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拝見、魔導具テント(足りないものが多すぎる)

評価、ブクマ、いいねありがとうございます!


今回、トイレと料理の話が一緒にあります。ご注意下さい。

「ケーン」


どこぞの北斗七星の男のように呼ばれる俺。

今時の若者にわからないだろうって?俺だって若者のはずですが?

しょうがないだろ、じいちゃんが好きで小さい頃一緒にBlu-ray見てたんだから。

名前で察してくれ。


ところで俺を呼ばわったピアさんはすごい出で立ちだ。ポニーもだな。

なんでこんな短時間でドロドロの血塗れになってんだか、いや聞きたくないけども。

二人まとめて「クリーン」をかけてやる。


「おおっ、ありがとな。」


ピアの機嫌は直ったようだな。ポニーは「お礼を言ってあげなくわないわよ」と鼻をブルブルさせてる。


「そうだケン、土産があるんだ」


そう言ってマジックバッグから出したのは血塗れの皮鎧を着たオーク。


「血ぃ抜いてくれるか?」


「ぅんぎぁー!!」


油断してたから直視してしまった。

薄目忘れてた!じゃない。

俺は背を向けてしゃがみ込んでオーク(ジェネラル)に向かって何故か腕を振りながら唱えた(大慌て)


「クリーン!でもって血抜き!異臭除去!それから…」


『ケンっ、やり過ぎっスよ!』


みぎゃ、みぎゃ鳴きながらソックスが止めてくれた。

ああもう心臓に悪りぃ。「さすがだな」なんて呑気に言ってないで気を付けてくれたまえ。


「ケン、なんか飯作ってくれるんだろ?このオークジェネラルうめぇから使ってくれよ。俺捌くから」


「それはいいけどここで夜営するのか?もっと開けた場所じゃないと駄目じゃないのか?」


オークジェネラルをすぐ調理ってなんの試練かな?

まだバクバクする心臓を押さえながら能天気なピアに聞く。

そしたらピアがまたマジックバッグに手を入れたので、次に何を出されるのか警戒してソックスを抱き寄せた。


「それは大丈夫だ。一人用テントが張れる場所があれば」


そう言って手のひらに収まるぐらいの箱を地面に向かって放った。それがポンッという軽い音とともにワンタッチテントより手軽な感じで組上がっていた。

組上がったと同時に薄い光の幕のようなものが、半径5m程に広がった。


「この光の中が結界だからな。これでポニーも安全だ。ほら中に入るぞ」


ポケーと見てた俺を促すように言うとピアは巨体を縮こまらせて小さいテントに入っていった。

物理的に無理じゃね?と思いつつ、ついて行くとそこは城下町の何でも屋の様に空間魔法が使われた空間だった。


十五畳ぐらいありそうなリビング?に6人掛けのテーブルセット。

ピアが寝転んでも大丈夫そうな大きなソファーが2つにローテーブル。その側に毛足の長いラグが敷かれている。


部屋を眺めてる俺をお構いなしにピアは部屋の奥に続く扉をくぐり、オークジェネラルを取り出してるのが見えた。奥はキッチンかな?早速捌いてくれるらしい。

捌くのが終わるまで気になるので空間を探検しようと思います。


ピアが向かったのと反対側には廊下が続いていて、扉が2つあった。どちらも六畳ぐらいの俺が泊まった宿のような部屋たった。その脇に階段があったので登るとこちらは扉が3つ。中は一階と同じようだった。


「?」


なんかおかしい、というか足りない。

風呂のことはもう諦めているけど、これは生きるために絶対必要なもの。


そう【トイレ】がないっ!


「ピアー、ピアっ、ピアー!」


俺は大慌てでピアの元まで行くとまくし立てた。


「ピアっ、トイレがないっ!なんで?!ある意味一番大事なのになんでないのっ?!」


初めて見る俺の有り様に引きつつ、でも何を言ってるのかわからない風だった。


「トイレ?ああ、便所のことか。そんなもんあるわけねぇよ。その辺に穴掘って用を足すのが普通だ。面倒臭がるヤツはそのままするけどな」


そう言ってカラカラ笑ってる。

なんてこった!

そりゃ宿のトイレは【ぽっとん】でアンモニア臭で目がツンとなったけれども。城下町でも肥溜め?の様に臭かったけれどもっ!

リアルでorzこんな格好すると思わなかった。

これは緊急案件ですぞっ!


どうにかするために、気合いを入れてたのに


グオオオオオー…


地響きのような音が聞こえてきました。ピアの腹から。

そして子犬のような瞳で見てきます。

ぐぬぬっ、しょうがない、こっちのはすぐには終わらないからな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



キッチン(?)はなぜか屋外のようになっていて、タープが張られていた。

そこに俺が丸焼き出来そうな大きなバーベキュー台と鍋を3つ置けそうな竈があった。

側には薪がうず高く積まれていた。薪かぁ…、上手く扱えるかな?

祖父母と住んでいたマンションはオール電化だったから余計手探りだな。 


キッチンの設備を確認しているとピアが何かを思い出したように、マジックバッグからピアが一抱え出来そうな大きな樽を5つも出してきた。マジびびる。ちょっとトラウマになってるな。


「ピア、これなに?」


「水だ、水はいくらあっても足りないからな。城の井戸からちょっくら貰ってきたんだ。まだあと20樽はあるから好きに使え」


いくつ入れてきたんだ。マジックバッグの中ほとんど樽で占めてんじゃないか?


「そしてそんなピアさんに残念なお知らせがあります」


「ん?なんだ?」


「水は腐ります」


「は?」


「絶対ではないけど、こうやって樽に入れてる水は腐ります」


密閉して殺菌したら何年間か持つんだろうけど、そもそもこの世界にそんな技術ないだろうしな。


「マ、マジか…?」


「マジ」


「じゃあ前にこうやっていっぱい水持ってダンジョンに籠った時、俺は大丈夫だったけど連れが腹壊したのって…」


「腐ってたんだろうね」


ガーンって顔してるよ。可哀想だから時間停止の俺のマジックバッグに入れてあげたよ。




さて気を取り直して、オークといったら豚肉かな?

鑑定さんが、【高級ブランド豚肉と同等】と教えて下さった。

なら塩胡椒だけでもよさそうだけど、折角なんでちょっとだけ手間をかけて【塩生姜焼き】にしようと思います。俺が手間をかけるなんてこんなもんだよ。

あとは根菜がたっぷりあるので、豆腐とオーク肉の切り落としで【なんちゃって豚汁】でも作ろうかな。ピアがあの酸っぱいパンを買ってたけど、贅沢だけどなるべくなら食べたくない。

そのうちナンぐらいは作れないかな?


というわけでまずは時間のかかるスープから。

じゃがいも、人参、玉ねぎ、それにキャベツも入れよう。さて、と思ったところで早速挫折しました。

ピーラーがありません。しかも包丁ではなく両刃の調理用ナイフ。

普通の包丁でもまともに皮むき出来ないのにどうしてくれよう。足りない物が多すぎる。

皮付きのままでもいいですか?

食感に拘らなければいいそうです。注意としてじゃがいもの芽だけは取りましょうとのこと。

鑑定さん、ありがとう。


では、時短の為に野菜を小さめに切ってクセのない油で炒めます。本当はゴマ油の方が好きなんだけどな。

まんべんなく炒まったら水から煮込む。


そうしてる間にオーク肉の処理。

ピアからバラぽい所の塊を貰って出来る限りの薄切りに…。

無理だったのでちょっと分厚い。まあ食べ応えあるよね。血抜きを完璧にしてるので、臭くないしいい色だ。

さらに調理用ナイフで肉を叩いて繊維を絶ちきる。俺は豚肉が固くなるのが好きじゃない。

そしてまず砂糖を揉み込み、次に塩と生姜、白ワインと玉ねぎも入れてまたもみもみ…。


これを暫く置いておいて、スープの様子を見る。灰汁が浮いてきてたら丁寧に取る。

この時点でも結構野菜から旨味がでるのに、なんで宿のメシがあんなに不味かったのか?

あの宿が不味いわけじゃなくむしろ旨い方だとピアが言ってた。

たまにわざわざ食べに行くから顔見知りだった模様。

そんなことをつらつら考えてると感じる二対の視線があった。






ありがとうございました。

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