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翁のご用事なんですか?

評価、いいね、ブクマありがとうございますっ!


よろしくお願いします。

ソックスの耳は伏せられて、前足を握り込ませてる。緊張してるのか?

俺は持っていたカトラリーを置きソックスを抱き上げる。体が強ばってる?ソックスが額を胸にグリグリしてきた。


「勇者殿と同じ不思議な魂を持つ小さき聖獣よ、そのように怖がらずともよい。取って食いはせぬ」


あ、ちょっと強ばりがとれたかな?本当に食われる心配してたのか?

でも俺の方は怖いです。だって背後のテーブルがすでに空。このちょっとの間に二人して唐揚げを平らげてしまってる。俺とソックスで300gほどしか食ってないのに。

しかもフクロウの翁はホッホッホッて陽気だけど、ピアがぐぬぬってなってるから食い負けたんじゃなかろうか。


俺は食後のお茶(翁に合うカップがないのでまた大きなサラダボウルに入れた)と元の世界のチョコレートを翁に勧め、ソックスに葡萄の飴を渡した。ピアも欲しがったのでミントのタブレットをやった。ちょっとびっくりしてたけど普通に食べてた。さすが悪食。


「ホッホー、これは異世界の甘味かの?見た目は糞のようだがどれ?」


何言うんだこの爺さんっ、貴重なお菓子なのに!(補充されるけどな)


「ホッホッホッ!これはまた少しほろ苦くなおかつ甘いっ、よき甘味じゃのぉ」


ワッサワッサと羽を羽ばたかせるからすごい風圧。


「あのぉ、唐揚げを食べに来ただけじゃないですよね?」


気のせいじゃなければ昨日鳴き声を聞いている。ということはいつからか俺たちの様子を観てたってことだろ?


「ホッホッ気付いておったか。わしの用事の前に聞きたいことがある。この度召喚された理由を何処まで存じておる?」


「アールスト王国の第二王子の地位の復権と司教の私欲の為?」


「うむ、表向きの理由はそうじゃの」


チラッとピアを窺う。難しく話してるけど頑張って聞くぞ!って気迫が漂ってくる。

うーん、ピアの前であんまりこの話したくないんだけどな。

ある意味自分が切り捨てられたんだってこと知って欲しくないんだよ。


「何か裏の意味があるのは察してますが…」


余計な事を言うなよと視線に込めておく。


「裏の意味はまぁ、瘴気をどうにかして欲しいと言うところかの」


「瘴気って勇者にどうにか出来るんですか?そういうのは聖女では?」


「この世界では光魔法が多少使えればそれだけで聖女と呼ばれておる。蝋燭程の灯りを灯したり、かすり傷を治したりの。浄化なんぞは光魔法の中でも最上級に位置するし、魔力も相当使う。たとえ浄化を使えてもその辺の聖女では1つの瘴気溜まりを浄化するだけで半年は寝込まねばなるまいて」


え~、俺魔獣狩る度にかけてるし、料理する前にも食材にかけてるんですが…。


「先の勇者殿が召喚されて人の時間で3000年程経ったかの。それから今まで瘴気は少しずつ溜まってきて、最近ではしょっちゅうどこかしらでスタンピードが起こっておる。割と限界なんじゃ。勇者召喚は英断だったと思っておるよ」


「へぇ、そんな大事なのに、第二王子なんて先のない人間にやらせて自分たちは俺に顔も見せないと」


ダメだ、怒りが沸いてくる。人を戻れもしない所に呼んでおいて挨拶もねぇのかよ。面倒くさくなるからいいやって思ってるけど、それとこれとは違うだろ?


『ケン…』


ソックスが心配そうに俺に抱き付いてきた。怒気が漏れてたか?


「勇者殿が怒るのも最もなこと。先の勇者に召喚の代償に様々な契約を取り付けられての、今回はそれを避けたい各国首脳陣の浅はかな知恵じゃ。まぁその前に召喚する教会がある国の輩は勇者殿を隷属させる気じゃったようだがの」


バギャッ


ピアがテーブルを握って割った。今目の前で起こったことをそのまま話しております。

ソックスは爪を立てて俺にしがみついてる。イテテ…


「ピア、手大丈夫か?」


ソックスをそのままにピアに近付きテーブルを割った手を診る。…無傷だった。

ったく、二人が先に怒るからタイミングを逃したな。本当ろくでもねぇ国だな。


「この大陸は勇者信仰が強いからの、民が許さぬとして隷属するのは思いとどまったようだの」


「それで俺を野放しのままで召喚した意味があるんですかね?」


「あるぞ。勇者殿は気付いておらぬようだが、そなたが居るだけで僅かながら周りが浄化されておる。小さき聖獣も居るのでもっとじゃな」


移動式空気清浄機?ルン○?違うか。ソックスもか。

お互いに顔を見合せる。


「じゃあフクロウの翁の用事というのは…」


「うむ、浄化されとるとはいえ本当に僅かなんじゃよ。あのままだとあと30年もすればこの大陸は瘴気に呑まれたであろう。召喚し延命できたのはせいぜい50年程度。そこでじゃ一番ひどい深遠の森の瘴気溜まりの浄化とその後各地にある瘴気溜まりの浄化を請け負ってはくれまいか?」


はっきり言ってやりたくない。深遠の森はいいけど。

当たり前だろ?隷属しようとしてたんだぞ。それがなくなっても我が身かわいさにあんないい加減な召喚して頼むの一言もねえ。


あ~~~~、でもなぁ~…

子孫を残すつもりはないけど、俺が何もしなかったらこの大陸は百年ももたないんだろ?


「俺がその話を受けなかったらこの大陸の人たちはどうするつもりなんでしょう?」


「事態を把握しとる者は他の大陸に移る気でおるな」


それじゃあ根本の解決にならねえだろ。

でもこのまま翁の頼みを聞くのも癪にさわる。


「翁、神の眷属であるあなたは人型、特に人間族の事情にも詳しそうだけど、あなたから彼らにもの申すことはできますか?」


「うむ、わしはこの世界をお造りになった創造神の眷属だからの、神に代わり皆の営みを見守ったり、神託を授けたりもしておるよ」


「ではこれから俺が言う条件を呑むなら瘴気溜まりの浄化をしましょう」


本当この世界の奴らにいい加減頭にきてたんだよ。

勝手に異世界に誘拐するわ、謝りもしねえわ、これまで献身的に働いてた者を結果的に切り捨てるわ。

先の勇者から3000年って、それだけ経ってるのに魔獣がいるからにしろ文明が進まなすぎだろうがっ。原因を気にしないとか、ありのままを受け入れるとか、考えるのを放棄してんのと一緒だろ?

いい加減豊かで、清潔なゆとりある暮らしを目指せってんだ!

美味しい食事に快適な暮らし大事!絶対!!


俺は人差し指と中指をビシッと立てて翁に突き付けた。


「街の清潔化と食糧の改善ですっ!これを神託として伝えきちんと実施している所から浄化をします!」


ホホー?と鳴いて翁の首が200度ほど曲がった。目の前の巨体にやられるとめっちゃビビる。


「もちろん俺のことは顔出し出来たら存在もNGでお願いしまっす!翁の部下とでもしといて下さい」


ホホホー?とまた曲がった。本当怖い。

そっから俺は垂れ流しされてる糞尿を集めて街を綺麗にしたら病気に掛かりにくくなること、その集めた糞尿を発酵させたら作物の肥料になることを素人のうろ覚えながら説明した。

あ、一応寄生虫とか怖いからその辺上手く調整できる万能水みたいなのも作って渡すんで神託ついでに翁に配ってもらおう。


これをちゃんと実施してるかどうかで各国首脳陣を取捨選択すればいい。

今回のようなお粗末な勇者召喚してるようじゃしれてるけど、考えだす糸口にして欲しい。


「いい加減他人に頼らず自分たちで考えるようにした方がいい。そうしないと文明も発達しないですよ」


めっちゃ偉そうに言ってやったぞ、この世界を造った神様の眷属に。

だって神様たちがもっと厳しくしてたら、先の勇者から3000年経ってもこんなに文明が発達せずに貧しいことなんてなかったはずだ。その弊害で俺は誘拐されたんだからなっ!


フクロウの翁は首をぐるぐる回して、ピアとソックスは微動だにしない。ポニーは割れ関せずで魔草を食んでる。


言い過ぎ……たかな…?(オロオロ)




ありがとうございました。

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