地理と神話
やっと乳離れできた!長かった!
最近両親が夜の行為をしなくなったから、何故か逆に気まずい思いをしてたよ。
夫婦喧嘩かね?仲良くやりなよ。
母は性懲りもなく乳を飲ませに来るが。リューネがなんとか撃退する。
諦めてもらうまでに1週間かかった。
ふぅ。
やっぱり食事は大事だ。
唾液と母乳だけで『味覚』強化していた日々が懐かしい…。
離乳食なのでドロドロした物しかくれないが、普通においしい。
スープとか、ペーストとか。
味に飢えていたから麻痺してるかもだけど。
※
3日くらいちまちまと隠れて本を読む。
スキル『思考加速』がいい仕事をした。速読が捗る。
ようやく「アトランティス大陸の歴史(簡易版)」を読み終えた。
中々優しい本で、自分にも分かりやすく概要が載っていた。
まだ人と会話出来ていないので、未だにこの世界についてほとんど何も知らなかったのだ。
この異世界はアルカディアという名前だと、アルフは転生前の情報で知っていた。
だが実際に世界の名前を呼ぶ人はいない。
異世界の存在を知らない限り、必要ないからだ。
実際にはこの世界の創造神として、アルカディア神と名付けられている。
また世界中で広く布教している宗教国があり、これもアルカディア神聖国という名前らしい。
あとは、神話について簡単に書かれていた。
『人族の世界に邪神が来た!10人の女神が頑張る
→女神の一人攫われる。寝返って魔族を生む
→女神の力を人族に渡す。魔法だよ!
→悪魔が人族に子を孕ませて、獣人を作る
→邪神が悪魔を生贄に魔王が出来る
→魔王、動物を魔物に変えて侵略
→勇者が召喚されて魔王を倒す
→邪神とも戦う。封印。
→戦いの衝撃で大陸が割れる
一旦平和になる。
→魔王は定期的に復活するよ。そのとき勇者も喚び直すよ
→今ココ』
そんなダイジェストでした。
意外とボリュームあって、読み物としては面白かった。
でもこれ、人族に対して余りに都合よく描かれていて信じられないんだよね。
関係ないけど。
まあ真偽はともあれ、そんな感じでこの世界には3つの大陸に分かれていて、基本的に種族で分かれているようだ。
人族国家群、 アトランティス大陸。
獣人国のある レムリア大陸。
魔族の住む 魔大陸。
地理的には大雑把に、アトランティスが西、レムリア大陸が南、魔大陸が北に位置するようだ。
アトランティスとレムリアは一部陸続きとなっている為、交流が多いとの事。
神話では争っていたみたいだけど、今は同盟寄りの中立らしい。
残りのページはアトランティス大陸だけで、他の大陸については書かれていなかった。
アトランティス大陸はやや縦長。
南アフリカ大陸を左右反転した感じに似ている。
大陸内でも色々戦争があったみたいだけど、今は4つの大国に分かれている。
ティマイオス帝国。(北)
アトラス王国。(中央)
クリティアス神聖国。(東、半島)
ミノア王国。(南)
俺の住んでいる国は、アトラス王国だったらしい。
調べるのに時間がかかったが、歴史上の貴族にブロンベルクって名前が出てきた。
ただ、領地は他の貴族も含めて転々としているようで、今の公爵領が何処なのかは分からない。
アトラス王国は他の三国と接していて、一番戦争の危険はあるけど、中継点として貿易が栄えているから最も経済が潤っているとの事。すげー。
ティマイオス帝国は軍備を拡張する傾向があるが、うちとは魔の森っていう危険な土地を挟んでいるから早々攻め入る事はないらしい。
西にもチョコチョコと小国が点在している。
南のミノア王国は農業が盛ん。
大陸の中だと獣人との交流が一番多いらしい。
クリティアス神聖国は、正直よく分からない。
基本的には閉鎖的な宗教国で、勇者を召喚するのは大抵ここらしい。
なんとなく文言から、下手な事を書くと弾圧されるから誤魔化しているふうな印象を受けた。
宗教こえー。
文明的には概ねではあるが、中世ヨーロッパに近い。
貨幣が使われていて、銅貨、銀貨、金貨、白金貨。
価値は知らない。
あとは期待に漏れず冒険者ギルド。
主要都市には大抵ある。獣人国にもあるらしい。
ダンジョンとかも数多くあるみたいで、わくわくする。
意外だったのが、異世界からの転移者が割と頻繁にいるらしい。
しかも勇者なんかも含めて、「地球」っていう世界から喚ばれる異世界人が多いんだと。
という事は今の時代にも同郷人がいるのか。
会って… みたくはないな。
別に前世の人生、楽しかったわけじゃないし。未練もない。
とりあえず知識チートとかは難しい事が分かった。
恥かかずに済んだぜ。
あ、でもそうなると食文化とかは浸透しているはずだよな。
和食あるなら嬉しい。
※
今は生後9ヶ月だろうか。
1ヶ月前くらい前につかまり歩きを見せていたので、そろそろ頃合いだろうと思い、部屋の中を普通に歩いているところを披露した。
エリザ母上はスルーしかけて、顔を振り返り、すぐさまアルフを抱っこしてクルクル回り出した。
喜びを行動で示しすぎである。
「エリザ様、落ち着いて下さい!お体にさわりますよ!」
「えーだってアルフが歩いているのよー?いつの間にこんなに立派に歩けるようになったのかしら。ママに内緒なんて酷い子ね」
リューネがプンスカ怒っているがお構いなしだ。
ところで、エリザは今体調がよろしくない。
アルフも最近気づいたのだ。エリザに会った時に魔力の乱れに。
魔力の生まれる心臓よりも下の方に、微弱な塊が。
そう。オメデタである。
道理で父とはお盛んではなかった筈だ。
今もアツアツな二人にアルフはホッとしたものだ。
今のところエリザは、アルフに報告していない。
アルフがお腹を触って「う〜?」と聞いてみると、「ふふふ内緒よー」と宣ってくる。
何にせよ、めでたい話である。
まだお腹もほとんど膨らんでいないので当分先だろうが。
前世ではアルフに兄弟はいなかった。
期待と不安、今までにない不思議な感覚を覚えていた。




