第19話 過去を捨てた2人が・・・
約5年振りに再会した亮輔と真琴。お互い歳をとり、真琴は31歳、亮輔は26歳。それぞれ出世し、別の人生を歩んでいた。真琴が亮輔が持っていた花束を見て
「あの・・・もしかしてこれからデート?」
ともじもじしながら的外れな質問をすると、亮輔が
「こんな縁起の悪い花束がデート用に見えるか?」
亮輔が持っていたのは菊の花である。そして真琴に
「付いて来いよ。」
と手を繋ぎ、道中何も話す事なく無言で歩く2人。
(ああ・・・初めて手を繋いでもらえた。)
と乙女のようにすっかり照れてしまう真琴だったが着いたのは墓地だった。亮輔は両親の墓参りに行こうとしていたのだ。
「ここは俺の死んだ両親の墓だ。」
と墓掃除し、線香の束に火を付け両手を合わせる。そして今度は近くの別の墓地へ行く。
「ここは先月に殉職した大切な仲間の石碑だ。」
亮輔は自らSATとは言わなかったが、亮輔にとって「大切な仲間」という言葉を初めて聞いた真琴。八潮署時代は新人ながらも周りに辛く当たっていた亮輔がこんな言葉を口にするとは思わなかった。そして亮輔は
「この後ウチに来るか?」
と真琴を誘うと、真琴は
「・・・それならあたしが何か美味しいもの作ってあげる。美智ちゃんとも会いたいし。何食べたい?」
と聞くが
「別に何でもいい。それに美智は今、高校の空手部の夏合宿中だ。帰りは来週だ。」
と言って2人で近所のスーパーで買い物を済ませ、亮輔達の住むマンションに初めて招かれた。玄関に入り、近くの部屋の扉を開けようとした真琴が
「そっちの部屋は美智の部屋だ。勝手に入ると怒られるぞ。俺の部屋はこっちだ。」
とその部屋は、ベッド以外段ボールの山だった。
「ここに引っ越してから滅多に帰って来れねーからな。全然片付かねーんだよ。」
と説明し、リビングへ真琴を連れて行く。
亮輔の為に初めて料理をする真琴は嬉しくてしょうがなかった。5年前は減量苦で何も口にしてもらえなかった。そんな亮輔の為に次々とご馳走が並んでいく。その料理に対して美味いも不味いもなくただひたすらがっつく亮輔。真琴はただその姿を見てうっとりして見ている。減量苦だった昔と違い、自分が作った料理に口を運んでくれているだけでも幸せを感じていた。真琴は2人で食事をしながら、これまでの顛末を亮輔から聞いた。
「へっ!網走、名護、堺、博多、三河・・・何処に配属されても機動隊ばっかでおかしいと思ってたよ。」
SATの事は一切口外しなかったが、毎年のように美智と一緒に転勤、転校の月日が経ち、美智は高校生になりようやくこの地に戻って来て、腰が落ち着ける環境になれたことを真琴に話した。
食事が終わり、真琴が食器を洗っていると、亮輔が隣に来る。真琴が
「あたしがやるから座ってて。疲れてるんでしょ?」
と話すが、亮輔は
「2人でやった方が早いだろ。」
と一緒に皿を洗い出す。亮輔は食器を洗っている真琴の後ろ姿を見て、完全に女として意識した瞬間であり、ついこのような行動を取ってしまった。だが真琴は
(・・・早く帰って欲しいんだよね。)
と思っていると、最後の皿を洗って置いた亮輔が、真琴の後ろから身体を優しく包み込んだ。真琴は思わず亮輔の身体に柔らかい桃のような尻を当て、くねらせてしまったが、その直後、真琴は亮輔と正面で向かい合わせ、亮輔に顎を軽く掴まれて唇を奪われた。
真琴が亮輔に唇を奪われた瞬間、一気に全身の力が抜け、亮輔を見上げ分厚い胸板に寄りかかった。本物の男に成長した亮輔と、本当の意味で今、女として認められた真琴は互いに両指と両腕を身体に絡ませ求め合った。長い年月をかけて亮輔は真琴を女として認め、真琴の華奢で柔らかく滑らかな身体を求め、真琴は亮輔の骨太で鍛え抜かれた頑強な身体に白く細い腕でしがみつきながら亮輔の身体を求め甘えていた。亮輔は真琴の服のボタンをゆっくりはずし、真琴は一切抵抗する事なくボタンが外されていくのに快楽を噛み締めながら、亮輔のズボンをゆっくりと下ろす。亮輔は真琴の背中と両脚を太い腕ですっと抱きかかえると、真琴は
「あっ・・・」
(ああ・・・懐かしい感触。胸がドキドキしてほてっちゃう)
と発してしまう。亮輔は優しく微笑みながら
「しっかり掴まってろよ。」
と囁いて真琴のポニーテールをほどき、長年にかけて伸ばしたシャンプーの匂いが香る長い髪がふわっと揺れる。亮輔は細くてまっ白な腕で抱きつく真琴をベッドへ静かにそっと寝かせる。互いに裸になり2人の男女がベッドへ沈んで行く。亮輔は真琴の女として見事に完成した身体を求め続け、真琴は何もする事なく敏感な肌て亮輔の愛をただひたすら受け、度々喘ぎ声をあげる。亮輔に
「もう我慢する必要はないんだぞ。」
と言われた真琴は年下の亮輔に
「・・・はい。」
と返し、受容の意思を示したが、亮輔は真琴の全身を撫で、優しく丁寧に愛し続けた。亮輔の左肩には5年前に真琴を守った時の銃痕を見つけてしまったが
「・・・この傷、あの時の。」
と亮輔の顔を悩ましい眼で見つめ、とろけた声で呟くと亮輔は
「もうお互いに過去の事は忘れろよ。もう終わったんだ。それより本物の女になった真琴をもっとくれよ。」
と再び愛撫を続ける。
(初めて名前で呼んでもらえた・・・)
と感激する真琴。次第に真琴が性適合手術で作り変えた女性器に亮輔の男性器が挿入される。真琴は
(ああ・・・こんなに大きいなんて・・・昔のあたしとは比べ物にならない。何もかも亮輔さんに負けてしまっている・・・)
と思っていると
「痛いか?」
と亮輔が気遣うが、真琴が小さく可愛らしい声で
「・・・いいの。続けて。お願い。あたしもあなたが欲しいの。」
と亮輔の全てを受け止めようとする。次第に真琴の可愛らしい喘ぎ声が激しくなって行く。真琴にとっても亮輔にとっても
(ああ・・・亮輔さん・・・本物の男に抱かれるってこんなに幸せだったなんて・・・女になって本当に良かった。このままもう一生離れたくない。全身の力が抜けてもとことん亮輔さんに尽くしたい。愛し合いたい・・・)
(俺は今までこんな最高の女を避け続けてしまっていたのか・・・何て勿体ない日々を過ごしていたんだ?もう2度と絶対に放さない。生涯を賭けて真琴を幸せにしたくてたまらない。愛し合って生きたい・・・)
だんだん互いに息遣いが荒く激しくなって行く。亮輔が興奮し動きを早め、真琴が身体ごと受け止める。真琴の美しく甲高い喘ぎ声が外まで響き続け、次第に朝日が昇って来る。この一夜で何100回唇を合わせただろうか?どちらかが押さえ付けたという事はなく、確実に互いを求め合い、息ぴったりに出来る限り深く愛し合い続けた。
朝になり、亮輔の右腕に収まり真琴は亮輔の身体に密着し、首に両腕を絡ませてうっとりしながら
「亮輔さん・・・最高に嬉しかった・・・あの試合の時、あなたを信じられなかったあたしをこんなに愛してくれて・・・」
と涙を滲ませると、亮輔が
「それが母性本能なんだろ?女なんだから当たり前だ。それと・・・夫婦に敬語はねーだろう?」
とボソッと言うと、真琴が
「え?何て言ったの?」
と聞き返す。すると亮輔が真剣な顔で
「結婚しようって言ったんだよ。」
びっくりした真琴は
「本当にあたしでいいの?」
と思わず顔を近づけると
「もう戸籍も女になったんだろ?なら問題ねーだろう?お前以上にいい女なんていねーんだよ。」
と亮輔にプロポーズされ
「はい!」
と涙を流しながら受け入れたが亮輔に
「だから敬語止めろっての。」
と突っ込まれる。一呼吸置き、亮輔が
「国の機密だから何も話せない。美智にも話せていないが俺が警察官である事は皆知っている。俺達はある一定期間だけあの部隊を除隊しなければいけない。その期間が終わればまた復帰する。その繰り返しだ。ただ、俺は必ず生きて真琴の待つ家に帰る。もう誰も悲しい顔になんかさせねー。」
と真琴に約束した。
そして2人はそれぞれ勤務に行こうと部屋を出ようとすると、真琴は亮輔からあるものをプレゼントされる。真琴は
「何これ?」
と尋ねると亮輔が
「この部屋の合鍵だ。誰にも言うなよ。俺も美智も待ってるからな。」
と言って別れた。




