俺たちは最強パーティーだっ!(やけくそ)
よろしくお願いします。
今目の前に繰り広げられてることをありのまま言うぜ。
ピアがポニーをレンジャー・ロール?みたいに担いでテント結界の中を走り回ってるんだぜ。わかるかな?
ばんえい馬より大分デカイから2tはあるはず。それを肩で担いでるんだぜ。わけがわからん。
晩飯を食ってから一休みした後、ソックスも落ち着いたからピアに魔法【身体強化】を教えることにしたんだ。
まず人間族の魔法の習得の仕方、体内の魔力を感じるために下腹(元の世界で言うと丹田なのかな?)に意識を集中させる。で、熱を感じてきたらそれを体中に巡らせる。
この世界の生き物は全て魔力を持っているから意識さえすればすぐに熱は感じられるらしい。ただ体中に巡らせるのは魔法のセンスがあるかどうかだとはソックス談。
あの第二王子なんか魔力中あったのに魔法が使えないってピアが言ってたからセンスがなかったんだろう。ざまぁ。と、思ってたのに
「……?????」
ピアが小首を傾げて難しい顔をしてる。
「ね…つ……?」
おーい、ピアさん嘘だろ?
魔力多なはずなのに熱を感じないなんて、そっからかよ?
どういうことかと、俺の肩に乗ってピアのアドバイスするため俺に念話を送っていたソックスを窺うと何か考えてるようだった。
「ソックス…?」
『ケン…、ピアの旦那に何か重いモノを持ち上げてもらってくれないっスか?』
どういうことか聞き返そうと思ったけどまだ何か考えているようなので、とりあえず悩んでいるピアに声を掛けることにする。
「なぁピア、お前重い物ならどれだけ持てる?あのいっぱい水が入った樽は平気そうだったけど」
「う~ん、ケン位の体格のヤツなら四人担ぎ持ってダンジョンの10階から戻ったことはあるけどよ…」
うん、どうすごいか分からないけど、なんかすごいのはわかった。疑問がいっぱいだけどなっ。
それにしても何か重いモノか…
俺が辺りを見回しているとピアがポニーの側に寄っていって、腹の下に潜り込んだ。
何する気だ?と思い見ていると
「むんっ!」
気合いの声とともにポニーを担ぎ上げた。
…担ぎ上げたっ?!
「うおー!やってみるもんだなっ!ポニーを担げたぞ!」
そう言ってゆっくり歩きだす。
「もしスタンピードとかで、敵に囲まれた時ポニーが怪我してたらどうしようかって悩んでたんだ。ケンとソックスぐらいなら片腕で十分だけどよ、ポニーは大きいからな。良かったこれで多少怪我しようが一緒に逃げれるぞ」
と足を早めついに走り出した。
俺は片腕ですか、そうですか。じゃねぇわっ!
ポニーは何が起こっているか分からず固まってる。馬生初だろうよ。
俺だってこの世界の物理の法則にまたもやびっくりだわっ!
でもそうじゃないのが一人?いた。
『やっぱりそうっスね!ピアの旦那は無意識に【身体強化】が使えてたんスよっ!』
「はあぁーーー?!」
防音結界を張っていなかったら森中に俺の声は響いていただろう。
ソックスが言うには、俺からピアの生い立ちを聞いて可笑しな事が多いと思っていたそうだ。
ゲイツ様と出会ったスタンピードの時、恐らく狂戦士化して【身体強化】を使っていたいただろうと。でないと生き延びる事など不可能だ。その後も10歳を少しばかり過ぎた年でダンジョン攻略や深遠の森踏破などありえない。
周りが【身体強化】に気付かないのも使えるヤツがピアしかいなかったからだろうって。
『あまりにも無意識だったから、魔力を感じる感覚の自覚がなかったんスね。ある意味ケンより感覚派スね!』
ピアがチート過ぎる件。
もうこれ考えるの放棄していいよな?
絶対防御に超絶攻撃力、戦神の御使いの機動力、さらには知力の高いかわいいマスコット付き。
いやぁ、完璧な勇者パーティーじゃね?
現実逃避してもいいよな?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ピアも強くなったことだし(魔法は意識すればより力を発揮するらしい)、翌朝俺たちは一番近くの瘴気溜まりに向かうことにした。
先頭を超絶攻撃力のピアが、次に絶対防御の結界を皆に張ってる俺がソックスはカゴ鞄の中。殿にこの森で生まれ育ってよく知っているポニーがいる。
進むにつれて空気が重くなるような感覚がする。瘴気を意識すると黒いモヤの様なものが見えてそれが段々濃くなっているように感じる。ピアは何だか嫌な感じがすると言い(野生の勘が働いてるんだろう)ソックスは最初から瘴気溜まりの事はわかっていたと。
体感的に3時間程経ったので昼飯にする。
ピアにはいつもの様にポニーに水と人参をあげてもらう。
俺は昨日の残りのウサギの鶏ガラスープを嵩ましして、黄色苔の味噌粉を入れ味を整えてすいとんもどきを大量に作る。ピアがめっちゃ食うから質より量になってるな。
なんとなく落ち着かず忙しなく食べていて、ふっと気にかかった事を聞いてみる。
「なぁピア、確かジュポン国まで50日かかるって言ってたよな?」
「ん?ああ」
「ってことは、瘴気溜まりの浄化3箇所年単位ってことか?」
3人に今更何言ってんだって顔をされた。
だがなぁ、反論させてもらうぜっ!
「俺は念の為食料は60日分しかもピアが俺の3倍は食べると思って用意してたんだ。なのにそれ以上食ってる自覚あるか?!」
ピアが「うっ」と喉を鳴らす。まだまだだぞっ。
「ポニーも関係ない顔してるけど、お前が着いて来るってわかったから農家からなるべく人参を仕入れたけど日にちが延びるなら足りなくなるんだぞ!」
そんな事気付かなかったって目を見開いているけどもう遅い!
「短縮できる意見を求む!」
ピアとポニーが顔を見合わす。言葉が通じてないのに本当に息が合う二人である。
「『ポニー(わたし)に乗るしかない(わね)』」
この巨体に乗るのか…、俺乗馬経験もないのに……。
「ポニーはいいのか?」
すると馬面を斜めに上げてブッフーと鼻息を漏らした。
『しょうがないわ、人参の為ですもの』
そうですか。一抹の不安しかない。
なんで俺はこんな目にあっているのか。…しないと自分が心穏やかに過ごせないからだな。
うん、やるよっ、殺ってやりますよ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
わぁ~~~、馬の背って高いんだなぁ~~…
ええ、現実逃避再びですよ。
ピアが前に乗って俺が背中にしがみついてるんだけど、かなり高いし整備された道じゃないから当たり前だけど上下運動が激しい。それだけでもうんざりなのにその前に俺のプライドはずたぼろさ。
俺がどうやってポニーの背に乗ったか教えて進ぜよう。
ピアは有言実行とばかりに俺を片腕しかも赤ちゃんを抱くような縦抱きをして、そのままポニーに飛び乗ったのさ。
フッ、俺は成人男性じゃなかったっけ??
俺の尊厳はどこですかっ?!
放心しながらも怖さもあって、無意識に皆にいつもの結界を張って衝撃吸収をプラス。それでも軽いジェットコースターに乗ってるみたいにふわっと浮遊感があったり、ガックンガックンしたり、これで結界がなかったらどうなるんだ?ちょっとしたロデオ体験か??
ほとんど目を開けてられない状態で、たまに薄目を開けると濃い緑が横に流れて行ってポニーが蹴飛ばした魔獣をピアが大剣でもって回収してるのが見えたりする。
俺、つい数日前まで家と職場を往復する体を酷使することのない生活をしてたんですが…。
ジェットコースターに乗ったのは、祖父母に遊園地に連れて行ってもらった時と高校の時グループデートだとかで騙し討ちされTDRに連れていかれた時ぐらいなんですがっ。
免許はペーパー、自転車にすらほとんど乗らない生活だったんですがっっ!
ひぃーーー!もう無理っ、気持ち悪いっ、吐くっっっ!!
「と、どまってくれ~~~!」
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