にじゅうに コーヒー
「で」
喫茶店に入り、席に落ち着き、二人分のコーヒーを注文したところで、先に切り出したのは俺の方だった。
俺の知らない喫茶店だった。
見たことも来たこともない。
二人分のコーヒーを持って来たのは、若い女の店員だった。
「話とは、何だ」
出されたコーヒーにすかさず手を伸ばす知らない男。
俺とは真逆で呑気な態度のその男。
イライラを感じつつも、俺は尋ねた。
そっちから話しかけてきたクセにとイライラを感じつつも、俺は言葉を選んで慎重に尋ねた
「答えなければぶっ殺すぞ」
「言葉を選んでそれなんですか」
カップから口を離して突っ込んだ。
「議論に議論を重ねた結果の、えり抜かれし言葉だ。それほどに、俺のイライラは積もっている」
「まあまあ、落ち着いて。順番に話しますから、そう慌てずに」
絵に描いたような屈託のない笑顔。
しかめっ面でもなく、気味悪いほどの笑顔でもなく、爽やかな笑顔だ。
「順番云々の前に一応の確認だが、お前はユウへグの関係者なんだな?」
「はい、もちろん。その辺についてお伝えしたいことがったので、私とあなたは今ここにいる」
あの場所で遭遇したことも踏まえて、俺は自信を持って言える。
『怖い人』とはこいつだな、と。
俺はコーヒーをすすった。
そんなに美味くない。
たぶん、ユウへグならもっと美味いのが出せるな。
「まず初めに、第一ステップ」
泥のようなコーヒーに濡れたその口から何が語られるのか。
俺は固唾を呑んで次の言葉を待つ。
「サンドウィッチも注文しましょう」
「ぶっ殺すぞ」




