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アンチノミーを越えて  作者: 朽無鶸
3. アンチ二分主義
24/48

憧れ

憧れと劣等感を混同した。

特別な人になりたくて

いろんなことをしてきた

人と違うことこそが

存在意義だと思ってた


何かが足りないと嘆いて

何かが要らないと悩んで

理想の自分はまだ遠い

こんなの絶対僕じゃない


結局醜いのを隠したくて

自分のことが大嫌いで

上辺をどんどん誤魔化して

理想の自分になろうとした


いろんなことに憧れた

自分のものにしたくなった

まだだまだだまだ足りないよ

僕が一番僕が一番だ




優れた人になりたくて

いろんなものに手を出した

自分とは何だろう

答えはなかなか出なかった


何かが足りないのは事実だ

何かが要らないの事実だ

その事実がある以上

僕は僕にはなりきれない


自己同一性の欠如に

自分自身は隠されて

他人を否定するしか

逃げ道はなかったんだよ


いろんなものに憧れた

自分のものにしたくなった

羨望せざるをえなかったよ

僕が一番僕が一番だ



最後は何もかも恨んで

自己嫌悪に押しつぶされて

何をしても満たされなくて

空想の世界に逃げ込んだ


憧れたばかりに僕は消えた

憧れから遠い僕を責めた

結局何者にもなれなくて

未だ自分は行方不明だ


いろんなものに憧れた

自分のものにしたくなった

でもそこに僕はいなかったよ

ここにいる僕とは何だ

今いる自分を認めよう。

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