料理三昧、閑話休題。
よろしくお願いします。
「……は?えっ??だって瘴気溜まりの浄化って普通なら半年は寝込むんだよな?!」
『そうよ。それをあんたはちょっとの立ちくらみで済んじゃたのよ』
未だに固まっている二人の代わりにポニーが応えてくれた。
そんなバカな…。この世界の人たちには不可能な事があんなに簡単に済むものなのか……?
それが本当だったらこの世界の人たちが勇者を召喚するのも頷けてしまう。
たった一人の異世界人の犠牲で、貴重な光の魔法使いたちと何万もの命が助かるのだから。
どうせ簡単に浄化してしまうのだろうと思われているのなら、おざなりな勇者召喚も仕方ない。いや、仕方なくないけどなっ!
「だぁーーー!!」
突然の俺の叫びに三人はビクッとした。固まりがとれて何より。
それに俺もこんなことうだうだ考えててもしょうがないよな。もう召喚されてんだし、神託頼んだんだし。
うん、次行こう、次っ!
「……次?あれ?次の瘴気溜まりってどこだ?」
「『『………?』』」
俺はなんとなく気が重いとか嫌な感じがするってだけだし、ピアの野生の勘はまぁ無理だな。
「ソックス、分かるか?」
『なんとなくの方角ならわかるっスけど、正確なのは無理っスねぇ…』
う~ん、これ下手に動いたら森をさ迷う事になるんじゃねぇか?
これは動かず翁を待った方がいいように思う。
皆の顔を見回すと三人とも頷いてくれた。
「しょうがない、翁が戻ってくるまでここで英気を養うか!」
大したことしてないけどなっ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
まず、急務なのが料理の補充だな。ピアがアホ程食うから。
料理をし出すとうろうろそわそわ鬱陶しいから、ポニーと一緒に肉の調達を頼んだ。
とりあえず米を大量に炊く。普通のから炊き込みご飯も。これまでの道程で採取したキノコ類が結構あるんだな。相変わらず出汁は鶏ガラなんだけど。ビックバードの肉も入れて鳥五目ご飯にしよう。
それから豚ハム、鳥ハム、オークの角煮。あ~煮玉子欲しいけどビックバードの卵の大きさじゃ無理だな。残念。
ビックボアの肉はどうすりゃいいんだ?ジビエ…、臭みがありそうだしな…。ローストビーフならぬローストボアにしてみるか?
まず適当な大きさのブロックに切り分けて、塩と粗挽き胡椒と生姜、ニンニクをすりおろしたものを刷り込む。暫くおいてから表面に焼き色を付けて、結界をジップ○ックみたいにした中に入れ、赤ワインと緑苔のハーブに漬け込む。お酢が欲しいけどまだ見つけてないからなしで。たっぷりの水に入れ沸騰したらハムより長め10分弱かな、で火から降ろして放置。2時間も置いておけば中までしっかり火が通る。
味見したけど、臭みもなく柔らかく出来てた。なんせピアが大量に食うから簡単で食べ堪えのあるものにしないと大変だ。
あっ、もちろん唐揚げもいろんな肉で大量に作ったぞ。
そんなわけでスープも放置して出来るモノを。鶏ガラスープも追加で作って、キノコと野菜のスープも。オニオンスープも作っとくかと、皮を剥いて芯を取った大量の玉ねぎを結界の中に入れて風魔法でみじん切り。それを鍋に入れて飴色になるまで焦がさない様に炒める。これまたコンソメなんて万能なモノはないから鶏ガラとキノコの2つに分けて作ってみる。まぁ不味くはならないだろう。
あとはあれだ。折角なんで使ってみるかゼリースライム、だけにゼリーを作るか。
不思議果物も手に入ったし、ゼリーを食べるソックスはきっとかわいい。
マンゴーぽいモノやバナナぽいモノがあったよな。バナナゼリーってあったっけ?
確かバナナってゼラチンで固まり難かったよな?まぁやってみるか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そんなこんなで作りに作って、3日程。身体強化しなきゃ多分腱鞘炎になってた。
その間にピアとポニーは山ほど魔獣を狩ってきてた。
巨大なピアの胴回りはある太さの10mはある蛇を捕まえてきた時には「元の所に返してきなさいっ」とネタ的な事を言ってしまったさ。うぅ~ん、確か鳥っぽい肉なんだよな?鑑定さんもそう言ってるし、慣れなきゃいけないのか……。
あと珍しいところで言えば【おかかトレント(俺翻訳)】。
枝を一抱え差し出されて、「火にくべるヤツか?」と思ったら、
「口さみしい時にしゃぶるヤツだ。子供のオヤツになるし、酒のあてにもなる」
って言いながらガシガシ噛り出すから、俺も恐々端っこを噛った。
「?!」
これ【かつお節】の味がする?!なんで??いや不思議はもうしょうがない。
ソックスが俺の足にすがって「ちょうだい」をしてくるので、もちろんあげましたよ。
カジカジうみゃうみゃ夢中になってる。猫まっしぐらだ。
しかし炊き込みご飯や味噌汁を大量に作る前にもう少し早く欲しかったっ、残念!それよりピアに大量に採ってくるようにお願いしました。
結局食い物の事ばっかりだったけど、一つ今後の為に試した事がある。ピアにも共犯になってもらった。「どうってことない」って言ってくれたけど、元の世界の倫理観からすると罪悪感が半端ない。けど郷に入っては郷に従えだ。と頑張って割り切る。
比較的小さい魔獣を生け捕りにしてきてもらった。
何をするのか?…そうこれは魔導具である【テント】の実験。
畳んでも中がマジックバッグの様に生き物が入れれないか、ディメンションホームの様に入れれるか?だ。
もし後者だったら、おれはテントの中に居てピアたちに森を移動してもらえる。
もちろん任せっ切りは居たたまれないから、当初の予定通り2、3時間は俺もポニーに乗せてもらって移動するけど。
俺を乗せたペースで5日ぐらいなら、ピアだけだったらかなり速いばずだ。瘴気溜まりを早く浄化出来るのに越したことはないはず。
ピアに聞いてみたけど、そもそもテントに人が入ったまま畳むということを考えた事がないって。一緒に冒険してた人も健脚だったんだなぁ~(そういうことにしておこう、そうしよう)。
生け捕りにしてきてもらったのは【フラワーイーター(ケン翻訳)】大きさは俺の膝丈でヒマワリの様な花を付けてて中心は顔の様になってる。「ウケケケケ~」と気味の悪い鳴き声?で、その声を聞いたモノを錯乱状態にし自身の所まで誘導、生きたまま血肉を喰らうらしい、何とも狂暴な花だ。今は気を失った状態にしてる。死ぬと干からびて枯れた様になるらしい。
ピアがテントの中に置いてきてくれるって言ってくれたけど、ここは思い付いた俺がやるべき。
ゴクリと息を飲み込み気合いを入れてテントのリビングに置いてきた。そしてテントを畳んで待つこと暫し。今度はピアも着いてきてくれた。ソックスは俺の肩で慰める様に抱きついてる。
「ピ~ピ~ピ~…」
「…………」
リビングに入るとフラワーイーターの寝息が響いてた。
畳んでもディメンションホームの機能がある事がわかって良かったよな、うん。
ピアが無言のままフラワーイーターを外に連れて行ってくれた。
まぁこれで移動時間が大幅に減って早く浄化出来る。
あとは翁が来るのを待つばかりだな。
そう思ってたら
「ケン!フクロウの翁が来た!」
と飛び込んで来た。
え~~~~~、見てたんですか?監視カメラはどこですか??
いいね、ありがとうございますっ!




