ!ぬるい世界で生きてたあんたらには死んでもわからねーだろーがな!」
この言葉に松平も前田も黙ってしまった。亮輔はそういう運命の下で今まで生きてきたという現実を今知らされているかのようだった。




