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属性魔法とは? 無属性の謎



アルフは今、書斎からちょろまかした魔法の本の続きを呼んでいる。


本をちょうどリューネから隠れる位置に置き、『鎖』を使ってパラパラとめくる。


これが出来るようになるまでに苦労したが、実は物体に触れるとき、厳密には鎖が触れるのではなく、無意識にアルフの魔力を纏って触れていたようなのだ。


鎖による“ナンチャッテ念動力”で訓練していたら、いつしかステータス画面に『無属性魔法』が取得されていたのだ。


どういうことかと鎖を動かしながらその魔力の動きを追っていると、数日頑張った末に『魔力感知』のスキルを獲得した。


自分の体内の魔力の流れが今までより詳細に把握でき、近くにいたリューネの魔力も感知できた。


改めて鎖を眺めてみると、やはり魔力は欠片も感じられない。


そこで鎖を使って枕を持ち上げてみると、同時に自分から魔力が自然と伸びていき、鎖を伝って枕に干渉している事が分かった。


枕に顔を近づけてみると、鎖がギリギリ触れていない状態で自分の魔力が淡く枕を纏っている。


色々試してみて、アルフは今まで無意識に魔力を使い、鎖に補助してもらう形で『無属性魔法』を使っていたのだと考えた。


折角取得したので、どうせならと鎖のない状態で無属性魔法を使ってみた。

結果は魔力が遠くまで伸ばせず、手の近くにあるものになんとか纏わせる事が限界だった。


枕くらいの重さでも到底持ち上げることができず、精々数cm動かせば疲れてしまう。


やはり『鎖』が魔法の操作性を補助して、物に引力を働かせているから持ち上げられたんだなと納得した。


しかしこの『無属性魔法』を自覚した事によって、アルフの『鎖』による念動力の性能は飛躍的に上がる。


鎖の先端から伸びた魔力を意識して操作する事によって、緻密な操作性を手に入れたのだ。


訓練の結果今では、このように離れた場所から本のページをめくる事すらも可能なのだ。

とても便利である。


そして、さらなる『無属性魔法』の可能性を知る為に、アルフは本を読み進めた。


『 属性魔法とは、人が魔素を変換し体内に蓄積した属性魔力を放出し、呪文を唱える事で生じる奇跡である。

個人の素質によって使える魔法の属性が決まっており、後天的に新たに使える魔法属性が増えることはない。


ほとんどの人は1種類の属性のみとなるが、稀に2種類、3種類の属性を扱える者が現れ、優れた資質を持った人間として高ランクの冒険者や国の重鎮として活躍している。

過去の勇者は、最大で5種類の魔法を操ったと伝えられている。 』


属性って1種類の人が多いのか。

確かにリューネや使用人は属性魔法が一種類だけだったな。

母上は3種類持っていたけど、結構すごいのかな?


これは『生活魔法+』とはいえあまり人前で見せられないかも…

全属性使えるなんて勘違いされ兼ねない。


『 人がどの魔法属性をもつか調べるには、多くの人の場合「神託の儀」に併せて調査される。

もしくは高価な魔法具を用いて魔力を流し、調べる事ができる。


また、魔法の素養が高い人間であれば、各属性の基本魔法を唱える事で、使える魔法を調べる事が出来る。

それ以外にも生活魔法を使う事で感覚的に得意な魔法を見つけ、属性を判断できる可能性もある。 』


神託の儀って何だよ、気になるな。

俺も受けるのか?


『 魔法属性には以下の9種類が存在する。

基本属性として火、水、風、土属性。上位属性として雷、氷、光、闇属性として扱われる。


・火属性:火炎を司る。攻撃性の高い魔法


・水属性:水を生み出す。生活水の供給に活躍する。防御性が高い魔法


・風属性:風を発生させる。範囲魔法として用いられる


・土属性:土を生み、開拓する。生産性と防御面に特化


・雷属性:雷を生み出す。敏捷・攻撃性に優れた魔法


・氷属性:氷を生み出す。攻防ともに長けた魔法


・光属性:強い光を灯す。回復魔法が使える


・闇属性:暗闇を発生させ、敵を弱体化させる魔法を使える 』


9種類…あれ、空間魔法は?


『 この他にも系統外魔法と呼ばれるものが存在する。


・精霊魔法:精霊に魔力を渡し、代行して魔法を使ってもらう。エルフ族または巫女等の特殊な家系のみが使用可能


・召喚魔法:神に願い、魔法陣を介して求める物や人物を召喚する。混同されがちなものとして、契約した者を呼び寄せる『召喚』スキルがある。


・聖属性魔法:光魔法の上位属性。浄化と回復に特化した魔法。勇者を除き、教会の関係者しか使用出来ない


・暗黒属性魔法:闇魔法の上位属性。魔王が使ったとされる魔法。世界滅亡を招くとされている。


・空間属性魔法:失われた魔法。現在使用者は存在しないが、アイテムバッグの作成にはこの魔法が使われたとされる


・時属性魔法:古代に存在したとされる幻の魔法。詳細は不明。


この他にも存在するが、スキルと魔法の区別が明確でない為に研究が続けられている 』


ふむ、空間魔法使える人っていないのかぁ。

便利そうなのに。


思ったより色々な魔法属性があるんだな。あの設定部屋?ではこんな魔法載ってなかったぞ。


『 呪文の文言には一文字毎に魔法を発生させる為の指向性が働いているとされ、その文字の組み合わせ次第で属性因子、形態や威力、速度等を決定づけるとして各方面で研究が行われている。


魔物や魔族の中には魔法と似たようなものを無詠唱で発生させる者がいるが、これは体内の魔石を触媒とし、属性魔力を用いたスキルとして認識されている。 』


へー、呪文って意外とちゃんとした意味があるんだな。

無属性魔法の呪文にいいものがなかったら、自分で研究してみるのもアリかも。


『 人間の場合、この魔石を使う事により、魔法の使用を補助する事が出来る。


例えば杖に対して魔石を付与して加工された魔道具であれば、魔力放出を効率化し、より少ない魔力で高威力の魔法を唱えることが出来る。


また、魔法陣が構築された魔道具は、使用者の属性に関わらず魔石を取り付け、魔力を流すだけで魔法を擬似的に使う事ができる物として、市政に流通している。』


おお、やっぱり魔石ってあるんだね。魔道具も定番だよね。

夢が広がるぜ!


『 最後に、魔法を学びたい方の為に。

別冊で「呪文の唱え方—各属性の基本魔法」「◯属性魔法体系」が出版されていますが、一人で魔法を覚えるのは大変危険です。


暴発の危険がある為、できるだけ高位の魔法使いに魔力の扱い方や呪文の唱え方を教わりましょう。

一番の近道は魔法学校に通う事です。 』


今更だけど、そうなんだよなぁ。


俺は『魔力操作』スキルを得てある程度制御に自信が出来てから使ったが、それでも威力をミスったり、暴発してもおかしくなかった。


少し短慮だったかな。反省。


やっぱり魔法学校ってあるんだな。俺もそのうち学校に通うのかね。


本はそこで終わっていた。



…あれ、無属性魔法は?



*



本を返すついでに書斎の中を調べたが、今の所無属性魔法について書かれた本が見つからない。


転生前に適正属性を取得する際、最も消費ポイントが少なかった。

現に自分でも簡単にスキルとして取得できた。


そういった背景を根拠に、無属性魔法は最もありふれた、誰でも使える魔法なのだとアルフは勘違いしていた。


しかし思い返せば、アルフは今まで《解析》を使って鑑定した人間の中に『無属性魔法』を持っている人を見たことがなかった。


よく会うエリザとリューネ以外に、父マグナス、使用人のうち数人にも鑑定した事がある。

たまたま持っていないわけではなかったのだろうか。


この世界では知られていないのか、それとも珍しいのか…。

アルフはこの魔法も迂闊に使えない事を悟った。


「うー」


生活魔法に続き、無属性魔法まで普通ではなかった事に気づき、落ち込むアルフ。


「どうしたのですかぁ、坊ちゃま。もしかしてお漏らし、しちゃいました〜?」


そんな泣きそうな顔をした彼にリューネは気づき、そっと抱き上げてアルフを宥める。


アルフは必死に首を振り、オシメを脱がそうとする彼女の手に抵抗しながらも、読んでいた本をサッと隠した。


今後無属性魔法を使える人間に会う、またはどういう魔法か理解するまでは、ひっそり隠れて使っていこうと思ったのだった。





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