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愛しのキミを我が手に

よろしくお願いします。

「稲ーーー!米きたーーーー!!」


俺大興奮!何度も言うけど結界に防音しといて良かった。じゃないと声が森中に響き渡って魔獣が集まって来てたはず。後でソックスに怒られた。まぁ俺はそれどころじゃなかったんだけどな!

まずは鑑定さんよろしくっ!


【デビルバーリィー(悪魔の麦)瘴気に汚染された米の様な物。そのまま食すと3日3晩苦しむ。デドックス、強制ダイエットにもってこい!繁殖力が非常に強く土と水と瘴気さえあればどこでも育つ(でもやっぱり湿地好き)。麦畑にこっそり生えちゃう農家にとってお邪魔虫。但し浄化すればあら不思議「米」に大変身!

水分量によってインディカ米[ちょっとパサついていてピラフなどにいい]~ジャポニカ米(言わずと知れたソウルフード!)に使い分けられるよ、試してみてね(異世界召喚のお詫びの気持ち)】


またもや突っ込み所満載の鑑定結果だけど気にしない!

浄化したら食える様になるならやるしかないだろ!


目を閉じて意識を集中、まずこの辺り一帯のデビルバーリィーを照す。瞼越しにも明るくなったのがわかる。3人とも呆気にとられてる気配がするが気にしない。いつもより魔力を込めて美味しくなる様に願いもかける。


「浄化!(美味しくな~れ!)」


俺の体内から眩しほどの光りが溢れだし辺りに広がっていき、目に見えて黒い瘴気が煙の様に消えていった。かなりの広範囲に渡っているのが自分でもわかる。体から何かが抜けていく。ああ、これは魔力が抜けていってるんだな。

どのくらい経っただろう。長いような短いような時間が過ぎてフッと魔力が抜けるのが収まった。その瞬間フラりと立ちくらみがした。


『ケン!』


「ケンっ、大丈夫か?!」


ソックスが俺にしがみつき、ピアが駆け寄って支えてくれた。


「ああ、大丈夫。ちょっと魔力を使い過ぎたみたいだけど」


二人を落ち着かせるため声をかけながら辺りを見回す。

するとそこには黄金色の頭を垂れた稲穂が一面に広がっていた。


ああ…、ヤバい鼻の奥がツンとする。泣きそうだ。

一面の稲穂なんて体験学習で一度見たきり。後はテレビとかで見た事がある程度なのに、懐かしく感じる。


それを誤魔化す為、足元に視線を移して飛び上がり思わずピアにしがみついた。ヒルがいると思っていたのがさっきのゼリースライムの小型なプヨプヨが足の踏み場もない程いた。

…でも動かないな?


「なにこれ?」


「ベビーゼリースライムだ。これが合体してさっきのデッカイのになる。ケンに浄化されたからみんな死んだみてぇだな」


浄化…、もしかして米みたいに食べれるようになってたりして。

……なってました。


【ゼリースライム→ゼラチンや天草のように使ってもok

また保温保湿性に優れている為、保冷剤としても使える。アイデア次第でなんでもござれ!】


う~ん、ヒルみたいって思ってたから抵抗が…。いや魔獣の肉食ってるんだから今更か。

それより今は米だ!


「ピアこのスライム適当に麻布にでも入れといて。俺はこれから稲刈りするから!」


「魔力使い過ぎてフラついてたのに大丈夫なのか?!」『落ち着いて欲しいっス!』とか声がするけど、聞こえな~い!

今は米にましっぐらだっ!

…と言っても稲刈りなんてした事ないから、風魔法で刈って脱穀して籾を乾燥してから玄米にしてさらに白米に精米する…だったよな?

よし!一気に行くぜぃ!!うなれ俺の想像力(妄想力)!!


田んぼ?を結界でおおい、風魔法を駆使する。実を傷つけないよう優しく適度な竜巻を起こし稲が巻き上げられ穂の部分だけが落ちていく。さらに籾殻が飛び散り玄米同士が擦れ合い白米になっていった。それを入れ物がない為直接マジックバッグに入れるため口を開くと白米が吸い込まれていった。この間多分30分も経ってない。魔力を大分使ったけど殺りきったぜ俺はっ!


かいてもいない汗を拭い皆を振り返った。


「なんか疲れたから今日はここで夜営しようぜ(棒読み)」


『いい笑顔っスね…』とソックスの呆れとポニーのお馴染みのブッフーが聞こえたけど、気にしな~い!ピアはゼリースライムを拾ってくれてました。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇





ケンシロウ、米を炊っきま~~すっ!


俺は米を研ぐ時力を入れない。好みや思い込みかもしれないけど粒にヒビが入ったりしそうだから。それから最低30分は水につける。時期によっても違うけどここをしっかりしとけば後は割りと適当でもなんとでもなる。


米を水につけてる間に味噌汁だ。普段粉末のだしの素を使ってるけどないから鶏ガラで。具は豆腐(割引品なのに何気に大活躍!)後はワカメが欲しいところだけどないからなぁ、シンプルに青ネギにしとこう。


俺は取り敢えず米を堪能したいからこれでいいけどピアはそうはいかないよな。

よし、前は塩しょうが焼だったから今回は醤油ベースのにしようか。

今日は普通のオークの肉でちょっと厚めにスライス。包丁の背で肉を叩いて繊維を断ち切る。これをしないと肉が固くなるからな。祖父母と暮らしてたから俺は肉の柔らかさに拘る様になった。

それから結界をジップ○ック風にして肉に砂糖をもみこむ。モミモミモミ…。そして玉ねぎスライスと醤油と生姜、みりんがないのはしょうがないから白ワインを入れてまたモミモミモミ…して暫く浸けておく。


さてさて米が水を吸って白くなってるな。鍋に適量水を加える(手の甲が隠れるぐらい)。そして今回は是非とも食べたい塩むすび。10日ぐらいぶりの米なら存分に味わいたい!ので大量の塩むすびを作るにあたっての裏技?あらかじめ塩を入れる。2合に対して小匙1杯だったかな?俺はもう少し塩がきいてる方がいいからプラスα、塩分摂りすぎの罪悪感とともに美味しく頂くのだ。ぬははははーと思ってたら、いつものポニーの世話を終えたピアが側にやって来た。

何か手伝うって言うからお馴染みのキャベツの千切りを頼む。


さて、米を炊くんだけど、竃だから微調整が出来ないから最初から弱火でいく。大体20分ぐらいでパチパチ音がしてきたら火からおろして蒸らせば出来上がりだ。


ご飯が炊き上がるまでに肉を焼く。そのまま弱火で焼き過ぎないよう気をつける。火が通ったら肉だけ取り除いて玉ねぎがしんなりするまで火を通して出来上がりだ。生姜焼きって簡単だけど旨いよな~、飯が進む。

焼き上がりが冷めない様にまたマジックバッグへ。今回も3kg程やりきりましたよ。


そして塩むすび。熱々のところを手を結界で覆ってにぎにぎと。自慢じゃないけど俺は三角おにぎりが握れるんだぜぃ。ばあちゃん直伝だ!まぁそれを握りに握った、しめて52個。ええ途中から身体強化を使いましたよ。


では手を合わせて


「いただきますっ」


実食だ。当然塩むすびから。

仄かなご飯の香りに喉が鳴る。口に入れ懐かしい甘味と食感を味わう。…ああ、やっぱりこれがなきゃ飯を食べた気がしない。

目を閉じて塩むすびを堪能してるけど、今日はやけに静かだ。ソックスの小さな塩むすびを両前足で持ってほっぺにご飯粒をつけて頬張ってる「うにゃうにゃ」しか聞こえない。いつもならピアが五月蝿いぐらいに「うめ~うめ~」言ってるはずなのに。

不思議に思って見ると山盛りの塩むすびと俺を交互に睨んでるピアがいた。 


「どうした?食わないのか?」


「…本当に【デビルバーリィー】食ってんだな」


「うん?」


掌で口を抑え塩むすびを敵の様に睨んでる。


「俺がまだ田舎にいた頃、農家の手伝いでよく刈り取りさせられてたんだ。こいつはどこにでも生えるし刈っても刈っても切りがねえ。そんでいくらでも生えるから孤児のみんなで食ってみたんだ。そしたら何日か、えれぇ目にあった」


ああ、鑑定に強制ダイエットって出てたもんな。


「なんでも疑いなく食べるお前にしては珍しいな。米は俺にとっての主食だし、しっかり浄化したから大丈夫だけど、無理強いはしないよ。俺のマジックバッグに入れとけばもつから気にするな。あの酸っぱ固いパン食っとけよ」


ぜひ米を味わって欲しかったけどしょうがない。強制するもんでもないしな。


「でも二人とも旨そうに食ってるんだよな…」と覚悟を決めた様に塩むすびを鷲掴み口にほうり込んだ。目を閉じて眉間にシワを寄せモグモグモグ…待つこと暫し。ゴックンと音が聞こえたかと思ったら、今度は無言で両手を使って貪る様に食べだした。しょうが焼と味噌汁も口直しの様に凄まじい勢いでなくなっていく。


「いや~、うめかった~。なんだよ食えるじゃねぇか、しかもパンよか食い応えあるしよぉ」


ピアお前、食い応えもなにもしょうが焼と味噌汁は空だし、塩むすびもあと10個も残ってないんだけどっ。

…うん、いつもの光景だ。なんとなく安心してフッと思い出した。


「そういえば瘴気溜まりってもうすぐなんだよな?その割りにあんまり気重になんないけど…?」


俺のその言葉にピアとソックスは大きく目を見開いて固まり、ポニーからブッフーと鼻息とともに言われた。


『何言ってんのよ、そのデビルバーリィーが密集していた所が瘴気溜まりだった所よ。自分で思いっきり浄化しといてバカじゃない』


………え?

評価、いいね、ブクマありがとうございますっ!

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