にじゅうさん 第二ステップ
続いて第二ステップ。
自己紹介、他。
「私の名前はオンスといいます。ユウへグの前の主人、ヘイドの息子です」
オンス。
ヘイド。
俺の知らぬ名前が二人分出てきた。
そこに混ざる、俺の知っている名前。
「私と父はあなたの遠い親戚にあたります。憶えていませんでしょうか、父は当時十八歳だったあなたに会ったことがありますよ」
全然憶えていない。
「で、では、親戚で集まったパーティーがあったのは?」
全然憶えていない。
あったっけ、そんなの。
「そうですか……」
我ながら薄情者っぷりが凄い。
俺のその年の頃は、せいぜい、鼻クソをほじるしか能がなかったような。
ではなくて。
ではなくて、というか。
「というかそもそも、そのヘイドって……」
「はい、一ヶ月ほど前に亡くなりました。六十でした」
そうだよな。
だからこそ、ユウへグは俺の家に送り込まれてきたのだ。
ラステム暗殺し隊のメンバーとして。
「何ですか、それ」
「何でもない」
それは実在しない部隊だった。
それも忘れていた。
いや、だから、そうではなくって。
一ヶ月前に死んだというユウへグの元主人、ヘイド。
今俺の目の前にいるその息子、オンス。
ヘイドの家で家主が死ぬまで働いていた奴隷の少女、ユウへグ。
ユウへグの新しい主人、俺、ラステム。
この四人の相互関係をザっと見て、いろいろ訊きたいことはあるものの、まず俺が最初に気になったのは、
「そのヘイドってやつが亡くなって、なぜ俺の下にユウへグが回ってきたんだ? お前が引き取ってやれよ」
主人の実の息子がいるのならば、保護責任はそいつが担うものではないのか?
他でもない、この男、オンス。
どうしてワザワザ遠い血縁をたどってまで、俺の下へ?
「ですから」
と、オンスは俺の顔の前に手の平を突き出し、「待った」のしぐさをする。
「キチンと話すには、キチンとした順番が必要になります。はやる気持ちは分かりますが、そう焦らないで」
「……サンドウィッチはもういらねえぞ」
「第三ステップ」
ことのあらまし。




